城西国際大 000100000 | 1 早 大   02000200 ×   | 4 稲穂打線が爆発した明学大戦から1週間。きょうは攻守共にそつのない試合運びだった。2回、岩本久重(スポ1=大阪桐蔭)の2点本塁打で先制すると、6回に…

 

城西国際大 000100000 | 1
早 大   02000200 ×   | 4

稲穂打線が爆発した明学大戦から1週間。きょうは攻守共にそつのない試合運びだった。2回、岩本久重(スポ1=大阪桐蔭)の2点本塁打で先制すると、6回にも岩本が追加点となる2点適時打を放ちリードを広げる。一方の投手陣は、5人のリレーで城西国際大打線をわずか1失点に封じ込めた。早大は主力選手4人が海外遠征で不在の中、下級生の奮闘もあり夏季オープン戦2つ目の白星を手にした。

 早大の先発は今西拓弥(スポ2=広島・広陵)。安打を許しながらも、コーナーに真っすぐと変化球を投げ分け、無難な立ち上がりを見せる。すると2回、先制したのは早大だった。この日スタメンに起用された小菅弘暉(社3=東京・早大学院)がバットを折りながらも三塁手の頭上を越える安打で出塁すると、打席に迎えるはマスクをかぶる期待のルーキー岩本。初球、乾いた打球音が球場に響き渡った。直球を振り抜いた打球は弾丸ライナーと化し、一瞬にして右翼の防球ネットへと突き刺さった。驚がくの本塁打に驚きの声が冷めやらぬ中、岩本はゆっくりとダイヤモンドを一周した。2点の援護をもらった今西は、3回は危なげなく三者凡退に抑える。しかし4回、1死から連打を浴び、ピンチを迎える。次打者を空振り三振に抑え、2死一、二塁。慎重になりたいところだったが、2球目の高めに甘く浮いた球を左中間へ見事にはじき返され、1点を失う。打者走者も一気に二塁を陥れようとしたが、早大野手陣が確実な中継プレーで刺し、この場面をしのいだ。打者二巡目以降の攻め方を課題とする今西。5回のマウンドはゼロに抑え、結果としては5回1失点にまとめ上げたが、きょうも二巡目に失点を許し、少々課題の残る登板となった。

先発の役割を果たした今西。今後も二巡目以降の投球が課題となる

 6回は柴田迅(社2=東京・早大学院)がマウンドに上がった。持ち味のうなるような力強い真っすぐが際立っていたが、不運な内野安打もあり、2死一、二塁と得点圏に走者を背負ってしまう。しかしこれを岩本が救う。リードでベースから大きく離れた二塁走者の動きを見逃さなかった。柴田の投球を受けるやいなや、すかさず二塁へ矢のようなけん制球を送り、刺殺。城西国際大の攻撃の芽を摘んだ。岩本の活躍はこれで終わらない。その裏の攻撃、早大は2死満塁の好機を演出し、打席には岩本。リードを広げる『もう一本』が欲しいこの場面で、岩本は2球目の変化球を強振するが、タイミングを外されバットは空を切る。しかし、3球目。同じ変化球に今度はうまくタイミングを合わせると、打球は外野へと飛んだ。修正能力の高さを見せつけた値千金の一打で、リードを3点に広げる。さらに岩本は、8回にもその強肩で盗塁を阻止するなど、城西国際大に反撃の隙を与えなかった。そして柴田の後を継いだ投手陣もゼロでつなぎ、5人のリレーで白星を手にした。

6回に2点適時打を放ち、試合を決めた岩本

 エース小島和哉主将(スポ4=埼玉・浦和学院)や4番・加藤雅樹(社3=東京・早実)といった主力選手が海外遠征で不在の今、控え選手にとっては絶好のアピールチャンスだ。きょうは岩本の攻守にわたる活躍が目立った。また記録に表れないところでは、真中直樹(教2=埼玉・早大本庄)も守備で軽快なグラブさばきを連発した。秋の覇権奪回を目指すワセダにとって、チーム力の底上げは不可欠。普段日陰に隠れている選手が光を放てば、スタメンの椅子に座っている選手たちは当然プレッシャーを感じ、いい相乗効果が生まれるだろう。下級生や控えの選手にとってみれば、厳しい競争が求められる夏季オープン戦。秋への生き残りを懸けた『アツイ夏』は、まだ始まったばかりだ。

(記事 石﨑開、写真 金澤麻由、林大貴)

☆期待の大型捕手が攻守で存在感放つ

2回に先制の右越え2点本塁打を放った岩本(左)

 この日早大の全打点をたたき出したルーキー岩本久重(スポ1=大阪桐蔭)。第1打席に逆方向へ先制の本塁打を放つと、2死満塁の絶好機で迎えた第3打席では変化球をすくい上げて左前適時打とし、対応力の高さを見せた。持ち前のパワーもさることながら、結果を恐れない思い切ったスイングが特に目を引く。守りでも2つの刺殺で見せ場をつくり、ルーキーらしからぬ堂々としたリードで4投手の好投をアシスト。攻守においてスケールの大きさを感じさせた。この活躍を足掛かりに、岸本朋也副将(スポ4=大阪・関大北陽)を筆頭に高いレベルの選手がそろう捕手陣の中から一歩抜け出すことができるか。早大期待の大型捕手から目が離せない。