今季メジャーの最終戦となる全米プロ選手権(8月9日~12日)がミズーリ州のベルリーブCCで行なわれた。有力どころが顔をそろえた熾烈な優勝争いを制したのは、6月の全米オープンで連覇を遂げたブルックス・ケプカ(アメリカ)。今季メジャーで2…
今季メジャーの最終戦となる全米プロ選手権(8月9日~12日)がミズーリ州のベルリーブCCで行なわれた。有力どころが顔をそろえた熾烈な優勝争いを制したのは、6月の全米オープンで連覇を遂げたブルックス・ケプカ(アメリカ)。今季メジャーで2勝を挙げて、世界ランキングは自身最高の2位まで浮上した。
そのケプカらを追って大観衆をもっとも沸かせたのは、タイガー・ウッズ(アメリカ)だった。序盤からバーディーを重ねて、前半を終えた時点ではトップと1打差まで迫った。
最終的には、通算16アンダーまで伸ばしたケプカには2打及ばなかったものの、単独2位でフィニッシュ。6位タイで終えた全英オープンに続いて、メジャー大会で優勝争いに加わり、”完全復活”が間近であることをあらためて示した。その姿を見た世界中のファンが、今後への期待を一層膨らませたのではないだろうか。
一方、注目の松山英樹は、通算4アンダー、35位タイに終わった。昨年の大会ではメジャー制覇まであと一歩というところまで迫ったが、今年は「自分に期待していない」と言うほど悪い状態にあって、本来の”松山らしい”プレーはあまり見られなかった。
全米プロは35位タイに終わった松山英樹。photo by Getty Images
「(復調へ向けてつかみかけているものは?)それが、ないから困っているんですよね。いろいろとやっていますけど……。メジャーなので、結果を出したい気持ちは少なからずあるが、ここまで(状態が)悪いので。まあ、すぐによくなるとは思っていないので、何か(今大会で復調への)きっかけでも作れればいいな、と」
先の全英オープンでは、まさかの予選落ちを喫した松山。今季最後のメジャー大会に向けても、大会前のトーンは低いままだった。それでも初日は、首位と4打差の通算2アンダー、16位タイで発進。まずまずのスタートを切って、松山もホッとした表情を見せた。
「チャンスは少なかったけど、ティーショットをフェアウェーに置くことができた。最近はティーショットから崩れることが多かったので、そこは評価したい。(パットに不安を抱えるなか)ノーボギーで終われたこともよかった。メジャーの初日としては、いいスコアで上がれたと思う。
アイアンは評価するまでもないですね。ファアウェーから打っているだけで、チャンスにも何にもなっていないし。まあ、それが今の自分の状態なので、何とも思わないです。先週の大会(WGC ブリヂストン招待)でも2日目に崩れているので、明日も(今日のようなプレーを)続けられるようにしたい」
第2ラウンドは悪天候に見舞われて、未消化のラウンドは3日目に順延された。松山も残りの8ホールを3日目の早朝にこなして、トータル6アンダー、3ボギー、1ダブルボギーの「69」。通算3アンダー、25位タイで決勝ラウンドへ駒を進めた。
その直後に行なわれた第3ラウンド、「うまくいかなかったなという感じでした」という松山は、3つのバーディーを奪うも、4ボギー、1ダブルボギーを叩いて失速。スコアを3つ落として通算イーブンパー、順位も63位タイまで後退した。
「(第3ラウンドは)やっぱりフェアウェーにいかなかったことがね、その後のプレーを苦しくしたという感じですね。(ショットの感触は)ずっとよくなってはいない。(第1ラウンド、第2ラウンドも)たまたまフェアウェーにいっていただけなんで。
(第2ラウンドの18番と第3ラウンドの13番でのダブルボギーが痛かった?)そうですね。まあ、すべてがこう、うまくいかない状況なんで。ああいう(難しい)状況になると、余計に苦しくなるというか、なかなかうまくまとめられないという感じですね」
上位争いから完全に脱落して臨んだ最終ラウンド。松山は「何かひとつでも、いいきっかけが見つけられれば」と話していたが、1番から3連続パーのあと、4番でダブルボギーを叩いて”最悪のスタート”を切った。しかし、そこから6バーディー、1イーグルを奪う逆襲を見せて、トータル「66」。4つスコアを伸ばして、日本勢最高の35位タイまで順位を上げて大会を終えた。
「本当は4日間、こういうスコアで回れればいいんですけど……。まあ、悪いところのほうがメインでしたけど、(最後は)いいところも少なからずありました。それを(今後の)試合をこなしていくなかで、徐々に増やしていければいいなと思います。
(最後はバーディー。完璧な締めくくりだったが?)そうですね。久々にいいアイアンショットが打てました。でもやっぱり、本当はこんなところ(スタートが早い組)で回っていたくない。(上位争いできる)今ぐらいの時間にスタートしたい。それが今、できないっていうのがすごく悔しい」
結局、今季はメジャー大会で一度も優勝争いに加わることができなかった松山。近年、日本勢初のメジャー制覇への期待は膨らむ一方だが、その夢はまた、来年へ持ち越されることになった。
「来年のメジャーに出るための資格がまだ何もないんで、(今季の残りの試合で)しっかりとやって、(プレーオフ最終戦に出場できる)フェデックスカップランキング30位以内に入れるようにしたい。今はだいぶ下の順位なので(88位。8月13日現在)。残りの試合でがんばりたいな、と思います」
実際のところ、松山が世界ランキング50位以内から落ちることは考えられないため(現在16位)、来季もメジャー大会に出場することは可能だろう。
とはいえ、それを確定させ、メジャーで頂点を狙うことを考えれば、残りのシーズンで結果を残して、復調への足がかりをつかむことが重要になる。それには「もうちょっと不安がなくなるようにしたい」と言う松山が、自信をもってプレーできる日が早く戻ってくることを願うばかりだ。