強豪・報徳学園を相手に公式戦初完投 9回1失点と力投の橋本達弥 第100回全国高等学校野球選手権記念東兵庫大会・準々決勝が24日に行われ、長田は報徳学園に惜しくも0-1で敗れた。これで、長田の本格派右腕・橋本達弥の夏が終わった。 橋本は立ち…

強豪・報徳学園を相手に公式戦初完投 9回1失点と力投の橋本達弥

 第100回全国高等学校野球選手権記念東兵庫大会・準々決勝が24日に行われ、長田は報徳学園に惜しくも0-1で敗れた。これで、長田の本格派右腕・橋本達弥の夏が終わった。

 橋本は立ち上がりに味方の失策で走者を出したが、落差のあるフォーク、ストレートをうまく使い分け、連続三振を奪ってピンチを脱した。以降はテンポの良い投球で凡打を築き、ストレートは146キロを計測。コーナーを丁寧に突く絶妙なコントロールで公式戦初完投。3安打1失点、無四球と快投を見せたが、1点に泣いた。「(失点した)2回だけでしたね。少し甘くなったスライダーを打たれて…。でも、(怪我で投げられなかった)5、6月に不安だったことを思えば、よく投げてくれました」と、永井伸哉監督はエースをねぎらった。

 昨夏の県大会でも登板し、140キロを超える速球を披露して周囲をざわつかせた右の本格派。だが、秋に腰椎を痛め、投げることができなかった。11月からようやくピッチングを開始したが、腰の様子を見ながらだったため、冬場の練習も思うようにはできず。走れない代わりにチューブを使ったインナートレーニングなどを重ねた。

 春になり対外試合解禁になって、ようやく本格的に実戦復帰。地区大会では最速の147キロをマークするなどストレートに力強さがついたが、4月上旬に腰の骨を疲労骨折していることが分かった。「正直、夏に間に合うのか不安でした。可動域を鍛えるトレーニングなどをして、何とか間に合わせました」と本人は振り返った。

相次ぐ怪我も、最後の夏に「何とか間に合わせた」

 5月の下旬から1イニングずつ投げて実戦感覚を取り戻し、6月下旬には7回まで投げられるようになったが、永井監督は不安を隠せなかったという。「冬場に思うように練習ができていないので、夏にどれだけ粘って投げられるのか。今日の試合でも後半でバテるのではと思いました」。

 だが、バテるどころかストレートの威力はまったく衰えず、フォーク、スライダーはさらに切れ味を増していく。「2回に打たれても切り替えられたし、自分のテンポで投げられました。ずっと待ち望んだ私学との対戦。でもストレートで力勝負にいっても相手はスイングが強い。スピードより球の回転数を意識して、左打者にはフォーク、右打者にはスライダーをうまく投げ込んでいけました」と胸を張った。

 特に楽しみにしていたのが、プロも注目する1番・小園海斗との対戦だった。「向こうは自分に比べたらずっと上の人。でも、同じ高校生だし、ここで自分が力を発揮したら自分も注目してもらえるかもしれないと思って」と強気に攻めた。8回には自信のあるフォークをうまく落として空振り三振を奪うなど、無安打に抑え込んだ。

 1点が最後まで重くのしかかった試合だった。「いいピッチングはできても負けは負け。冬場にもっと練習できていたら、2回は抑えられたのかもしれません」と悔しさをにじませた。だが、結果以上に得た自信はあまりにも大きかった。「今後のことはこれから考えますが、いつかプロに行きたいです」と、さらなるステージでの糧にしてみせる。(沢井史 / Fumi Sawai)