2年後に迫った東京パラリンピックを、新しい「スタート」と言い切るパラ卓球の若きエース。自身の活躍によって、卓球のみならずパラスポーツ全般の魅力を広めることが彼の目標だ。

「東京パラは、ゴールではなく新しいチャレンジの始まり」

パラ卓球界のエースとして、東京パラリンピックでのメダル獲得が期待されている岩渕幸洋。彼は2016年のリオ大会への出場によって、パラスポーツそのものへの意識や競技に取り組む姿勢が変わったそうだ。

「出場してみて初めて、自分は本当のパラリンピックというものを知らなかったんだなと。世界中から一流のアスリートが集まり、観客もすごく多く、偉大な大会であると実感しました。またパラスポーツの魅力や価値に気づいたことで、それまで将来についてモヤモヤしていた部分がクリアになり、これ一本でやっていこうと決意することもできました」

以来、東京に向けてスイッチが入ったという岩渕。“本番”が2年後に迫る中、意欲的に世界を転戦しながら自身の卓球に磨きをかけている。

「先週までスペインに行っていて、来週から今度はアメリカです。飛行機は苦手ですが(笑)、やはり海外の大会では学ぶことが多いですね。今年は秋に世界選手権とアジアパラ競技大会という2つの重要大会がありますので、まずはそこに向けてスキルアップをめざしています」

近年は健常者の卓球シーンでも若い才能が次々登場しているが、彼らが世界の舞台で躍動する姿からもおおいに刺激を受けているという。

「以前は歯が立たなかった中国勢に、張本智和選手や伊藤美誠選手が勝ってくれていることはとても参考になります。もっと実力を磨いてパラ卓球もあの勢いに乗っかれるようにしたい。そういう意味でも東京はゴールではなくスタート。メダルを取ってパラ卓球の魅力をもっと広く発信していくきっかけにできれば。実はパラ卓球って、障がいの部位ではなく"度合い"でクラス分けされているため選手によってスタイルが全然違うんです。お互いが違う手札で、相手の強みを封じて弱点をつきながら勝負する。その駆け引きの面白さをぜひ知ってもらいたいですね」

【プロフィール】

岩渕幸洋さん

いわぶち・こうよう●1994年12月14日、東京都出身。先天性内反足という障がいがある。中学1年で卓球を始め、健常者の中でプレーをしていたが、3年時から本格的にパラ卓球の道へ。早稲田大学時代にはパラ世界選手権やアジアパラ競技大会など主要国際大会でコンスタントにメダルを獲得。2016年リオデジャネイロパラリンピックにも出場した。現在は実業団チームの強豪、協和発酵キリンの卓球部で練習を積む。