スポーツ栄養食材にはシーン別「適材適所」がある! つい先日、フジテレビ「めざましテレビ」の人気コーナー「ココ調」にて、夫…
スポーツ栄養食材にはシーン別「適材適所」がある!

つい先日、フジテレビ「めざましテレビ」の人気コーナー「ココ調」にて、夫が元サッカー日本代表であるということ、また私が、アスリートフードマイスター資格保持者であることから、現役Jリーガーの自宅での食事にスポットを当てていただきました。
「ココ調」リポーター兼ディレクターの高橋さんが、東京から福岡まで弾丸取材でわざわざお越しくださり、試合前献立、試合後献立、夏バテ撃退メニューを含む2献立、3レシピを、めざましテレビさんにご提供させていただきました。

全国放送ということもあり反響が大きく、こちらの連載でもテキスト記事にて投稿させていただくことにしました。どうぞ宜しくお願い致します。
試合前の主役はたっぷりの炭水化物!

最高のパフォーマンスを発揮するためには、体の中にエネルギーを蓄えることが重要です。具体的には、脳と身体のエネルギー源となる炭水化物(糖質)を、通常の食事の1.5~2倍近くまで増やします。

糖質を摂取する時、ご飯やめん類、お餅、いも類、果物など、1種類の炭水化物からではなく、複数の炭水化物から摂取していくことがポイント。例えば、今回の献立であれば「酢飯ご飯」からだけでなく、かぼちゃ、じゃがいも、にんじんなどのいも類、スイカ、パイナップル、バナナ、ブルーベリーなどの果物にも糖質は含まれています。

複数の炭水化物から摂取していく理由として、炭水化物以外の他の栄養素も摂取出来ること。(例えばフルーツであれば、大量の汗から消費するビタミンやミネラルも一緒に摂取出来る)また、食材によって消化時間(スピード)が異なるため、様々な炭水化物を組み合わせて摂取することで、よりエネルギーを持続させるといった効果も。ただし試合前に関しては、出来るだけ脂質や繊維質の少ない、直ぐにエネルギー源となる消化の良い糖質を中心に選ぶので、選択肢は狭まります。
食べ物にも絶対的に「チームワーク」が必要!

食べ物も人間と同じ。最大限の力を発揮するには、お互いが手を取り合うことが最も重要。それぞれが、お互いの素晴らしい能力を「生かし合う」チーム作りが大切です。
エネルギーを効率よく使うためのビタミンB群!
合いひき肉に含まれている豚肉(酢飯ご飯に混ぜています)お味噌汁の中に入れた黒すりごまなどに豊富。炭水化物を摂取する場合は、糖質の分解を速やかに行うビタミンB群、特にビタミンB1が重要です。更にビタミンB1+にんにくや玉ねぎ、ねぎ、にらなどに含まれる「アリシン」の組み合わせは、ビタミンB1の作用を長持ちさせ、疲労回復もスムーズに。今回の酢飯ご飯は、豚肉に豊富なビタミンB1をにんにくや玉ねぎのアリシンで栄養素を繋いでいます。

エネルギーの吸収を助けるクエン酸!
パイナップルなどのかんきつ類に豊富なクエン酸は、糖質の吸収を早める効果が。酢飯を作る時に入れるお酢は、クエン酸が豊富なだけでなく、酢酸の作用で黒すりごまなどに豊富なカルシウムの吸収を高める作用もあります。酢飯に混ぜるひき肉炒めに使用したトマトにもクエン酸が豊富です。

試合前の緊張やプレッシャー対策にはビタミンC!
じゃがいもはGI値(血糖値が上がるスピードを表す指標)の高い、素早くエネルギー源になる糖質を多く含む食材。またじゃがいものビタミンCは加熱に強い特徴が。皮にポリフェノールの一種、クロロゲン酸が含まれているため、今回は皮付き調理を選択。赤色パプリカ、ブロッコリー、トマトなどの緑黄色野菜、スイカ(スイカはトマトと同じ赤い色素成分「リコピン」も豊富)トマト、パインにもビタミンCが豊富です。

