京都大会では試合開始時間を変更

 今夏の日本列島を襲う連日の猛暑。連日、熱中症で何人が救急搬送された、というニュースが飛び交い、そのさなかに開催されている夏の甲子園を目指す地方大会を運営する各都道府県の高校野球連盟関係者は頭を悩ませることとなっている。

 そんな中、38度を超える酷暑の続いていた京都府高校野球連盟が対策に乗り出した。23日に行われた準々決勝の試合開始時刻を変更。第1試合、第1試合は従来通りの午前8時半、11時開始としたが、最も暑さが厳しくなる昼間に休憩時間を挟み、第3試合を16時、第4試合を18時半開始としたのだ。

 その前の4回戦でも早朝の開始時間に変更するなど、あれこれと対策を講じた京都府高野連。その経緯について井上明・京都府高野連理事長はこう明かす。

「京都市では1週間以上、38度を超える暑さが続いていて、選手だけでなく応援団も熱中症で倒れる事態が続いていました。熊本大会でも応援していた生徒さんが何十人も熱中症で倒れたというニュースがありましたし、何とかしないといけないと思い試合時間変更に踏み切りました。これは今までにないことです」。

 京都大会でも大会半ばの頃は選手だけでなく、1日に何人もの応援団の生徒が医務室に運ばれ、救急車を呼ぶ事態が続いていた。状況を重く見た同連盟は、20日に行われた試合では応援団を一切入れず、試合を行って状況を確認した。

 そして翌日からは甲子園でも起用されている応援団責任者を各校に2人配置し、連盟の担当者と綿密に連絡を取り合い、水分をこまめに取ることや小休憩をしっかり取ることを徹底周知。その中で熱中症になりやすい人の傾向も徐々に分かってきた。

対策を講じて行われた22日は救急搬送どころか、医務室に運ばれた人もいなかった

「やはり多いのは水分を摂っていない人、朝ご飯を食べていない人、睡眠不足の人です。なので、せめて水分は応援団も3回、5回、7回が終われば絶対に摂ること。スタンドでそこはしっかり見ていただいて、水分を率先して摂ってもらうようにしました」(井上理事長)

 徹底事項を繰り返し周知することで、学校側にも自然と緊張感が生まれ、生徒側も気がつけば水分を摂るようになるなど、選手だけでなく球場に詰めかける学校の生徒なども熱中症対策を率先して行うようになった。去年までは学校側がほとんど用意していなかった経口補水液も、ほぼ全校が用意。その甲斐があって、22日は救急車どころか医務室に運ばれる人も1人もいなかったという。

 ただ、準々決勝の4試合目はナイターとなり、帰宅時間や生徒らの疲労などを懸念する声がインターネット上にあがっていた。4試合目でもスタンドには多くのお客さんが詰めかけていたが、3試合目の時間が少々長引き、開始が19時となったうえ延長戦になったため、生徒らの帰宅時間を懸念するアナウンスも流れた。苦渋の決断の中に、さらに新たな問題が生まれたが、今回は応急処置として判断された日程。来年以降は準々決勝を1日2試合ずつにするなと、検討の余地がありそうだ。

 時間変更に伴い、試合時間が夜間となるため球場関係者の業務量も増えてしまうが「球場側は全面的に協力してくださっているのでありがたいです」と井上理事長は話す。24日の休養日を挟み、25日の準決勝も第1試合は8時半、第2試合は11時開始。決勝戦は朝の9時開始予定としている。

 敢えて夕方からにしなかったのは「早く始めた方が選手たちの体の負担が少ない。午後にすると(アップなどの)準備時間は昼間になるので、どのみちキツイでしょう」と少しでも選手らの負担にならないよう配慮をしている。大会の開催が決まっているこの段階で、いきなり会場や開催時期の変更は難しい。だが、その中で熟考を重ね、現地で動き回る関係者も多くいる。

「一番大事なのは選手の健康面。その中で応援団の生徒や審判の方々、もちろん観客の方の健康面へ最大の配慮も第一です。盆地で暑さに慣れているはずの京都の人間でも、今年の暑さは異常に感じます。この暑さへの対策は連盟の中で相談した上で決断しましたが、これからも考えることはありそうですね」。延長戦になったことで、試合時間に関しても新たな問題が生まれたが、13時半からの試合開始時間を変更せずに行っていたら熱中症の人が続出していたかもしれない。

 何もしないより対策を講じた連盟は素晴らしいという声もあるが、こういったケースも踏まえ、来年以降の日程は慎重に考えていく必要がある。(沢井史 / Fumi Sawai)