たくましい胸や整ったバストラインを手に入れるためには、胸の筋肉を鍛える必要があります。そして、胸を鍛える代表的なエクサ…

 たくましい胸や整ったバストラインを手に入れるためには、胸の筋肉を鍛える必要があります。そして、胸を鍛える代表的なエクササイズが「腕立て伏せ」です。とはいえ、いつも同じ腕立て伏せでは刺激に慣れてしまいます、また、体力がない人や女性にとって腕立て伏せは負荷が高く、思うようにできるエクササイズではありません。そこで今回は、初心者から上級者まで、体力に合わせた腕立て伏せのバリエーションを6つご紹介していきます。

腕立て伏せのバリエーション(初心者向け)

 まずは、初心者向けから。

<膝つき腕立て伏せ>

 腕立て伏せが1回もできないという人は、強度の低いこのエクササイズから取り組みましょう。

1.腕立て伏せの姿勢になります。この時、手幅は肩幅よりもこぶし2個分、外側に広げて床についてください。膝を90度に曲げ、床につけましょう。

2.肘を曲げてカラダを下ろしていきます。この時、しっかりと肘を曲げていき、胸が床にくっつくくらいの位置まで下ろすとよいでしょう。

3.下せるところまでいったら、肘を伸ばしカラダを持ち上げていきます。

4.この動作を繰り返します。

 お尻が上がったり下がったりしないよう、頭から膝までの姿勢を一直線にすることを意識して動作を行います。

<アイソメトリクスプッシュアップ>

 肘を伸ばして起き上がることができない人は、姿勢を保つ方法で行ってみましょう。

1.腕立て伏せの姿勢になります。この時、手幅は肩幅よりもこぶし2個分、外側に広げて床につきます。

2.肘を曲げてカラダを下ろしていきます。この時、しっかりと肘を曲げていき、胸が床にくっつくくらいの位置まで下ろすとよいでしょう。

3.その姿勢を10秒間キープします。

 姿勢を元に戻せなくてもできる、腕立て伏せのバリエーションです。キープする時は、カラダを一直線に保つように気をつけましょう。

<インクラインプッシュアップ>

 頭側を高くすると負荷が軽くなり、筋力がない人でも取り組むことができます。

1.両手をテーブルやイスなどの上に乗せ、頭が足よりも高くなるようにして腕立て伏せの姿勢になります。

2.肘を曲げてカラダを下ろしていきます。肘の角度が90度になる程度を目安としてください。

3.下せるところまでいったら、肘を伸ばしカラダを持ち上げていきます。

4.この動作を繰り返します。

 このエクササイズは、胸の下部を鍛えます。頭側が高ければ高いほど動作は楽になるでしょう。慣れてきたら、腕立て伏せの角度に近づけていくようにしてみてください。

腕立て伏せのバリエーション(上級者向け)

<デクラインプッシュアップ(上級者向け)>

 より胸に負荷をかける上級者向けの腕立て伏せです。

1.腕立て伏せの姿勢になります。この時、手幅は肩幅よりもこぶし2個分、外側に広げて床につきしょう。足を台やイスなどの上に乗せ、頭が足よりも低くなるようにします。

2.肘を曲げてカラダを下ろしていきます。胸が床にくっつく程度の位置まで下ろすとよいでしょう。

3.下せるところまでいったら、肘を伸ばしカラダを持ち上げていきます。

4.この動作を繰り返します。

 こちらは、胸の上部を鍛えるエクササイズとしても効果的です。腰を反らせて動作を行わないように注意しましょう。

<ワイドスタンスプッシュアップ>

 手幅を広くして行う腕立て伏せです。

1.腕立て伏せの姿勢になります。腕立て伏せの手幅よりも、さらにこぶし1~2個分、外側に広げて床につきます。

2.肘を曲げてカラダを下ろしていきます。この時、胸が手に触れる程度の位置まで下ろすとよいでしょう。

3.下せるところまでいったら、肘を伸ばしカラダを持ち上げていきます。

4.この動作を繰り返します。

 手幅を広くすることにより、胸の筋肉への刺激量が増えます。肘を真横に広げるように曲げていきましょう。

<ナロースタンスプッシュアップ>

 手幅を狭くして行う腕立て伏せです。

1.腕立て伏せの姿勢になります。手幅は手が三角形を作るように親指同士を触れ合わせ、床につきましょう。

2.肘を曲げてカラダを下ろしていきます。この時、しっかりと脇を締めたまま肘を曲げていき、胸が手に触れる程度の位置まで下ろすとよいでしょう。

3.下ろせるところまでいったら、肘を伸ばしカラダを持ち上げていきます。

4.この動作を繰り返します。

 手幅を狭くすることにより強度が上がるだけでなく、胸の内側や上腕三頭筋に多くの刺激が入ります。カラダを下ろす時は、肘が開かないように脇を締めたまま動作を行いましょう。

さらに刺激を加えるためのテクニック

 腕立て伏せの負荷を変えるには、エクササイズの選択以外にもさまざまな方法があります。ここでは、刺激を増やすためのテクニックを紹介しましょう。

<動作スピードを「ゆっくり」「できるだけ速く」>

 回数がこなせるようになったら、動作スピードを変えてみましょう。たとえば、「5秒かけてゆっくりと下ろす→1秒で元の姿勢に戻る」というように、いつもよりゆっくり行うだけで負荷が大きくなります。

 また、できるだけ速く動作するというのも効果的。10秒間で何回できるかなど制限時間を設けると、意識して速い動作を行うことができます。

<加重してみる>

 ダンベルやバーベルのプレートを使ったり、子どもを背中に乗せたりするなど、加重しながら行ってみましょう。ただし、重さが増えることでフォームが崩れやすくなりますので注意してください。

<瞬間的な筋力発揮を意識する>

 起き上がる際に一気に力を入れ、両手を床から浮かせるようにします。この動作は負荷が高まり、筋肉に大きな刺激を与えることが可能です。どの腕立て伏せのバリエーションでも行うことができるので、刺激に慣れてきたら取り入れてみましょう。

おわりに

 もし腕立て伏せが50回、100回など高回数こなせる場合は、負荷が軽すぎる証拠です。筋力を高めるためには負荷を増やし、10回くらいしかできないよう強度を変化させる必要があるでしょう。

 今回紹介したエクササイズ以外にも、腕立て伏せのバリエーションは数多くあります。いろいろなエクササイズにチャレンジして、腕立て伏せをマスターしましょう!

[著者プロフィール]
和田拓巳(わだ・たくみ)
プロスポーツトレーナー歴16年。プロアスリートやアーティスト、オリンピック候補選手などのトレーニング指導やコンディショニング管理を担当。治療院での治療サポートの経験もあり、ケガの知識も豊富でリハビリ指導も行っている。​スポーツ系専門学校での講師や健康・スポーツ・トレーニングに関する講演会・講習会の講師経験も多数。そのほか、テレビや雑誌でも出演・トレーニング監修を行う。日本トレーニング指導者協会JATI-ATI。
【HP】https://wada0129.wixsite.com/takumiwada

<Text & Photo:和田拓巳>