※写真は実家のじゃがいも畑

神経の働きをアップさせるカルシウム&マグネシウム!
カルシウム&マグネシウムのミネラルペアは、足がつるのを防いだり、試合前のストレスや緊張、瞬発力アップに欠かせない重要な栄養素。お味噌汁の中に入れた黒すりごま、じゃがいもとかぼちゃの白ワインビネガー炒めにトッピングした干し桜エビ、ブロッコリーのサラダにトッピングしたパルメザンチーズ(粉チーズ)いりこ、にんじんのラペに加えたアーモンドなどのナッツ類にも、カルシウム&マグネシウムペアが豊富です。
・合わせて読みたい→
食べることを意識すれば、運命はいとも簡単に変わっていく(http://cocokara-next.com/food_and_diet/be-conscious-that-eat-change-the-fate/)
献立実践!徹底解説(試合前)

●蝦夷鹿もも肉の赤ワイン煮込み

我が家で2016年シーズンからコンディション管理に本格導入しているジビエ。持久力向上やストレスの軽減など様々な効果を期待し、今回は蝦夷鹿もも肉を利用しました。スポーツ界では主にカルニチンの補給源として、競技前の栄養補給や競技後の疲労回復に重宝。高タンパク低脂肪、抗疲労効果で注目のイミダペプチドの一種、バレニンが豊富。近年、アンチエイジング医学界では「糖化」(たんぱく質と糖質が結びついて劣化すること)によるAGE(終末糖化産物。特に揚げ物など高熱が加わると大量に出来る)対策が話題ですが、同じく、イミダペプチドの一種、カルノシンも豊富で、優れた抗酸化&抗糖化作用が。今回は鉄分も意識しながらメニューに組み込みました。
●ブルーベリーとバナナのせ生甘酒ヨーグルト
ヨーグルトは乳酸菌発酵食品。腸内環境を整え免疫力アップに◎。生甘酒には酵素がたっぷり含まれています。甘酒は飲む点滴と呼ばれ、ビタミンB群、ミネラルの補給や、体力消耗時、夏バテ予防にも最適です。ブルーベリーは色素成分アントシアニンを含み、高い抗酸化作用が。目の主成分で、動物性たんぱく質に多く含まれるビタミンAと一緒に摂取することにより、紫外線から強力に目を保護。
バナナはスポーツ選手が試合前後に摂取する王道必須食材。消化がよく速やかにエネルギーになるだけでなく、様々な糖を含むためエネルギーを持続させる働きも。必須アミノ酸のBCAAも豊富。筋肉を回復させ、集中力も保持。ビタミンB群には炭水化物を効率よくエネルギーに変えてくれる役割もあるので一石二鳥。不足すると体力の低下や疲れやすさの要因に。ビタミンB群の補佐役となるマグネシウム、また筋収縮にも関わるカリウムも豊富。香気成分オイゲノールは白血球を増加。余談ですが、試合1時間前は、バナナにはちみつをかけて試合に挑むサッカー選手が多いです。
●ブロッコーリーとオクラのゆで卵入り、いりこサラダ
トップアスリートからこぞって支持を得ている非常に栄養価の高いスーパー野菜のブロッコリー。ビタミンCや抗酸化作用抜群の色素成分もたっぷり。卵は優秀なたんぱく源。たんぱく質は神経を作る大元です。オクラのぬめり成分は胃を保護。ここに、ブラザーイオンと呼ばれるカルシウム&マグシウムペア、グルタミン酸が豊富なパルメザンチーズをトッピング。ソースはヨーグルト、奈良漬味噌、レモン果汁で手作りしています。緊張やストレス対策、また、瞬発力アップにもなるオススメの1品。

●じゃがいもとかぼちゃのローズマリー、ガーリックの白ワインビネガー炒め、桜えびのせ
夫の大好物&日本代表時代からの試合前の験担ぎメニュー。かぼちゃとジャガイモはエネルギー源となる糖質が豊富。白ワインビネガーで炒めたのは、糖質の吸収を素早くするクエン酸が豊富且つ食欲を促すから。干し桜エビはマルチビタミン食材。たんぱく質やカルシウム、マグネシウムなどのミネラル、天然の色素成分で抗酸化作用抜群のアスタキサンチン、パフォーマンスアップに関わるDHA、タウリンなどが豊富。ローズマリーは古くから若さを取り戻し、集中力や記憶力を高める頭脳明晰作用のある薬草として知られています。全身の強壮効果が期待できるハーブ。筋肉は脳からの指令によって動きます。キレのある判断が必要な試合前は、血液循環をしっかり促す食材にも意識し、相乗効果を発揮させます。

