来年のラグビーワールドカップで日本の対戦相手となるチームに関連し、先週末、北米でショッキングな出来事が2つあった。
 ベスト8入りを争うライバルと目される世界ランキング6位のスコットランド代表は、アメリカのヒューストンで現地時間6月16日、同15位のアメリカ代表と対戦し、29-30でまさかの逆転負け。
 同日、カナダのオタワでは、2019ワールドカップ開幕戦で日本代表とぶつかるロシア代表(世界ランク19位)が、ワールドカップ常連のカナダ代表(同21位)を43-20で初めて倒すという快挙を遂げた。

 7回目の挑戦でスコットランドから初勝利をあげたアメリカは、今年から、かつて神戸製鋼コベルコスティーラーズなどで指揮を執ったギャリー・ゴールドがヘッドコーチとなり、アメリカズ・ラグビーチャンピオンシップで5戦全勝優勝していた。6月テストシリーズ初戦はロシアを圧倒し、16日に地元ヒューストンで新たな歴史をつくった。

 アメリカは、94年前となる1924年のオリンピック(15人制)でフランスに勝ったことがあるが、近代ラグビーにおいて、ティア1と呼ばれる世界トップグループの強豪国に勝ったのは初めてである。

 スコットランドは経験の浅い若手を多く起用したものの、キャプテンを務めたのは世界最高クラスのFBと呼ばれるスチュアート・ホッグで、CTBピーター・ホーン、FLティム・スウィンソンといった2015年ワールドカップ出場者も先発。ベンチには40キャップを持つバックローのデイヴィッド・デントンや、オリンピアンのCTBマーク・ベネットらも名を連ねていた。

 前半34分までにスコットランドに3トライを許したアメリカだが、6-21で迎えた37分、リスタートのキックオフ後、ディフェンスでプレッシャーをかけてボールを奪い返し、連続攻撃をHOジョー・タウフェテがフィニッシュして流れを引き戻した。

 その後、スコットランドにPGを決められ点差は開いたが、後半早々にはドライビングモールから持ち出したHOタウフェテがパワフルに突進してインゴールに押さえ、会場を沸かせた。10番をつけるAJ・マギンティのキックは安定しており、コンバージョンを確実に決めると、47分(後半7分)にはPGも成功で、23-24と1点差に迫った。

 そして59分、マギンティが高く蹴り上げたボールを、この日がスコットランド代表デビューだった19歳のNO8マット・ファーガソンが落下地点でキャッチできず、チェイスしていたマギンティが確保してFLハンコ・ヘルミスヘイズにつなぎ、逆転トライが生まれた。

 アメリカはディフェンスでも奮闘し、6点を追うスコットランドが67分に攻め込みCTBベネットがゴールラインを割ったが、“イーグルス”の愛称を持つ男たちはグラウンディングをさせなかった。

 伝統国の威信にかけて負けられないスコットランドは試合終了間際、敵陣深くでフェイズを重ね、左外で飛ばしパスをもらったWTBダギー・ファイフがトライを決めたが、キッカーを務めたWTBブレアー・キンゴホーンのタッチライン近くからのコンバージョンは外れ、アメリカが歓喜した。

 アメリカは2019年のワールドカップで、イングランド、フランス、アルゼンチン、そしてトンガと一緒のプールCに入る。

 ヨーロッパ最終予選で上位だったルーマニアとスペインの代表選手資格違反により、繰り上げで8年ぶり2回目のワールドカップ出場権を獲得したロシアだが、潜在能力を秘め、本大会の開幕戦でぶつかる日本にとっては侮りがたい相手であることがわかった。

 今回対戦したカナダは近年不調とはいえ、第2回ワールドカップでベスト8に入ったことがある中堅の難敵で、ロシアは過去4回挑み、前回、2016年6月に対戦したときは25点差で敗れていた。

 オタワでおこなわれた試合、相手にPGで先制されたロシアだが、前半9分、速いボール回しから左外を35歳のNO8アントン・ルドイがダイナミックに抜け、19分にはラインアウトからのテンポのいいチームアタックを3キャップ目の若いFLニキータ・ヴァヴィリンがフィニッシュ。29分には、ゴール前のスクラムからサイドアタックしたNO8ルドイが追加点を挙げた。
 その後、スピードがあるWTBアレクセイ・ミハルツォフが2トライを追加し、54分(後半14分)にはカザフスタン出身のアグレッシブなNO8ルドイがまたもゴール前のスクラムから突進してハットトリックを達成。
 2011年のワールドカップを経験している100キャップ間近のベテラン、SOユーリー・クシュナレフもブーツで着実に得点を重ね、歴史的勝利となった。