指導者もキャプテンも、MVPに輝いたベテランも「まだまだ世界レベルではない」と話した。 7月1日、秩父宮ラグビー場で7人制ラグビーの日本一を決める大会、なの花薬局ジャパンセブンズ2018が開催され、男子セブンズ日本代表候補たちの集団、セブ…

 指導者もキャプテンも、MVPに輝いたベテランも「まだまだ世界レベルではない」と話した。
 7月1日、秩父宮ラグビー場で7人制ラグビーの日本一を決める大会、なの花薬局ジャパンセブンズ2018が開催され、男子セブンズ日本代表候補たちの集団、セブンズ・デベロップメント・スコッド(SDS)が頂点に立った。
 明治大学に34-10、宗像サニックスに42-5と勝って迎えたファイナルでは、東海大学を相手に33-10。いずれも危なげない試合内容だったものの、指揮を執った梅田紘一監督(代表チームコーチングディレクター)、小澤大主将、MVPとして表彰された橋野皓介は、揃って反省を口にした。

 7月20日からサンフランシスコで始まるワールドカップ・セブンズへのチーム強化と個々のセレクションを兼ねた大会。3人は、負けられない戦いを勝ち切ったことには安堵の表情を見せたが、3試合で5トライを奪われたことに目を向けた。
「ワン・オン・ワンのタックルが世界レベルに達していない」と話したのは小澤主将だ。橋野は攻撃について「キックオフでボールをキープできたのはよかった」としながらも、「ディフェンスが崩れたところもあったし、もっとコミュニケーションをとらないと世界では戦えない」と振り返った。

 梅田監督は、メンバーたちが共有すべきイメージを「ハチ」と言った。
「それぞれがハチのように群れて動き、動きまわる。そんなイメージを持っていました。戦術のことはやっておらず、選手たちの準備や、寝て、すぐに起きてパス&サポートなど、そこに注力してきました」
 チーム全体のアティテュード(態度/姿勢)に関しては一定の評価を与えたが、厳しさ、粘りが足りなかった防御に不満を示した。
 ワールドカップで指揮を執る岩渕健輔同代表ヘッドコーチも、「(2020年に)メダルを取るチームとしては不満。(フィットネスなど)積み重ねてきたものは見せてくれたところもあったが、ディフェンスに甘いところが見られた」と話した。

 戦いの中で多くの課題をあらためて認識した灼熱の一日。しかし、国内最強セブンズチームの看板にふさわしい、他との差を見せつけた3試合であったことも事実だ。
 ボールを大きく動かしながら、コミュニケーションをとってアングルチェンジ。パスは多く、スピードのあるものも多かった。
 相手を翻弄して奪ったトライが何度も見られ、岩渕ヘッドコーチ就任以来、基礎スキルやフィットネスの向上にあらためて時間を割いてきた成果も感じられた。

 ワールドカップへの登録メンバーは12名も、バックアップメンバーも含め13選手で現地に向かう同代表。大舞台に立つ者たちは、今年に入ってからの代表活動と今大会のパフォーマンスを考慮して選ばれる。
 同大会では初戦が対ウルグアイ、それに勝てばフィジーとの対戦と厳しい状況が待っているものの、8強入りを目指している。
「(ワールドカップでは)勝ちにいきますが、必殺技で一回勝ってもあとが続かない。オリンピックに続く大事なものを積み上げていきたい」(岩渕HC)
 東京五輪でのメダル獲得に向け、世界トップレベルのパフォーマンスを遂行するための地力アップと勝利を並行して求めていく。