ロシアワールドカップに臨んでいるサッカー日本代表の本田圭佑曰く、ゴールとは「出ないときは出ないし、出るときはドバっと出る」ケチャップのようなものらしいが、ゴルフの全米オープン(現地時間6月14日~17日/ニューヨーク州、シネコックヒル…

 ロシアワールドカップに臨んでいるサッカー日本代表の本田圭佑曰く、ゴールとは「出ないときは出ないし、出るときはドバっと出る」ケチャップのようなものらしいが、ゴルフの全米オープン(現地時間6月14日~17日/ニューヨーク州、シネコックヒルズGC)に出場した松山英樹の最終日も、そんな”ケチャ・ドバッ”状態にあった。

 3日目(計54ホール)までに奪ったバーディーはわずか3つ。”ムービングサタデー”の3日目にいたってはゼロである。それが、最終日には6バーディーを奪い、順位は前日までの54位タイから、通算10オーバー、16位タイへと大きくジャンプアップした。松山が言う。

「満足のいくプレーはできました」



難コースに苦しめられた松山英樹

 それにしても悔やまれるのは、3日目のプレーだろう。予選ラウンド同様、ティーショットは安定していたが、セカンド以降がなかなかピンに絡まない。

 そんな「やりたいことが何もできなかった」という3日目を象徴するのが、8番パー4。2打目がグリーン奥のラフまで転がり、アプローチは1.5mの位置に。ここから、まさかの4パットでトリプルボギーを叩いた。

 さらに、16番でも8mのバーディートライを含めて4パットと叩き、この日だけで9つもスコアを落とした。

「(2日目の)昨日より、グリーンのスピードがかなり上がっていたので、それに対応できなかった。ミスパット(した意識が)が1回もなく、4パットするのは、たぶん、初めてだと思う。

 9番も(バーディー)チャンスだったんですけど、(8番の4パットが)頭の中に残ってしまって、打てなかった。それを払拭しようと思って、16番はしっかり打ったんですけど、(8番と)同じようなミスをしてしまった。今日はしんどいですね」

 そして、こう続けた。

「明日はバーディーを取りたい」

 決勝ラウンドは好天に恵まれ、ギャラリーには心地よいぐらいの涼しい風が吹いていた。しかし、強風が吹けばグリーンは乾き、硬くなり、ボールのスピードは増す。午前スタートと午後スタートでは、コースがまるで別な顔を見せ、グリーンの難易度がまるで違う。

 好天も、シネコックヒルズに挑むゴルファーには”荒天”となるのである。

 すべての選手に平等な条件などないゴルフというスポーツの特性と言えばそれまでだが、最終日、午前9時27分スタートだった松山には有利に働いた。3番から4連続バーディーを奪うなど、6バーディー、2ボギーの「66」。最後に4つスコアを伸ばして、4日間の戦いを締めくくった。

「(スコアが伸ばせたのは)スタートが早かったからだと思います。グリーンは(前日までと違って)柔らかくなっていましたが、スピードはあまり変わっていなかった。

 ただ(午前スタートでグリーンが)きれいだったので、昨日みたいにカピカピじゃない分、きれいに転がってくれました。(午前組と午後組で条件が大きく異なることから、他の選手からは不満の声も挙がるが?)選手は与えられた条件でやるしかない」

 強風に全選手が頭を抱えた118回目の全米オープンを制したのは、通算1オーバーのブルックス・ケプカ。昨年大会に続く連覇となった。

「世界で最も過酷なゴルフの試練」などと呼ばれるこの大会とはいえ、4日間通しでアンダーパーがひとりもいなかったことが、例年にも増していかに過酷な条件だったかを物語っている。

 6度目となる全米オープンで、16位タイに終わった松山は何を得たのか。

「何もないです。最近、成績が出ていないんで、こんなもんじゃないのかなという感じです。(来週以降のスケジュールは?)わからないです」

 今後に向けて何も語らず、松山は試練の地を去った。

 次なるメジャーは、7月19日からの全英オープン。カーヌスティ・ゴルフリンクス(スコットランド)を舞台に、松山は日本人初のメジャー制覇に挑む。