錦織圭の芝シーズンが幕を開けた。ドイツ・ハレで開幕したゲリー・ウェバー・オープンの1回戦に登場した錦織は、世界ランク159位のマティアス・バヒンガー(ドイツ)をストレート(6-3、7-6)で下し、2回戦に駒を進めた。ゲリー・ウェバー・…

 錦織圭の芝シーズンが幕を開けた。ドイツ・ハレで開幕したゲリー・ウェバー・オープンの1回戦に登場した錦織は、世界ランク159位のマティアス・バヒンガー(ドイツ)をストレート(6-3、7-6)で下し、2回戦に駒を進めた。



ゲリー・ウェバー・オープンで1回戦と突破した錦織圭

 赤土シーズンの終了からウィンブルドン開幕まではわずか3週間。錦織は毎年、このゲリー・ウェバー・オープンを、その前哨戦として位置づけている。芝で行なわれる大会が少ないため、ATP500の格付けとはいえ、今年もロジャー・フェデラー(ATPランキング1位)、アレクサンダー・ズベレフ(同3位)、など多くの上位ランカーが参加している。

 初戦の相手は地元のドイツ人選手バヒンガー。今年1月、右手首のケガから復帰したばかりの錦織は、ダラス・チャレンジャーで対戦しており、勝利を収めている。バヒンガーは主催者推薦で今大会の予選に参加し、大会公式メディアによれば本戦出場は「サプライズ」という位置づけだった。

 そんな相手に、第1セットは第4ゲームでブレークすると、そのまま6-3で奪取。だが、第2セットは、2度のブレークでリードしたものの追いつかれ、タイブレークに持ち込まれてしまった。

「このサーフェスだとタイブレークは多くなってくるので、なるべく冷静に(プレーした)。2ブレークアップしていたので、なるべくキープして終わらせたかったですけど。タイブレークでもリターンが入ればチャンスはあるので、落ち着いてプレーはしていました」と、試合を振り返った。

 試合後、錦織は右手首をアイシングしながら会見場に姿を見せた。「問題はない」と言うが、前回ケガをしたところとは違う部分に痛みが出ているという。錦織は現在の状態について、こう説明する。

「いろいろな部分に痛みは出てきます。2カ月くらいテニスをせず、筋トレもできない状態だったので、(痛みが出てくるのは)自然というか……。(芝では)無理なポジションでボールを打たされるので、休んでいたぶん、痛めた箇所だけではなく、手や腕のいろいろな部分に痛みがくるときはありますね」

 錦織は3年連続で、この大会をケガによってリタイアしている。昨年も、1回戦を突破すると、「身体的にはOK」と語っていたが、2回戦途中で棄権を余儀なくされた。この大会に関しては、ケガなく戦い抜けるかということが大きなテーマになるだろう。

「このサーフェスではあまりプレーすることがありませんし、僕の身体にとってはタフ。スピードを使えないし、身体の違う部分を使わなければならない」と本人が語るように、ボールが速く滑る芝は、錦織にとって身体的に大きな負担となる。

「怖いのはバウンドがいつも正確(規則的)でないのと、結構(ボールが手元に)食い込んでくること。これは予防しようにも、どうしようもないことなので、それが今でも少し怖いですね。フレームショットになったり、無理な体勢で打たされるのは、このサーフェスだとしょうがない」

 確かにこの日の試合でも、差し込まれて無理な体勢からショットを放ち、ネットに引っ掛けるシーンが目立っていた。

 もちろん、錦織も過去の経験から何も得ていないわけではない。これまでの経験から多くを学び、この数カ月、負荷のかかる芝でも耐えられるような体づくりをしてきたという。それでも錦織は「なるべく(芝でプレーする機会が)なくならないようには頑張っていますけど、終わってみないとわからないですね」と、最後まで慎重な姿勢を崩さなかった。

 錦織は2回戦でカレン・ハチャノフ(ロシア/世界ランク38位)とミーシャ・ズベレフ(ドイツ/同54位)の勝者と対戦する。

◆錦織圭は「テニスを楽しんでいるか?」と問われても、もう反発しない

◆「勝ってチューしたかった」穂積・二宮ペアが全仏準Vで手にしたもの