決意表明はシンプルでいい。「やれることを、やるだけっすね」。ホラニ龍コリニアシはこの日もそうだった。 ラグビー日本代表は6月25日、東京・味の素スタジアムで欧州6強の一角であるスコットランド代表と激突する。 18日に愛知・豊田スタジアムで…

 決意表明はシンプルでいい。「やれることを、やるだけっすね」。ホラニ龍コリニアシはこの日もそうだった。

 ラグビー日本代表は6月25日、東京・味の素スタジアムで欧州6強の一角であるスコットランド代表と激突する。

 18日に愛知・豊田スタジアムであった同じカードは13-26で惜敗している。これまでジャパンの一員として44キャップ(国際間の真剣勝負への出場数)を獲得してきた34歳の通称「コリさん」は、身長188センチ、体重112キロの体躯でビッグタックルを放つNO8。前回は果たせなかったメンバー入りに向け、「フィジカルで絶対に負けないようにしたい。やるだけっす」と腕をぶす。

 4年に1度あるワールドカップには2大会連続で出場中。もっとも、激しいプレーの連続で身体は疲弊。特に2011年にメスを入れた右膝の違和感は、一生ものかもしれないという。昨秋のイングランド大会後は、代表引退表明に近い発言をしたこともある。

 それでも、再び日本代表に戻って来た。決断を促したのは、今度の対戦相手だったという。

「スコットランド、だからです。去年、出ていなくて、負けている」

 歴史的3勝を挙げたイングランド大会では大会終盤の2試合でプレー。反面、9月23日に10-45で屈したスコットランド代表戦には出られなかった。ジャパン陣営は今度のゲームを「リベンジ」とは捉えていないが、コリニアシは別個の思いを胸に抱く。

 裏を返せば、今度のツアーが終われば代表を離れるということなのだろうか。

 本人は明言を避けた。マルでもバツでもなく三角、といった趣きだ。

「(日本代表は)コーチも変わりますし、あとは、(今後の自身の)パフォーマンス次第というところもある。まだ…わかんないです」

 いずれにせよ、コリニアシが桜のジャージィを着る姿を見られるチャンスは、徐々に先細りするかもしれない。

 2013年度の国内最高峰トップリーグでベストフィフティーンから外れた際には、チームメイトでスーパーラグビー(国際リーグ)日本人第1号の田中史朗に「コリさんが入っていないのはホンマに悔しい」と言わしめた闘将だ。右膝のコンディションを問われれば、「まぁまぁですね」とのみ語る。

「膝より、ゲームフィットネスが心配ですね(実戦は1月の日本選手権が最後)。出られれば(の話)ですが」

 選手選考の権限はマーク・ハメット ヘッドコーチ代行にあるが、コリニアシ本人は「準備はできてます」。いざ出番を得られたら、「大和魂」のタトゥーを刻んだ上腕で丸太のタックルをぶちかましたい。(文:向 風見也)