男子7人制ラグビー(セブンズ)日本代表は7月20~22日、アメリカ・サンフランシスコでのワールドカップ・セブンズ2018に挑む。

 岩渕健輔新ヘッドコーチ(HC)体制にとって初の世界大会で、2020年のオリンピック(五輪)東京大会に向けた試金石ともなる戦い。初戦でウルグアイ代表に勝てば、2016年の五輪リオデジャネイロ大会で金メダルのフィジー代表とぶつかる。長くこのチームの屋台骨を支えてきた2人は、何を思うか。

「練習はハードになりましたね。緊張感、ありますよね」

 はつらつとしていたのは、セブンズ代表で主将経験のある坂井克行だ。現体制下では練習開始と同時に試合形式のセッションが始まり、合間、合間にラインアウトやキックオフなどのスキルトレーニングが挟まれる。

 身長172センチ、体重88キロで29歳の坂井は、試合でキックオフを蹴る。チームが得点した後の勢いを保つにはキックオフの精度が不可欠とし、岩渕新HCのプランを歓迎する。

「練習がすべてつながっている。試合でも一番きつい時にトライを取っても、その後に僕がキックオフでノット10メートルを蹴ったら試合が終わってしまうので(10メートル線より手前へ蹴ったら反則)。そういった、試合中でも少ないケースで高い精度を保てるか(を意識している)。これは岩渕さんならではだと思います」

 7月1日、東京・秩父宮ラグビー場。セブンズ日本代表の候補選手たちは、セブンズ・デベロップメント・スコッドとして国内大会のジャパンセブンズで優勝した。

 大会中、果敢にジャッカル(ブレイクダウン=ボール争奪局面で相手の持つ球へ絡み、奪うプレー)を試みていたのは現主将の小澤大だった。

 チームは遮二無二ブレイクダウンでボールを奪いにいくよりも、幅広い防御網を敷いて鋭いタックルを重ねるのを先決とする。もっとも、攻撃時間を増やすには好守の延長線上でジャッカルを決めたいところ。だから、球を奪えると踏んだ局面へは思い切り腕を差し込めればなおよい。

 このような球際での判断力を、小澤は磨きたいという。

「(味方の)ダブルタックルが決まったりしてうまく自分の股下に相手が来るようなら(ジャッカルの)狙いどころですが、絡めないところで絡んでしまうと体力の消費につながる。いまは、そういう見極めの判断をしています」

 身長183センチ、体重89キロの小澤がかような下働きに精を出すのは、メンバー構成を鑑みてのことでもある。チームにはジョー・カマナ、ジョネ・ナイカブラら突破力ある海外出身者が揃うとあって、「外国出身選手にアタックでエナジーを発揮してもらうには、仕事をしないといけない選手が仕事をしなきゃ」と考える。

 自らのブレイクダウン近辺での判断力アップ、ジャッカルのしやすい場所を作るための組織防御の完成に向け、小澤はこう展望する。
 
「(個人的には)まだ判断の悪いところはありますが、自分はそういうところで仕事をしないといけないと思っている。ダブルタックルができるようになれば、自ずとボールも絡みやすくなる。インサイドから(接点周辺からの防御ライン)の押し上げ、最初の動き出しの3歩が重要になってくる」

 6月初旬から7月12日の出国まで、チームは3度の合宿をおこなってきた。その間は、セブンズ代表の存在意義を表すチームフィロソフィー構築に向け選手同士で話し合った。坂井はフィロソフィーの内容を問われると、早大在学中の2010年から参加してきたセブンズ代表の歴史を振り返る。

「昔は、空港に集合してそのままワールドシリーズ(7人制ラグビーの世界サーキット)を戦うこともあった。そういう時代を知っているのは僕だけになってきた。ウェアの支給も、いまは一式もらえますが昔はレンタルでした。そういう時代があって、いまがあるんですよ(と若手に伝えている)」

 15人制のさかんなこの国にあって、五輪リオデジャネイロ大会で4位入賞するなど存在感を示してきた。今後も、セブンズ代表の価値を自分たちの手で変えたいという。

「チーム文化を高めていきましょう、ということです。どうしても15人制の次…と思われがちですが、セブンズに呼ばれるのは光栄なことなんだと(打ち出す)」
 
 グラウンド内外で、チームの質を高めようとしている。(文:向 風見也)
◆ワールドカップ・セブンズ2018の模様は、無料動画配信チャンネル AbemaTVで全試合が生中継されます。