WEEKLY TOUR REPORT米ツアー・トピックス 2018-2019シーズンのPGAツアースケジュールがようやく発表された。当初、5月のプレーヤーズ選手権の際に予定されていたものが、およそ2カ月遅れでの発表となった。 新シーズン…

WEEKLY TOUR REPORT
米ツアー・トピックス

 2018-2019シーズンのPGAツアースケジュールがようやく発表された。当初、5月のプレーヤーズ選手権の際に予定されていたものが、およそ2カ月遅れでの発表となった。

 新シーズンは、今季より3試合減となって全46試合。ナパバレーで行なわれるセーフウェイオープン(10月4日~7日/カリフォルニア州)からシーズンが開幕し、来年8月末のツアー選手権(8月22日/25日/ジョージア州)で幕を閉じる。

 これまでよりも、約1カ月も早くシーズンが終了することになるが、コミッショナーのジェイ・モナハン氏は、「大きな改革となった。PGAツアーは大きく変わって、ますますエキサイティングな戦いになる」と、ツアーのさらなる盛り上がりに自信を見せた。

 今回のツアー改革によって、実際にはいいところも、悪いところもいろいろあるようだが、どんなプラスとマイナルがあるのか、その両面を検証してみたい。

 最大の変化は、全米プロ選手権が8月開催から5月開催に移行することだ。これで、4大メジャー大会が4月のマスターズに始まって、5月の全米プロ、6月の全米オープン、そして7月の全英オープンと、毎月行なわれることになる。

 メジャー大会が毎月開催されることは、シーズンがリズムよく進んでいくため、選手にとっても、ファンにとってもいいこと。加えて、「第5のメジャー」と呼ばれるプレーヤーズ選手権が5月から3月開催へと戻されることになって、メジャー前哨戦としての位置づけがより鮮明になり、注目度が増すこともプラスだろう。

 このスケジュールによるマイナス面は、年明けからプレーヤーズ選手権まで過密スケジュールになること。カリフォルニア州サンディエゴで行なわれるファーマーズ・インシュアランスをはじめ、AT&Tペブルビーチ・プロアマ、ジェネシスオープンなど、1月後半からの西海岸シリーズを皮切りに、その直後には世界選手権シリーズ(WGC)のメキシコ選手権が行なわれ、そのすぐあとにフロリダシリーズへと突入する。そこで、アーノルド・パーマー招待、プレーヤーズ選手権などがあって、マスターズを前にして10週間以上も注目トーナメントが目白押し。トッププレーヤーは、どの試合を休めばいいか、おおいに悩むことになるだろう。

 また、全米プロが5月開催になることにおいては、開催コースの選択肢が増えることもプラス要素だろう。8月だと暑すぎて、これまでは開催できなかった地域のコースでも、今後はその候補に挙げられる。全米プロ自体も、マスターズと全米オープンの間に挟まれることによって、より注目され、これまで以上の盛り上がりが期待できる。

 一方、全米プロの5月開催のあおりを受けて、これまでテキサス州ダラスの隣町同士で連続して開催されていたバイロン・ネルソン選手権と、フォートワース招待(来季からの大会名はチャールズ・シュワブチャレンジ)の日程が離れてしまった。この点では、選手の移動が大変になることもさることながら、2週続けてトーナメントが開催されてきた、隣町同士の盛り上がりが薄れてしまわないか、心配される。

 6月のロケット・モーゲージクラシック(ミシガン州)と、7月の3Mオープン(ミネソタ州)という新たに増えた2大会については、ともに全米でもゴルフファンが多いことで知られる地域での開催となるため、2大会ともに盛況な大会になることが期待されている。

 翻(ひるがえ)って、タイガー・ウッズのファウンデーションが主催する7月のクイッケンローンズ・ナショナルが、来季は開催されなくなった。理由は、クイッケンローズが大会スポンサーを降りて、代わりのスポンサーが見つからなかったからだ。

 故アーノルド・パーマー氏のパーマー招待や、ジャック・ニクラウスが大会ホストを務めるメモリアルトーナメントのように、長く続くと思われていたトーナメント。しかしながら、ウッズをもってしてもスポンサーが見つからなかった。それは、米ゴルフ界にとって、衝撃的なニュースとなった。

 来季は今季から3試合減となるが、フェデックスカップ・プレーオフもこれまでの4試合から3試合に減る。年間王者が1000万ドル(約11億円)を獲得するポイントレース。そのプレーオフでは、4試合で起こる”エキサイティング”な大逆転劇が話題となり、世間の注目を集めてきた。

 それが、3試合になった場合、どんな展開になるのだろう。ポイント制度においても、あらためて精査する必要があるだろう。



来季はフェデックスカップ・プレーオフも3試合となる

 何はともあれ、8月末にPGAツアーが終了することは、ツアーにとっての悲願でもあった。なぜなら、9月に入ると全米で大人気のNFL(アメリカンフットボール)シーズンが開幕するからだ。

 これまで、9月以降のPGAツアーは、NFLにスポーツファンを奪われてきた。それは、ウッズがどれほどの活躍を見せようとも変わらなかった。

 はたして、これでゴルフファンが増えて、ツアー改革は大成功を収めることができるのか。まずは、来季から始まる新たなPGAツアーに注目である。