4日前に離れたときには、来シーズンまで来ることがないだろうと思っていたクリーブランドの地に、再び戻ってきた。第4戦に敗れてシリーズ成績1勝3敗とゴールデンステイト・ウォリアーズに王手をかけられ、第5戦のためにオークランドに向けて発ったときの…

4日前に離れたときには、来シーズンまで来ることがないだろうと思っていたクリーブランドの地に、再び戻ってきた。

第4戦に敗れてシリーズ成績1勝3敗とゴールデンステイト・ウォリアーズに王手をかけられ、第5戦のためにオークランドに向けて発ったときのクリーブランド・キャバリアーズのチームの合言葉は、「どちらにしても我々はクリーブランドに戻って来るのだから、他のみんな(ウォリアーズやメディア)もいっしょに連れてこよう。第6戦を戦うために戻ってこよう」だったという。キャブズが第5戦に勝ったことでその通りになった。

第6戦前日のクリーブランドは蒸し暑く、カラっと快晴というわけでもなく、それでもグレーの雲の合間からは確かに青空が見えた。まるで、今のキャブズ・ファンの気持ちを表しているかのようだ。第5戦に勝ったからといって、まだウォリアーズに王手をかけられていることには変わらず、それでもシーズンが続いている限りは、優勝の希望は確かにそこにある。

クリーブランドの人たちにとってキャブズが優勝することは、クリーブランド他のプロチーム、インディアンズ(MBL)やブラウンズ(NFL)が優勝するよりもさらに意味のあることなのだという。

う話してくれたのは、今朝、空港から乗ったウーバーのドライバー。サンフランシスコから来たと言ったらすぐにNBAファイナルの話になり、ダウンタウンのホテルまでの道中は、レブドン・ジェームズとキャブズの話で盛り上がった。

そのドライバー氏いわく、「インディアンズも、ブラウンズも何年も前だけれど優勝している。キャブズはまだ優勝していないだけに、キャブズが優勝することはそれだけ意味があるんだ」という。

レブロン・ジェームズがキャブズを離れたときに、市民たちの中にはジェームズを恨む人も大勢いた。しかし、このドライバー氏は違うと言う。

「彼がビジネス面でああいう決断をしたことは理解できる。テレビで発表したことも、発表する情報に価値があったわけで、それに対してお金を出すという人がいれば受けるのは当然だ」

なかなか理性的なファンだ。その一方で、ジェームズがヒートと交わした契約が長期契約ではなかったことから、「必ずまたクリーブランドに戻ってくる」と信じてもいたのだという。

レブロンは、マイケル・ジョーダンを超えて、歴史的に名前を残したいと思っているんだ。そのためには、クリーブランドのような、50年以上プロチームが優勝していないチームで、一度も優勝したことがないキャブズを優勝に導くことだからね」と熱弁していた。

もし今年優勝しなかったとしても、ジェームズのその野望が終わったわけではないとも言う。

「俺の考えでは、彼には今年をいれて、あと3回はチャンスがあるはずだ」

ジェームズは現在31歳半。2年後にはまだ33歳半なのだから、盲目的になりがちなファンの視点としては、かなり慎重な考え方だ。

そのジェームズ自身は、今年は「クリーブランドの街のために優勝したい」という思いを、意図してか、ほとんど口にしていない。

第5戦を前に、街のために優勝したいという気持ちと、それにともなくプレッシャーについて聞かれたときには、「バスケットボールの面では、それはここに戻ってきた理由のひとつだけれど、一番の理由でも、唯一の理由でもない」と言っていた。

その他の理由としてあげたのは、自分の基金を通して、地元の子供たちに大学の奨学金を与えるなど、地元の子供たちに影響を与えること。

離れていてもできたことだけれど、実際にこの地にいることで、自分を尊敬してくれている子供たちにとってより大きな意味がある」と説明した。

もちろん、栄冠を渇望する街に優勝を、という目標は今までと変わらずに持ち続けている。

「2003年にドラフトされて以来、クリーブランドに優勝をというのは僕の目標だった。それは変わっていない」とジェームズ。

「99年に高校にいた頃は、州チャンピオンを取ることが目標で、その後はNBAチャンピオンが目標になった。目標はずっと変わっていない」

第6戦が行われる6月16日(現地)は、奇しくも、自分たちのホームコートでウォリアーズが優勝し、祝うのを見たのと同じ日付。勝てば、第7戦に優勝の希望をつなぎ、負ければ、去年と同じく、目の前で相手チームが優勝を祝うところを見ることになる。

レブロン・ジェームズは言う。

「自分たちにチャンスがあると思っている。去年は第5戦に負けた次の試合だったけれど、勝つチャンスはあった。終盤にコミュニケーションがうまくいかず、やられてしまったけれど。今年も、勝つチャンスはある」

 

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