日本一奪還を目指す戦いが、再び始まる。劇的な勝ち点奪取を果たした春の早慶戦から1カ月余り。激闘の記憶が冷めやらぬ中、夏季オープン戦の初戦・明学大戦を迎えた。1回表に先発の松本皓(教3=東京・早実)が2点を先制されるが、その裏、瀧澤虎太朗(…

 日本一奪還を目指す戦いが、再び始まる。劇的な勝ち点奪取を果たした春の早慶戦から1カ月余り。激闘の記憶が冷めやらぬ中、夏季オープン戦の初戦・明学大戦を迎えた。1回表に先発の松本皓(教3=東京・早実)が2点を先制されるが、その裏、瀧澤虎太朗(スポ2=山梨学院)の先頭打者本塁打が飛び出すと打線が爆発。この回一挙4点を奪い逆転に成功すると、その後も6回以外は毎回得点に成功した。投手陣は9失点を喫し課題も残ったが、打線が強力援護でカバーし、初戦を勝利で飾った。

 先発の松本は立ち上がりに苦しんだ。先頭打者に左翼線二塁打で出塁を許すと、次打者には四球を与える。その後、4番打者に左翼線2点適時二塁打を浴び、先制点を献上した。それでもすぐさま打線が反撃。この日1番に入った瀧澤が6球目を捉えた鋭い打球はそのまま右翼フェンスを越え、圧巻の先頭打者本塁打となった。この一打で勢いに乗った稲穂打線。続く2番・池田賢将(スポ4=富山・高岡南)が中前打と盗塁で好機を演出すると、3番・金子銀佑(教2=東京・早実)が遊撃内野安打でつなぎ、無死一、三塁に。ここで4番・米田圭佑(人4=愛媛・松山東)が放った大飛球が左犠飛となり、難なく同点に追い付く。さらに、6番・吉澤一翔(スポ2=大阪桐蔭)が放ったフライ性の打球に左翼手のグラブが届かずランニング本塁打となり、2点を加え逆転に成功した。

先頭打者本塁打を放った瀧澤(右)。2打数2安打3打点と存在感を見せた

 その後も稲穂打線の勢いは止まらない。2回に2死一、三塁から金子が右翼線適時二塁打を放ち追加点を挙げると、3回には先頭の小太刀緒飛(スポ4=新潟・日本文理)に右越えソロ本塁打が飛び出す。さらに、山岡仁実(スポ4=東京・早実)の内野安打から広げた2死二、三塁の好機で、瀧澤が中越え適時二塁打を放ち2点を追加。その後、金子にも左中間2点適時二塁打が飛び出して3回までに大量10得点を挙げ、相手先発をノックアウトした。援護をもらった先発の松本は2回以降は見事に立ち直り、2回から4回をいずれも三者凡退に切って取った。

2本の長打を含む3安打をマークした金子

 しかし、吉澤の左中間ソロ本塁打でリードを9点に広げて迎えた5回表。松本が再び捕まる。先頭から連打を浴び1死一、三塁のピンチを招くと、1番打者に左前適時打を浴び1点を返される。ここを最小失点で切り抜けたいところだったが、3番打者にフルカウントから右越え3点本塁打を浴び、この回4失点。久しぶりの1軍の先発マウンドだったが、課題の残る結果となった。さらに7回、3番手でマウンドに上がった結城壮一朗(教2=早稲田摂陵)が4本の安打で3点を失い、3点差に詰め寄られる。それでもその裏、途中出場の藤野恭平(人3=茨城・江戸川学園取手)の中前適時打で加点すると、8回には小太刀がこの日4安打目となる右越えソロ本塁打を放ち、勝負あり。最後はロングリリーフとなった増田圭佑(文4=茨城・江戸川学園取手)が上位打線をきっちりと三人で締め、勝利をつかみ取った。

最後は増田(中央)の安定感が光った

 例年より1カ月ほど早く開幕を迎えた今年の夏季オープン戦。現在は小島和哉主将(スポ4=埼玉・浦和学院)ら国際大会のメンバーに選出された主力選手4人が抜けており、レギュラー奪取を狙う選手たちにとっては絶好のアピールの機会となる。きょうは金子、瀧澤、真中直樹(教2=早大本庄)らフレッシュリーグで活躍を見せた若い力がそれぞれの持ち味を発揮して躍動した。今試合のように各自が高い競争意識を持って試合に臨み、秋に向けたチーム力の底上げを図りたい。

 

(記事、写真 皆川真仁)

☆小太刀が4安打2本塁打の大暴れ!

第5打席に、この日2本目の右越え本塁打を放った小太刀

 15安打14得点の猛攻を見せた稲穂打線だが、その中でもひときわ存在感を放ったのが小太刀緒飛(スポ4=新潟・日本文理)だ。3年時まで東京六大学リーグ戦(リーグ戦)での安打がゼロと苦しんでいた小太刀だが、今春のリーグ戦では早慶戦で2試合連続本塁打を放つなど日々の努力が実を結ぶかたちとなり、ついに定位置の座を射止めた。きょうもチーム唯一のフル出場を果たし、2本の本塁打を含む4安打と大暴れ。6回には盗塁も決めてみせた。いよいよラストシーズンを迎える男に、覚醒の気配が漂う。