アベック優勝を果たした張本智和&伊藤美誠 写真提供:日本卓球協会


 福岡県北九州市を舞台に5日間にわたって開かれた「ライオン卓球ジャパンオープン荻村杯」<6月6~10日/北九州市立総合体育館>が閉幕した。日本勢は男子シングルスで張本智和(JOCエリートアカデミー)、女子シングルスで伊藤美誠(スターツSC)がアベック優勝。しかも世界王座に君臨する中国の五輪金メダリストらトップ選手を次々に破る歴史的快挙を母国開催で達成した。同種目で張本はツアー通算2勝目、伊藤は6勝目を挙げており、今シーズンは共に初優勝。

 まず張本は男子シングルス2回戦で中国のサウスポー周雨にストレート勝ちし、続く準々決勝では中国の絶対王者と呼ばれるリオ2016五輪2冠の馬龍をゲームカウント4-2で撃破。大金星を挙げた勢いを最終日にも持ち込んだ。準決勝では韓国のエースであるイ サンスをゲームカウント4-2で下した。イ サンスは前回対戦した2月のチームワールドカップ団体戦で負けた相手とあって、張本も中国人選手以上に警戒していた。だが、ここを突破したことで自信を深め決勝に弾みがついたようだ。

張本智和 Photo:Itaru Chiba


 決勝はもう一方の準決勝で首の痛みを訴えたボル(ドイツ)が棄権したことで、不戦勝の張継科が対戦相手に。中国の張継科はロンドン2012五輪男子シングルス金メダリストだが、2大会前の香港オープンで約半年ぶりにツアー復帰。翌週の中国オープンで張本と初対戦し、張本がストレート勝ちしていた。しかし、それからわずか1週間で張継科はプレーの質を上げ、張本との頂上決戦をフルゲームに持ち込んだ。

 その結果、張継科が第1、2、5ゲームを先取するも、ゲームカウント2-3で後がなくなった張本が第6、7ゲームを奪う大逆転勝利。張本は1大会で3人の中国人選手を破る歴史的快挙を成し遂げた。価値ある勝利を手にした張本は試合後の記者会見でこう述べている。

「今大会は世界卓球(2018スウェーデン)のリベンジという位置付けで臨んだ。その結果が優勝で最高に嬉しい。中国人選手3人と韓国人選手2人と厳しい5試合を戦い本当に疲れてしまって、優勝が決まった瞬間は倒れ込んでしまった。自分に『お疲れ様』と言いたい」

「馬龍選手に準々決勝で勝つのだって難しいのに、優勝なんて考えていなかったからびっくりした。最近、強化に取り組んでいるサービスとフォアドライブが良かったので得意のバックハンドも生きた。ジャパンオープンで優勝できて自信がついた」

伊藤美誠 Photo:Itaru Chiba


 一方、伊藤も最終日、準決勝で中国の陳幸同に3ゲーム奪われてからの大逆転で劇的勝利を挙げた。そして決勝は18歳の伊藤と同世代の19歳・王曼イクと対戦。過去6戦して全敗の相手を多彩なサービスとレシーブを軸とした変幻自在の戦術で翻弄し、ゲームカウント4-2で優勝した。

 特に王曼イクとは直近の香港オープン、中国オープンに続き今大会で3戦連続の対戦。香港オープンも中国オープンも軍配は王曼イクに上がっていたため、「今回は勝ちたい気持ちが強かった。やっと勝てて嬉しい」と試合後の記者会見で笑顔を見せた。

伊藤美誠 Photo:Itaru Chiba


 また、「私たちは世界ジュニア選手権などでたくさん試合をしてきて、王曼イク選手は同世代の中で雲の上の存在だった。お互いに東京2020五輪で優勝したいという目標がある。五輪の舞台の決勝戦でまた対戦できたらすごく幸せ」とも話した。

 張本、伊藤の次戦は7月17日開幕の「韓国オープン」を予定。獲得ポイントおよび賞金の高いITTFワールドツアー最高格付けのプラチナ大会に臨む。

(文=高樹ミナ)


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