●パインとスイカ
フルーツは夏バテ予防や疲労回復に優秀な食べ物。スイカは、トマトにも豊富な赤い色素成分で抗酸化作用も抜群なリコピンを含みます。またβカロテンの含有量が果物の中でもトップクラス。素早くエネルギーに変わる果糖やブドウ糖だけでなく、カリウム、マグネシウム、カルシウムなど、筋収縮にも関わる大切なミネラルも水分もたっぷり。飲み物からだけでなく、野菜や果物からも水分を摂取していくことが大切です。スイカは、食欲が落ちる夏場でも食べやすいことが特徴。パインはたんぱく質分解酵素を含むため消化をスムーズに。また、ビタミンCやクエン酸、糖質をエネルギーに変える役割を持つビタミンB1を豊富に含み、疲労回復効果も抜群です。

●漬物
今回は、赤血球に分布しやすいキサントフィル類が豊富な小松菜、独特な香りαピネンを含み消化機能を促し、ミネラルも豊富なミョウガ、栄養がたっぷり残されているため出汁をとった後の昆布も刻んで使用します。ぬか漬けの大根など、漬物は野菜の栄養価だけでなく、酵素や乳酸菌も豊富。免疫力アップや、夏場のミネラル補給源としても◎です。

●スプラウトとナッツのキャロットラペ
にんじんは直ぐにエネルギーになる糖質を多く含むグリセミック指数(GI値)の高い食べ物。抗酸化作用が抜群なβカロテンが豊富で、ここにレモンなどのビタミンCやクエン酸、クミン、黒こしょう、山椒など薬効が期待されるスパイスを使用しているため食欲増進効果も◎。ハーブやスパイスはフィトケミカル(植物が作り出す機能性成分)の宝庫。糖化や酸化を抑制する効果が抜群。ブロッコリーのスプラウトは注目の抗酸化成分スルフォラファンを含み、抗酸化作用が長時間持続することが大きな特徴。ナッツ類は今回、ビタミンCが豊富なくこの実、ビタミンEが豊富なかぼちゃの種、ピノレン酸を含む松の実、カルシウム、マグネシウム、ビタミンE摂取目的でアーモンド、オメガ3摂取目的でくるみが入っています。

●味噌汁
味噌汁は様々な食材をたっぷり入れられ、手軽に水分、味噌の栄養価もプラスして、ビタミン、ミネラルなど、これ1つで栄養バランスを上げることの出来る非常に優秀な1品。濃い目の味噌汁は熱中症予防に推奨でき、夏場は特に、具材にバリエーションをつけながら毎日いただきたい食べ物。この日は試合前を意識しているため、ビタミンB群が豊富で抜群の抗酸化作用、アスタキサンチン色素を持つ鮭を一口大に切って入れています。すりごまを入れたのは、抗酸化物質のゴマリグナンやセサミン、また、カルシウム&マグネシウムの強化目的。春菊はβカロテンが豊富。独特な香り成分に試合前の緊張をほぐすなど自律神経系への作用を期待しています。

※飲料は手作りの黒酢はちみつレモン水
酢やレモン、ビネガー類は、料理と一緒に摂取すると糖化の害を半減させるといった研究報告が。我が家では、2回目の大怪我をした2004年から揚げ物は自宅ではしなくなりましたが、高温で加熱調理する料理法には必ずAGEが生み出されます。レモンなどのかんきつ類は、クエン酸だけでなくビタミンCも豊富。抗酸化作用も抜群のため、調理時&夏場は特に積極的に利用するようにしています。

