全米オープン大会二日目、最難関コース「オークモントCC」がベールを脱いだ。第1ラウンドの未消化ホールをプレーした後、続けて第2ラウンドが行われたが、二日目終了時点でアンダーパーは13名、36ホールをプレーした中ではわずかに6名となった。今季…

全米オープン大会二日目、最難関コース「オークモントCC」がベールを脱いだ。

第1ラウンドの未消化ホールをプレーした後、続けて第2ラウンドが行われたが、二日目終了時点でアンダーパーは13名、36ホールをプレーした中ではわずかに6名となった。

今季PGAツアーで出場14試合中、トップ10フィニッシュが5回(6位)、平均スコアが70.112(11位)の松山英樹でさえも、36ホールで通算12オーバーとスコアを崩した。

ホールアウト後のインタビューで松山は「36ホールは体力的に問題無かった。原因が何かまだ考えられないが、一つのミスからどんどん崩れていった。最後の方はどう打って良いかわからなくなっていた。」と振り返った。(LIVE FROM オークモントより)

全米オープンらしい過酷な戦いとなった二日目。ゴルフネットワークの中継でゲスト解説を務めた藤田寛之プロにプレーヤーから見た“全米オープンの難しさ"について話を聞きました。

 

マスターズ以上に幅広い技術が要求される全米オープン

藤田プロ「マスターズは毎年同じコースでピンポジションもある程度限定されるので、高いレベルの中で決められたプログラムをその通りに“演技する"ことが求められますが、USGAの場合は毎年コースが異なるので、“自由演技"というわけではないですが、コースセッティングへの対応などマスターズ以上に幅広い技術が要求されます。去年のチェンバーズベイはリンクスコースの要素が大きかったですが、今年のオークモントはラフの作り方やグリーン周りなどコース設計がアメリカンスタイルで、従来のUSOPENらしいセッティングです。」

メジャーで重要なミスの許容範囲

藤田プロ「日本のコースと違って、海外メジャーではミスの許容範囲がかなり狭くなります。日本の場合はプレーヤーが自由にマネジメントを考えることができて、攻め方の選択肢も多いですが、メジャーの場合は攻めていくルートは2、3通りしかありません。去年のチェンバーズベイのように、落としどころを一つ間違えれば70Yも手前に転がって戻ったり、ハザードに入ってしまうといったミスによる代償が大きいです。少ないミスの許容範囲の中でプレーできる選手が上位にいくんだと思います。」

粘り強い松山でさえ、落ちていく自分を支えることが出来ないほどタフな戦い

藤田プロ「松山選手は非常に粘りのあるゴルフはしていたと思いますが、第2ラウンドの18番と1番のダブルボギーが分岐点でしたね。あの2ホールをボギーで切り抜けるのと、ダブルボギーが2つ続くのではダメージの大きさが全然違います。粘り強い松山選手でさえも、上手くいかない自分を支えることがメンタル的にきつかったと思います。

きっかけとなるワンプレーやバーディがあれば、耐えることも出来たと思いますが、そこは紙一重。何とか踏みとどまって予選を通過し、決勝で1アンダーとか出せば一気に上位にいくことも出来たと思います。松山選手にはその力もありますし、あと一つ、二つ取れていれば・・・。」

選手を惑わすUSGAの絶妙なコースセッティング

藤田プロ「ボギー先行の苦しいゴルフになる全米オープンでは、悪い状況でも無理にバーディを狙わずにパーを重ねていくことが必要ですが、それをわかりながらも各選手がスコアを崩してしまうのは、USGAのコースセッティングに理由があります。

松山選手が第2ラウンドの18番でダブルボギーとなってしまいましたが、あの時のフェアウェイバンカーのあごの高さは狙えるような、狙えないような、何とも言えない状況でした。結果、松山選手はあごに当たってしまいましたが、その後のラフからのアプローチもグリーンに落ちた場所があと数ヤード奥だったらピンに寄ってパーセーブも出来た可能性もあります。そういった絶妙なセッティングが本当に難しいです。」

ロングヒッターがオークモントに有利?

各選手が苦戦を強いられる中、36ホールを終えてわずかにボギーが1個のダスティン・ジョンソンは2ラウンド続けてアンダーパーをマークした。ドライバーを積極的に使い、持ち前の飛距離で異次元のゴルフを見せたジョンソン。

藤田プロ「松山選手がつかまった18番のフェアウェイバンカーもダスティンは軽く超えていって、ミドルアイアンでグリーンを狙っていましたし、飛距離のアドバンテージは大きいですね。グリーンが硬くなってきたり、傾斜が強いところでいかにボールを止めるかという部分では飛距離はプラスになります。セカンドの距離が短いとラフに入れてもグリーンまで持っていけるメリットがあります。

ただ、飛距離が出る選手は曲がるデメリットもあるので、フューリックのような安定したショットを打つ選手にもチャンスがあると思います。彼らは多少狙いところが狭くても正確にボールコントロールが出来ます。個人的にもフューリックのことは応援していますし、パッティングの調子も良いので勝つ可能性は十分にあると思います。ロングヒッターにしてもショットメーカーにしても、自分の長所を活かして、いかにミスを無くすかがポイントになります。」

「5打差は優勝圏内、最終日の上がり2ホールで何が起こるかわからない」

藤田プロ「決勝ラウンドになれば、グリーンはもっと固くなり、フェアウェイの傾斜も際立って、本来のオークモントの姿が見えてくると思います。選手からすると『こんなのあり!?』っていうような全米オープンらしいコースセッティングになってくると思います。

アンダーパーは限りなく少ない、もしくは誰もいなくなるのではないかと思います。二日目までのようなグリーンだと優勝スコアは5アンダーもあると思いますが、USGAもイーブンパーをターゲットに固くしてくると思います。三日目を終えた時点で5打差であれば優勝圏内でしょう。最終日に1アンダー、2アンダーで回れば逆転も大いにあると思います。

特に距離の短いチャンスホールの17番パー4と難易度の高い18番パー4の上がり2ホールは何が起こるかわからないと思います。いちゴルフファンとして最終日のゴルフネットワークの生中継を楽しみにしています。」

今年で第116回を迎える全米オープンゴルフ選手権、今年はどんなドラマが待っているのでしょうか!?いよいよ決勝ラウンドに突入です。ゴルフネットワークでは18(土)深夜0時から大会三日目を生中継でお送りします。ぜひお楽しみに!

 

~収録後記~
PGAツアーやメジャーはいつも録画してご自宅で見ているという藤田プロ。「ゴルフネットワークの中継は長いので見応えがあります。シーズン中は家にいる時間が週一回しかないですが、常にゴルフに触れていたいタイプなので、録画しているゴルフ中継を見るのが楽しくてしょうがないですね。今日の解説も楽しくてあっという間の4時間でした。やっぱりメジャーは面白いですね!」とゴルフ好きのオーラが溢れていました。