日本オリンピック委員会(JOC)は21日、都内で、リオデジャネイロ五輪に出場する競技団体の強化トップを集めた五輪監督会議を開き、現地の治安などについて注意喚起した。対策として歩きスマホの禁止などを求め、強盗に遭遇した場合は抵抗せずに金品を渡すことなどの対応策を示した。日本選手団の高田裕司総監督は「過去にこれほどの安全管理はしていないと思う」と話した。

 リオデジャネイロの治安は悪化している。19日未明には約25人の武装集団が、五輪の開閉会式会場のマラカナン競技場近くにある病院を襲撃。警官との銃撃戦の末、警察の監視下で入院していた麻薬密売の容疑者の男と逃走した。病院はリオ市が五輪期間中の旅行者らの救急搬送先に指定している病院。各国の選手団らの間で治安に対する懸念が高まっている。

 この日の監督会議には各競技団体の強化トップが集まった。現地視察から20日に帰国したJOCの西村国際部長は「街は危険。不用意に街には出ないこと。複数人数で行動し、路地には入らないこと」など、安全管理対策を徹底しなければならないと強調した。

 現地総領事館の情報を基にした日本代表選手団の「安全管理マニュアル」(暫定版)によると、リオの殺人発生率は日本の25倍、強盗は660倍。マニュアルには強盗に遭遇した場合には「抵抗せず、要求された金品は素直に渡す」「他人が襲われているのを見ても、むやみに助けに行かない」と明記された。現地では中古のスマホが50万円の価値があるといい、歩きスマホは危険極まりない。「(襲われているところに)助けに行っても何にもならない。そんなレベルではない」と西村国際部長は話した。

 17日にはリオ州の知事代行が財政が危機的状況にあるとして非常事態を宣言した。財政悪化で警備担当者が危険な現場を避けたり、職務放棄する可能性もあるとされる。日本陸連の尾県専務理事は「選手村から大きく外れて走らせられない。コーチには強く言っておかないといけない」と危機感をあらわにした。

 日本選手団の高田裕司総監督は「過去にこれほどの安全管理はしていないと思う。かなり選手団には厳しく言う必要がある」と話した。外国勢と競う前に、自分の身は自分で守らなければならないということだ。

 ◆リオデジャネイロの治安情勢 在リオデジャネイロ日本国総領事館の安全の手引によると、リオ州では01年以降、一貫して犯罪認知件数が増加し、年間の犯罪発生件数は過去13年間で約1・8倍上昇した。殺人事件や強盗事件等の凶悪犯罪は13年から増加傾向に転じた。邦人の被害は路上強盗被害が多く、特に週末・夜間の旅行者の被害が多発。被害品では、現金のほかスマートフォン(特に高額で取引されるiPhoneシリーズ)が目立つ。