2018年8月8日、東京都世田谷区の昭和女子大学で「朝小サマースクール2018」(朝日学生新聞社主催)が開催された。子どもたちと保護者など2,282人が参加し、「さかなクン」のスペシャルステージや、夏休みの自由研究に役立つワークショップの数…

2018年8月8日、東京都世田谷区の昭和女子大学で「朝小サマースクール2018」(朝日学生新聞社主催)が開催された。子どもたちと保護者など2,282人が参加し、「さかなクン」のスペシャルステージや、夏休みの自由研究に役立つワークショップの数々を楽しんだ。なかでも「パラスポ+!」編集部が注目したのは、ブラインドサッカーに関する2つのギネス世界記録™に挑戦するイベントだ。

1つ目の挑戦は、ブラインドサッカー日本代表の寺西一さんが、目隠しをした状態で6メートル先の的に1分間でボールを何回命中させられるかというもの。標準記録の5回をクリアすればギネス記録に認定される。

通常のサッカーボールよりも一回り小さいボールで、幅15センチほどの的の中心に当てると有効回数にカウントされる。周囲からの声のアドバイスを禁じられているため、「左右どちらに、どの程度外れたかわからないので調整が難しい」と寺西さん。方向を知らせるためにサポート役が的を手で叩いて出す音と、ボールが転がる際に出る音だけが頼りだ。

「3、2、1、スタート!」。公式認定員のカウントダウンでチャレンジが始まる。最初はなかなか方向が定まらなかったものの、リズムよく蹴り込むボールは、徐々に的を捉えていく。結果は4回で惜しくもギネス世界記録認定とはならなかったが、「的を叩いて方向を知らせてくれたり、ボールをセットしてくれたり。みなさんに感謝したい」と寺西さんがコメントすると、会場は温かい拍手に包まれた。

2つ目の挑戦に移る前に、東京都のパラスポーツ応援プロジェクト「TEAM BEYOND」のメンバーに登録した子どもたちが、NPO法人日本ブラインドサッカー協会のスタッフの指導のもと、ブラインドサッカーのPKを体験した。朝日小学生新聞の読者で、千葉県から母親と参加した山崎蒼大さん(小学校6年生)は、「アイマスクをすると軸足が曲がってしまい、真っすぐにボールが飛ばなかった。あんなに離れた的に当てる寺西選手はすごい!」と感想を語ってくれた。

子どもたちの熱気冷めやらぬ会場では、次なるギネス記録チャレンジ「最大のブラインドサッカーレッスン」の準備が始まった。250名以上の参加者が同時に30分のレッスンを受けると、ギネス記録に認定される。

寺西さんやスタッフの指導で、アイマスクをした人への合図の送り方やシュート練習などが行われた。終了後、服装や練習に臨む姿勢といった厳しい条件に沿った審査が始まった。

約30分後、参加者の前に現れた公式認定員は、「多くの方はこの会場で初めて顔を合わせたはず。チャレンジの成否にかかわらず、一つの目標に向かって力を合わせたことが一番の宝物。すでにみなさんは大きなことを成し遂げたのです」と、チャレンジを総括。参加者が固唾をのんで見守る中、告げられた結果は、有効参加者数287名。見事にギネス世界記録認定となり、歓声とともにハイタッチをする子どもたちの姿が見られた。

ブラインドサッカーは、視覚障がいのある選手がアイマスクをしてプレーし、キーパーは晴眼者または弱視者が担う。ゴール裏には、「ガイド(コーラー)」が立ち、攻撃時にはゴールの位置や距離、角度、シュートのタイミングなどを声で伝える。視覚障がいのある人と晴眼者が協力して初めて成立する競技だ。

2020年東京パラリンピックの競技種目に採用されているブラインドサッカー。障がいのある人もない人も、共に暮らす共生社会を実現するための象徴として、盛り立てていきたい競技の一つだと感じさせるイベントだった。