2年後に迫った東京パラリンピックに向けて、自身と向き合いながら新たなチャレンジを続けるパラ水泳界のヒロインが登場。リオでの悔しさを胸にさらなるレベルアップを期す!

「リオで一度、空っぽになったからこそ今があるのかなって」(一ノ瀬)

5種目で日本記録を保持する実力にキュートなルックスも相まって、CMや雑誌に引っ張りだこ。そのように東京パラリンピックをめざすアスリートの中でもひときわ脚光を浴びているのがパラ水泳の一ノ瀬メイである。しかし彼女のスタンスはいたって自然体。前回のリオデジャネイロでの経験を糧に、2年後に迫った東京パラリンピックに向け、拠点である近畿大学のプールでひたむきに水泳と向き合う日々だ。

「リオはボロボロでした。200m個人メドレーが終わった瞬間なんて空っぽでしたから。自分のメインレースでベストより3秒も遅いなんて、4年に1度の舞台の難しさを感じました。でも、帰国してしばらくたってから、空っぽになったからこそこの先いろんなことを詰めていけるんじゃないかなって、新しいスイッチが入りました」

リオで体感した世界とのギャップは確実に埋まってきているという。

「競技面だけでなく人間としても少し成長できたかなと思います。ベースのラインが上がったというか、リオの前だと調子が悪いときはとことんダメだったのが、今ではそれほど質が落ちなくなってきました」

昨シーズンは度重なるケガで思うような成績を残すことができなかったが、それも成長過程のひとつと捉えているようだ。

「3月の選考会も全然ダメでしたけれど、新しいことを試す中での結果だったので長期的に見るとすごく意味があることだなって。逆に代表を外れたこの夏は、じっくり腰を据えて強化ができるという意味では東京へのプロセスとしてプラスになるんじゃないかなと考えています。もちろん東京では表彰台に乗ることが目標ですが、それ以前に、何よりスタート台に立ったときに『うん、やれることは全部やってきた!』って思えるような準備をこれからの2年で心がけていきたいですね」

【プロフィール】

一ノ瀬メイさん

いちのせ・めい●1997年3月17日、京都市出身。近畿大学水上競技部に所属。イギリス人の父と日本人の母を持つ。先天性右前腕欠損症で、1歳半から水泳を始める。現在200m個人メドレー、50m自由形、100m平泳ぎなど5つの日本記録を保持し、2016年リオデジャネイロパラリンピックでは8種目に出場した。英語も堪能で、高校3年時には全英連第8回全国高等学校英語スピーチコンテストで優勝した経験を持つ。