7人制の日本一を決める大会に整形外科医がいた。 チームドクターとしてではなく、選手として、炎天下の秩父宮を走り回った。 7月1日に東京・秩父宮ラグビー場で開催されたゼブンズ日本一決定戦「なの花薬局ジャパンセブンズ2018」。 セブンズ・デ…

 7人制の日本一を決める大会に整形外科医がいた。
 チームドクターとしてではなく、選手として、炎天下の秩父宮を走り回った。

 7月1日に東京・秩父宮ラグビー場で開催されたゼブンズ日本一決定戦「なの花薬局ジャパンセブンズ2018」。

 セブンズ・デベロップメント・スコッド(SDS)の優勝で幕を閉じた国内唯一の賞金大会(優勝賞金50万円)に、神奈川タマリバクラブの一員としてピッチに立ったのが松丸大輝(まつまる・だいき)さん。
 日本医科大学付属病院に勤務する整形外科医だ。
「やっぱりみんなすごいなと思いました。速いし強い」
 東日本クラブセブンズの覇者として参加したタマリバクラブは、1勝2敗で総合10位。しかし全3試合に先発した松丸さんの表情は快活だった。

 秩父宮でプレーするのは初めてではない。
 東京・本郷中で楕円球に出会った松丸さんは、本郷高の2、3年時、東京都予選の決勝で聖地を経験している。
 
 日本医科大に進学後もラグビー部には所属したが、現在は身長182センチの体格を活かし、より高いレベルでプレーしたいと思った。
「大学3年生の時にホームページから『タマリバの練習に行きたいです』と送って、それがきっかけでタマリバやらせてもらっています」
 しかしタマリバは猛者が集う強豪クラブ。この日ともに先発した羽生憲久(元早大)や竹山将史(元関東学院大)は大学選手権決勝の経験者だ。
「最初は怖かったですよ。大学でしっかりやっていた人たちが来ているので。最初はついていくのが大変でした」
 今はもう怖いなんてことはまるでない。あるのは溜まり場の安心感だ。
「みんなラグビーが好きなので、居心地が良いです」

 松丸さんは大学卒業後、2年間の研修医生活を経て、今年4月から整形外科医としての第一歩を踏み出した。メスを握った最初の症例は大腿骨骨折。
 月曜日から土曜日まで勤務するラガーマン医師は、時間を見つけてこれからも楕円球を追うつもりだ。
「タマリバではチームドクターでは全くなくて。選手として諦めきれないというか。タマリバだったら、仕事をしながら本気でラグビーをやれるので、そういうところが面白いと思っています」
 白衣とラグビージャージーを交互に着ながら、松丸さんはきょうも本気の毎日を過ごす。(文/多羅正崇)