坂口佳穂(22歳/マイナビ)&鈴木悠佳子(30歳/湘南ベルマーレ)ペアが、ジャパンビーチバレーボールツアー2018 第4戦の『南あわじ・神戸淡路鳴門自動車道全通20周年記念大会』(6月30日~7月1日/兵庫県南あわじ市・慶野松原海岸)…

 坂口佳穂(22歳/マイナビ)&鈴木悠佳子(30歳/湘南ベルマーレ)ペアが、ジャパンビーチバレーボールツアー2018 第4戦の『南あわじ・神戸淡路鳴門自動車道全通20周年記念大会』(6月30日~7月1日/兵庫県南あわじ市・慶野松原海岸)に臨んだ。

 今季は第2戦の東京大会で優勝、第3戦の平塚大会でも準優勝と、ここまで結果を残しているふたりだが、この大会に向けては懸念材料を抱えていた。なにしろ、6月10日に平塚大会を終えてから、南京(9位タイ)、シンガポール(19位タイ)とワールドツアーを転戦。再び帰国してこの南あわじ大会へ挑むという、4週連続で長距離移動と試合をこなす過密日程の渦中にあったからだ。

 そのため、坂口佳は大会を前にして「長時間の移動による疲労の取り方、コンディション調整、それと練習負荷とのバランスなど、慣れていない部分はある」と、少なからず不安を口にしていた。

 予選プール第1試合の相手は、幅口絵里香(36歳)&坂口由里香(23歳)ペアだった。ふたりとも身長160cm半ばと高さはないものの、経験豊富な幅口と堅実なプレーが武器の坂口由は決して侮れず、現にツアー第1戦の沖縄大会では0-2(18-21、16-21)と敗戦を喫している。

 平塚大会では2-0(21-10、30-28)とストレート勝ちして雪辱を果たしているが、それでも第2セットは相手の粘りに苦しんだ。ゆえに、坂口佳は「(幅口&坂口由ペアは)レシーブ、トスのリズムが安定していて崩し難い。それで逆に、自分たちのリズムを崩されてしまう」と警戒していた。

 試合は、坂口佳が懸念していたとおりになった。ハードスケジュールによる疲労の影響か、坂口佳&鈴木ペアは立ち上がりから動きが重く、攻守にわたって後手を踏んでいた。

 さらに、時折強風が吹き荒れるなど、一定しないコート内のコンディションを幅口&坂口由ペアにうまく利用された。特に、横風にぶつけて変化させる坂口由のサーブが鈴木を襲い、サービスエースを何度も献上した。

「私たちはディフェンス力が高いわけではないので、サーブでポイントを取らないとダメ。うまく風を利用できたと思う」(幅口)

 結局、坂口佳&鈴木ペアは18-21で第1セットを失うと、第2セットも立て直しを図ることができずに18-21。セットカウント0-2でストレート負けを喫した。

 攻撃面では、武器のひとつである坂口佳のサーブも決まらず、高さを生かしたスパイクの強打による組み立てもできなかった。「横風を意識しすぎて、躊躇してしまった面があった」と、坂口佳は唇を噛む。

 ディフェンス面も、前後左右にいいように揺さぶられた。比較的砂が深いコートで1歩目が出遅れるシーンも目立ち、簡単に点を与えてしまった。序盤で先行されると、その流れを最後まで引き戻すことができなかった。

 予選プール第2試合は、坂本実優(26歳)&沢目繭(24歳)ペアと対戦。ここまでの国内ツアー3戦で、すべてベスト4入りを果たしている強敵だ。

 第1試合同様、坂口佳&鈴木ペアは強いスパイクが決まらず、サーブの効果率も低い出足となった。しかし、鈴木のスパイクの強度が徐々に上がって、次第に復調の兆しが見えてくると、ゲームの主導権を握って21-16で第1セットをものにした。

 坂本&沢目ペアが幅口&坂口由ペアを下していたため、これで坂口佳&鈴木ペアにも決勝トーナメント進出の可能性が生まれたが、第2セットは坂本&沢目ペアの軟打とフェイクを中心とした攻撃に苦戦。反対に15-21で落としてしまう。

 第3セットは互いに譲らぬ一進一退の攻防のなか、坂口佳&鈴木ペアが15-13で奪取。セットカウント2-1として、試合には勝った。だが、得失点率で坂本&沢目ペアを上回ることができず、プール戦での敗退となった。



過密日程のなか、厳しい戦いを強いられた坂口佳穂

 国内ツアー3大会連続の表彰台はならなかった坂口佳&鈴木ペア。坂口は「初戦がすべてだった」と振り返る。

 その帰国初戦は、調子の上がらない鈴木を集中して狙われた。そうした状況も準備していながら、坂口佳もそれをカバーできなかった。坂口が言う。

「自分が狙われるいつもの状況とは違ったので、自分たちのことにばかり意識がいってしまって、相手にフォーカスすることができなかった」

 そして、こう続けた。

「連戦の疲労をそれほど感じているわけではなかった。ただ、時間的に練習を十分にこなせず、基礎的なスキルが崩れてしまった。それが、調子の波の幅を広げてしまったように思う」

 今季、調子が悪いなかでも、結果に結びつけられるだけの実力はついてきていた。しかし、過密日程で疲れがたまった状況では、その力も発揮できず、思わぬ敗戦を喫してしまった。坂口は「丁寧なパスやトスなど、できていたものができなかった」とも漏らした。

 今後もワールドツアーに参戦し、さらなるステップアップを目指すには、移動や試合が続くタイトなスケジュールをこなして、そのなかで結果も出せるようにならなければいけない。

 時差ボケや疲労がたまった状態にあっても、正確性の高いプレーを出せるスキルをいかに身につけるか。課題は明確である。

「今、チームの調子はちょっと下がっている。ここからどう上げていくか。(自分たちの)力を試されていると思っている」

 本格的なシーズンを迎え、坂口佳穂にとっても、ひと皮むけるための”本当の勝負”が始まる。