最高の笑顔で駆け寄る仲間と喜んだ。
 延長戦に入った試合に決着をつけるトライを明治学院大のSH松下太郎が奪った。
 31-26。スタンドの仲間たちも大騒ぎだった。

 6月24日におこなわれた関東大学オールスターゲーム。この日は関東大学対抗戦A・Bと関東大学リーグ戦1部~6部に所属する各大学チームから大勢の部員たちが秩父宮ラグビー場に集結して4825人がスタンドを埋めた。
 クライマックスの対抗戦選抜×リーグ戦選抜の試合までに、リーグ戦5部×リーグ戦6部、リーグ戦3部×リーグ戦4部、対抗戦B×リーグ戦2部、リーグ戦・対抗戦選抜女子×日体大女子Bとセブンズの試合がおこなわれた。
 聖地のピッチを駆ける機会なんて滅多にない選手たちがハッスルしてプレーし、一つひとつのパフォーマンスに各大学の応援団が声援を送った。

 セブンズゲームの中で、もっとも沸いたのが対抗戦B×リーグ戦2部のゲームだった。関東学大・小出惇矢の先制トライなどで先行したのはリーグ戦2部だったが、対抗戦Bが立教大・柴田悠太郎の好走などで追い、26-26で前後半を終える。
 そして訪れたのが冒頭のシーンだ。対抗戦Bのキャプテンがインゴールに飛び込み、熱戦を終わらせた。

 殊勲の松下は「最高に嬉しい」と言いながら、ピッチから引き上げてきた。
「(リーグ戦は強豪チームが多いけど)みんな物怖じせず、思い切りやってやろうという空気がありました」
 キャプテンに就いたのは、立候補したからだ。
「この大会に出るのは初めてだったし、滅多にない機会。後悔したくないと思い、手をあげました」
 選手同士、初対面の者が多かったから、コミュニケーションを密にして、楽しむことを最優先に、そして力を出し切ろうと呼びかけた。
 会心のゲームだった。

 松下は東福岡高校出身。花園の決勝で御所実を57-5の大差で破って日本一になった学年のSHだ。
「でも、花園ではウォーターボーイでした。県予選の決勝までは試合に出られたのですが、全国大会では(メンバーから)外れました」
 それでも、仲間とつかんだ栄冠は嬉しかった。
「それは間違いないです。でも、やっぱり試合には出たかった」
 そちらもまた正直な気持ち。甘酸っぱい青春時代を過ごした。

 4年生になってディフェンスリーダーを務めているという松下は、明学大でのラストイヤーに全力を尽くし、チームを対抗戦Aに昇格させて卒業しようと思っている。
「ファーストジャージーを着ると、やっぱり、みんなの代表としてプレーしている気持ちが強くなりますね。今年は、いいチームだと思います。立教にもフィジカルで勝って、絶対に入替戦に出て、そこに勝ちたい」
 今度こそ自分の手で勝利をつかむ。
 この日以上の笑顔で、仲間と喜びを分かち合いたい。