「特製!夏の勝負前!そぼろ長芋酢飯」

(2人分)
酢めし お茶わん2杯分
合いひき肉、長いも 各100g
玉ねぎ、赤パプリカ、トマト 各1/4個
しょう油、はちみつ 各小さじ1
にんにく、しょうが 各1片
オリーブ油、パセリ 適量
(1)フライパンにオリーブ油、みじん切りにしたにんにく、しょうがを入れて火にかけ、香りが立ってきたら、あられ切りしたトマト、赤パプリカ、玉ねぎをしんなりするまで炒める。
(2) (1)に合いひき肉を加え、しょう油、はちみつを入れて肉の色が変わるまでさっと炒めて火を止める。
(3)器にさいの目切りにした長芋、ご飯を入れて酢飯を作り、(2)を加えてざっくりと混ぜ、仕上げにパセリのみじん切りをふる。
それでは栄養説明です。
試合前に必要な栄養素で構成しました。
酢飯⇒試合前に必要な脳と体のエネルギー源になる糖質が豊富。(比較的消化がよくビタミンB群が豊富な発芽玄米と直ぐにエネルギーになる消化の良い白米のブレンド)筋肉は脳からの指令によって動きます。試合前はしっかりと炭水化物をとって体にエネルギーをパワフルに送り込むだけでなく頭も働かせることが重要。酢にはクエン酸が含まれ糖質(炭水化物)の吸収を早める働きが。はちみつは直ぐにエネルギーになり、試合前後に◎
長芋⇒滋養強壮食材。栄養価が高く、亜鉛や鉄、ビタミンB群やビタミンCなどの栄養成分に加え、消化酵素であるアミラーゼやジアスターゼを含み、炭水化物の消化機能を促進。長芋の栄養を最大限にいただきたいなら生摂取が◎。胃の粘膜を守るぬめり成分も含んでいるため、タンパク質を効率良く消化吸収。
パセリ⇒脇役に思われがちなパセリは、実は非常に栄養価の高く、積極的にどんどん摂取していきたい抗酸化物質も豊富な優秀食材。香り成分アピインの、試合前に過敏になりがちな神経を和らげてくれる抗不安作用に期待。代用するなら同じアピインを含むセロリで。
トマト⇒三大抗酸化成分のβカロテン、ビタミンC、ビタミンEを含み、更に色素成分リコピンを含むため抗酸化作用は抜群!トマトのリコピンは加熱したり、油と一緒に摂取することにより吸収率が上がります。またトマトのクエン酸には糖質(炭水化物)の吸収を早める効果も。
赤パプリカ⇒赤血球に分布しやすいカロテノイドのキサントフィル類が豊富。呼吸持久力を上げるために用いています。パプリカのビタミンCは加熱に強く、キサントフィル類は油と一緒に摂取することにより吸収力が高まるため、炒める調理法を選択しました。
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
[文:山瀬理恵子]
山瀬 理恵子(やませ・りえこ)
1977年9月16日生まれ。
http://yamasefamily.com/rieko-yamase
小学校教諭を経て、サッカー元日本代表で現在アビスパ福岡所属の現役Jリーガー山瀬功治と結婚。(今季プロ19年目。三浦知良選手に並ぶJ歴代2位の18年連続ゴール記録を達成)京都新聞朝刊にて3年間のスポーツ栄養レシピ・コラム連載を書籍化した著書「アス飯レシピ」を京都新聞出版より2017年8月に発売。(1ヶ月で重版決定)キューピーマヨネーズ料理グランプリ2015京都府代表。人気レシピサイトクックパッドに公式キッチンを持つ。
サッカーダイジェストテクニカルにてスポーツ栄養レシピ・コラム連載2年。PHP研究所巻頭料理カラー2年。サッカー協会、株式会社アスリートフードマイスター、京都サンガF.C、アビスパ福岡アカデミー、小中高、大学他各教育機関・Jr.アスリート保護者及び企業にて栄養学講演、調理実習多数開催。
2017年より味の明太子ふくや、味の兵四郎、テレビ西日本&西日本スポーツ新聞料理コーナー「山瀬理恵子のアス飯」レギュラーを担当。2018年北海道十勝郡浦幌町ふるさと大使に任命。京都新聞読者情報誌「きらっと!京滋」5月号より新連載。福岡県筑紫女学園大学にて人間科学部大西良准教授及び『LIKKE』大学生らが取り組む「子ども食堂」をアス飯でサポート。福岡サンパレスホテル坂本憲治総料理長とアス飯弁当をコラボ、レベルファイブスタジアムにて販売。