ラグビー日本代表は6月18日、愛知・豊田スタジアムでスコットランド代表と激突する。17日には試合会場で前日練習をおこない、堀江翔太主将は「フィジカル面でキックオフから対抗していく。去年と違ったラグビーがどれだけ通用するかが楽しみ」と意気込…

 ラグビー日本代表は6月18日、愛知・豊田スタジアムでスコットランド代表と激突する。17日には試合会場で前日練習をおこない、堀江翔太主将は「フィジカル面でキックオフから対抗していく。去年と違ったラグビーがどれだけ通用するかが楽しみ」と意気込んだ。

 相手は世界トップクラスの力勝負が見られる欧州勢にあって6強の一角だ。先発FW陣の平均身長と体重は、相手がそれぞれ約5.4センチ、約3.5キロ上回っている。

 スクラムやラインアウトといったFWが心身を削る攻防の起点、セットプレーでは、体格差に劣る側の工夫が問われるか。

 スクラムを最前列で組む右PRの畠山健介は、「同じ土俵で組まない」と宣言する。組み合う際の高低差やぶつかり合う瞬間のタイミングの妙に活路を見出し、難局を乗り切りたい。畠山の隣でスクラムを組むHOの堀江主将は、こう続けた。

「セットプレーでどこまで対抗できるか。まとまって押せるようにしたい。僕らも成長している。前3人(HOとその両脇でスクラムを組むPR)で話し合っていきたい」

 一方で、そのセットプレーの数自体を減らす考えもある。タッチラインの外へ蹴り出さないキックやテンポのよい攻撃を重ね、蒸し暑い気候のもとで相手の体力を削りたいと選手は声を揃える。マーク・ハメット ヘッドコーチ(HC)代行はこうだ。

「テンポのある試合にすれば、我々にとっていい状態になる」

 スコットランド代表は、昨秋のワールドカップイングランド大会で3勝を挙げたジャパンが唯一勝てなかった相手。両国の報道陣からは「リベンジの気持ちは」との質問が重なるが、今回が初来日のハメットHC代行は「僕はその場にはいなかった」と笑うほかない。堀江主将もただただ「試合のアタマから身体を張る」と語るのみだ。

 堀江主将がワールドカップについて戸惑うことがひとつ、ある。

 当時のチームは、エディー・ジョーンズ前HCが各領域の名コーチを集めて1日複数回の苛烈なトレーニングを敢行。「ハードワーク」「JAPAN WAY」などのフレーズを掲げ、歴史的勝利の礎を作った。

 もっとも、ジョーンズ前HCら指導陣は各地へ散り、現日本代表も今秋のジェイミー・ジョセフ新HCの着任を待つところだ。

――前体制との比較、嫌になっているのでは。

「嫌、では、ありますねぇ」

 この日の取材を終えた帰り際、堀江は「ワールドカップは終わった」と心境を明かす。

「エディーさんがいないのにエディー、エディーって…。それに引っ張られているようじゃ、ファンの人、メディア、選手、コーチも成長できないですよね。いまのラグビーを観て、それをどうよくしているか、です。エディーさんが何年後かにまた帰って来るのなら話は別ですけど、もう次の監督も決まっている」

 今度の相手は、ワールドカップ後にぶつかった相手でもっとも世界ランクが高いチームである。国際リーグのスーパーラグビーに挑むサンウルブズでも堀江と戦うハメットHC代行は、「(世間は)スコットランド代表が勝つと思っているだろう。そこに挑むのが私たちのチャレンジです」と自分に言い聞かせるように言った。
(文:向 風見也)