36ホールの激闘むなしく明暗分かれた松山英樹と同組のD・ジョンソンとS・ガルシア 今年の全米オープンゴルフは、言葉ではいいつくせないほどの過酷な戦いとなっている。現地時間金曜日。前日の嵐と雷雨によりプレーがサスペンデッドとなっていた第1ラウ…

36ホールの激闘むなしく

明暗分かれた松山英樹と

同組のD・ジョンソンとS・ガルシア

 

今年の全米オープンゴルフは、言葉ではいいつくせないほどの過酷な戦いとなっている。現地時間金曜日。前日の嵐と雷雨によりプレーがサスペンデッドとなっていた第1ラウンドの残りと第2ラウンドが行われたが、第2ラウンドを終了したのは、わずか50人。土曜日に第2ラウンドをプレーするのは105人。そのうち78人はスタートすらしていないという緊急事態だ。

 

 第1ラウンドの午前スタート組は、早朝から残りホールを消化。その後、午後スタート予定だった78人が、この日36ホールの長丁場に挑んだ。それでも、午後8時42分に日没のため競技は順延が決定。日本勢で第2ラウンドを回りきったのは、この日36ホールをこなした松山英樹と谷口徹の二人。早朝に第1ラウンドの残りを終了した谷原秀人、宮里優作、池田勇太の3選手は、夕方以降の第2ラウンドがスタートせず。土曜日に18ホール、予選通過を果たせば、36ホールをこなすことになる。

 

 そんな日本勢で最も期待された松山は、悪夢の金曜日となった。第1ラウンドを2バーディ、4ボギー、1ダブルボギーの4オーバーで出遅れると、1時間半の休憩を挟んでスタートした第2ラウンドでは、1バーディ、5ボギー、2ダブルボギーの8オーバー。通算12オーバーの暫定138位と、予選通過が厳しい状況に追い込まれた。

 

 松山と同じく第2ラウンドを終えた谷口も苦戦を強いられた。2ラウンドとおして1バーディ、17ボギー。通算16オーバー、暫定152位に沈んだ。第1ラウンドを終了した谷原がイーブンパーで暫定14位タイ。宮里が3オーバーの暫定35位。池田は残した最終ホールをダブルボギーとして5オーバー、56位タイとなっている。

 

 週末は晴天が続く予報で、コースは本来の姿を取り戻すことが予想される。硬いフェアウェイ、高速グリーン、深いラフが戻るオークモントに残りの日本勢3人が、予選通過を懸けて挑む。

 

 4アンダーで暫定首位に立つのは、松山と同組で回ったダスティン・ジョンソン(アメリカ)と、第1ラウンドのみ消化しているアンドリュー・ランドリー(アメリカ)。1打差の3アンダー、暫定3位にリー・ウェストウッド(イングランド)。2アンダー、暫定4位タイにスコット・ピアシー(アメリカ)とセルヒオ・ガルシア(スペイン)が続く。1アンダーグループにババ・ワトソンら7人。連覇を狙うジョーダン・スピース(アメリカ)は、第1ラウンドのみの消化で2オーバー、暫定29位につけている。

 

 少しでも悪天候になれば、さらに競技進行が遅れる。土曜日は、第2ラウンドをスタートしていない選手が7時から、第2ラウンドの途中となっている選手が7時15分からスタート。第3ラウンドは、その後スタートする見込み。全米オープンチャンピオンへの険しい道は続く。

 

■予選通過は絶望的?

 松山に何があったのか!?

 

優勝候補にも挙げられていた松山が、まさかの事態に陥った。第1ラウンドは4番でバーディが先行したが、5番でグリーンをこぼすと、3パットでダブルボギー。第2ラウンドのハーフターン直前の18番。ティショットをバンカーに入れると、グリーンをめがけた2打目があごに当たり、このホールをダブルボギー。その後も後退する姿が、多くのファンの悲鳴を呼んだ。松山自身も心の中で悲鳴をあげていた。

「後半は早く終わりたいと思っていました。同組も二人に迷惑をかけないようにと思った……」

アンダーパーでラウンドするジョンソンとガルシアが遠い存在になった。窮地に立たされた松山に息を吹き返す力は残っていなかった。

「すべて技術力、実力がないだけ。次のメジャーのことは、今は考えられません」

期待を一心に背負った日本のエースが、早々にコースを去ることになりそうだ。

 

■予選通過を懸けて

 東北福祉の先輩たちが挑む

 

松山の予選落ちが濃厚となった今、決勝ラウンド進出に期待がかかるのが、松山の東北福祉大学の先輩、谷原、宮里、池田の3人だ。それぞれ第1ラウンドの残りを早朝に終えて一度コースを後にしたが、第2ラウンドスタートの号砲を聞くことなく、土曜日に入る。

「37歳にもなれば中断でもうまくできるということですね。最後の9番をパーセーブできたのが大きいです」(谷原)

「昨日は15番でバーディを取っていい流れだったのに、中断で流れが切れてしまった。なんとかいいゴルフをしようと思いましたが残念です」(宮里)

「昨日の3度の中断は長かった。昨日終わりたかったです。悔やむことはいっぱいありますけど、悔やんでも仕方ないので切り替えます」(池田)

 

■メジャーに近いといわれた

男たちが上位に進出

 

最も初メジャー制覇に近い男といわれる選手たち。首位につけるジョンソンは、昨年大会の最終ホールで絶好の機会を逃して、スピースに栄冠を奪われた。第2ラウンドを終わって4アンダー。彼岸が見えてきた。神の子といわれたガルシアも40歳が見えてきた。いまだメジャー制覇がない中で、今大会は本気度が違いそうだ。いずれもいつ勝ってもおかしくないといわれてきた男たち。勝負の決勝ウラウンドのゴルフに注目だ。