36歳にして、現在もトップレベルで活躍するロジャー・フェデラー(スイス)。今年も「全豪オープン」で6回目の優勝を果たすなど、今なお輝き続けている。そんなフェデラーだが、実は2012年の「ウィンブルドン」の後、4年以上グランドスラムで優勝でき…

36歳にして、現在もトップレベルで活躍するロジャー・フェデラー(スイス)。今年も「全豪オープン」で6回目の優勝を果たすなど、今なお輝き続けている。そんなフェデラーだが、実は2012年の「ウィンブルドン」の後、4年以上グランドスラムで優勝できていなかった。さらに2016年には左膝を故障し低迷。2017年のシーズン開幕時には、世界ランキングでも16位まで落ちていた。しかしそこから驚くべき復活を遂げ、この1年半で3つのグランドスラムタイトルを積み上げている。

さらに驚くことに2017年の復活後は、グランドスラムの5セットマッチでフルセットになった場合、これまで6戦全勝と、自分より若い選手を相手に体力切れすることなく、驚異の勝負強さを見せている。今回は、2017年の復活後のグランドスラムでのフルセット勝負を振り返って紹介する。

■2017年「全豪オープン」4回戦 錦織圭(日本/日清食品)戦

6(4)-7、6-4 、6-1、4-6、6-3

フェデラーは2016年の「ウィンブルドン」後、左膝の故障により、シーズンの残りを全て欠場。公式戦ではこの「全豪オープン」が復帰戦となっていた。実戦感覚を取り戻す必要があり、当時5位で上位シードである錦織の方が優勢と見られ、実際、試合の立ち上がりは錦織に4ゲーム連取を許した。しかし1-5から5ゲーム連取で6-5まで盛り返す。第1セットはタイブレークの末錦織に取られたものの、フェデラーが反撃し、第2、第3セットを計4度のブレークで取り逆転。フェデラーは第4セットを落としたものの、第5セットでコート上で左腰に治療を受けるなどコンディションが上がり切らない錦織を振り切り、3時間24分の激闘を制した。

■2017年「全豪オープン」準決勝 スタン・ワウリンカ(スイス)戦

7-5、6-3、1-6、4-6、6-3

当時のワウリンカは4位。前年の「全米オープン」では錦織や当時1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)を破ってグランドスラム3度目の優勝を飾っていた。フェデラーは、2014年の「全豪オープン」でも優勝経験があるワウリンカを相手に第1、第2セットを連取。しかしワウリンカが息を吹き返して第5セットへもつれ込む。第5セットではワウリンカが第6ゲームでミスを連発してしまい、これが致命的に。一方のフェデラーは落ち着いたプレーで勝ちきった。

■2017年「全豪オープン」決勝 ラファエル・ナダル(スペイン)戦

6-4、3-6、6-1、3-6、6-3

この大会2度のフルセットを勝ちきった末に待っていたのは、長年のライバルでもあるナダルだった。ナダルも2016年は怪我に悩み、「ウィンブルドン」を含む芝コートシーズンを欠場。その後も「全米オープン」は4回戦敗退など結果が出ず、2017年シーズンを100%で臨むために、早めにシーズンを終えていた。

一時はピークを過ぎたとも言われた二人のレジェンドによる決勝は、取っては取られのシーソーゲームに。第5セットでフェデラーは出だしにブレークを許しピンチに。しかしブレークバックし、10ポイント連続でとって勢いに乗り見事優勝。

試合後フェデラーは「僕にとって重要なのはカムバックするということ、ふたたびラファと英雄伝的な試合をする、ということだけだった」「グランドスラムで優勝していなかったほぼ5年のあとに、僕の歳でふたたびやってのけられるということ、それがすべてだ。僕が見ているのはそれだけだよ。グランドスラム優勝回数は心を割く最後のもの――正直言って、どうでもいいことだ」と語った。

■2017年「全米オープン」1回戦 フランシス・ティアフォー(アメリカ)戦

4-6、6-2、6-1、1-6、6-4

「全豪オープン」優勝の後、クレーコートシーズンを休養に当て、万全の状態で望んだ「ウィンブルドン」では失セット0で優勝を飾った。しかしその後8月に背中を故障し、トレーニング不足の状態で「全米オープン」に出場することになる。その初戦で、当時70位の期待の若手であるティアフォーに苦戦。第4セットを1-6で落とし追い詰められたが、最後第5セットは取りきり、2回戦へ駒を進めた。

■2017年「全米オープン」2回戦 ミカエル・ユーズニー(ロシア)戦

1-6、7-6(3)、 6-4、 4-6、 6-2

フェデラーはここまで一歳年下のユーズニーに全勝だったが、故障による準備不足が原因で、1回戦に続き、この試合でも苦戦。それでもユーズニーのプレーレベルの低下に助けられながら、最後は勝ちきった。

この「全米オープン」ではその後3回戦、4回戦をストレートで勝利するも、準々決勝でフアン マルティン・デル ポトロ(アルゼンチン)を前に力尽き、セットカウント1-3で敗れた。

■2018年「全豪オープン」決勝 マリン・チリッチ(クロアチア)戦

6-2、6(5)-7、6-3、3-6、6-1

連覇を狙うこの大会で、フェデラーは失セット0で決勝まで勝ち進んだ。そして決勝第1セットでは、チリッチのミスに乗じて序盤3ゲームを連取。勢いに乗りそのまま第1セットを先取する。この試合もあっさりフェデラーが勝ち切るかと思われたが、ここからチリッチが立て直しフルセットへ。それでも第5セットでは2度のブレークを決めて優勝。グランドスラム通算20回目の優勝を達成した。

■終わりに

この約1年半、復活を遂げたフェデラーは、グランドスラムの大舞台で驚異的な勝負強さを発揮してきた。そして明日7月2日には、昨年相手を全く寄せ付けず優勝した「ウィンブルドン」が開幕する。36歳にしてなお輝き続けるフェデラーが、「ウィンブルドン」9回目、そしてグランドスラム21回目の優勝を達成するかどうかに注目が集まる。(テニスデイリー編集部)※写真は2018年の「全豪オープン」でのフェデラー

(Photo by Quinn Rooney/Getty Images)