1998年に開催された長野オリンピック・パラリンピックの20周年記念事業として、”ヒーロー&フューチャーズ2018 イン 長野”が、6月8日から10日にかけて開催された。アイスショー期間中のトレーニングで着実に…
1998年に開催された長野オリンピック・パラリンピックの20周年記念事業として、”ヒーロー&フューチャーズ2018 イン 長野”が、6月8日から10日にかけて開催された。
アイスショー期間中のトレーニングで着実に状態を上げている羽生結弦
このアイスショーには、長野五輪男子フィギュアスケート銀メダリストのエルビス・ストイコ(カナダ)や、3位のフィリップ・キャンデロロ(フランス)。アイスダンス銅メダリストのマリナ・アニシナ&グェンダル・ペイゼラ(フランス)や、日本代表として出場した本田武史などレジェンドたちが出演した。
さらに昨シーズンの五輪や世界選手権のメダリストのほか、将来を期待される若手スケーターたちも登場。
羽生結弦は、8日は『平成29年度JOCスポーツ賞表彰式』に出席したため、2日目の9日からこのショーに参加。演じたのは五輪プレシーズンのフリープログラム『ホープ&レガシー』のアイスショーバージョンだった。
羽生は、ステップシークエンスのパートから滑り出し、丁寧な滑りでステップを披露すると、最初のジャンプでは着氷を乱したものの、試合の構成だと3回転フリップを跳んでいたところで3回転ループに挑戦した。
2週間前の「ファンタジー・オン・アイス」開幕公演の幕張ではアクセルとサルコウ、トーループは3回転まで跳べるようになっていると言っていた言葉どおり、ケミストリーとのコラボレーションの演技ではトリプルアクセルと3回転トーループを跳んでいた。
他のジャンプについては、「フリップとルッツはまだ跳ぶ動作さえしていません。でもループに関しては軸を取る練習などで1回転とか上がるだけの動作を少しずつ。本当に毎日1~2回だけやっている」という状態だった。
だが、翌週の金沢公演では、2日目に「トーループはほとんど練習していなかった」という状態ながら、演技後半に跳んでいた3回転トーループを4回転にして着氷を乱しながらも成功。フィナーレでも再挑戦してきれいに決めていた。そして、今週の長野では3回転ループを解禁するまでになるほど、アイスショーの期間のトレーニングで、状態を上げてきている。
今回長野で披露した『ホープ&レガシー』は、フリーの4分30秒の演技を、ステップシークエンスとコリオシークエンスを中心にして3分のプログラムにしたものだ。ジャンプは最初の3回転ループを含め、全部で4回入れる構成にしていた。
羽生はプログラムの最終滑走。その前のネイサン・チェン(アメリカ)が4回転トーループを入れたスピードとキレのある滑りで好調さを見せた。また、初日は新しいショートプログラム(SP)を披露していた宇野昌磨は、この日は新しいエキシビションプログラムの『グレートスピリット』をワイルドに演じて喝采を浴びていた。
羽生は、聞こえてくる大歓声でやや力んだのか、3回転ループの着氷が乱れ、リンクの狭さも影響したのか、そのあとに跳んだ4回転トーループでも転倒した。
しかし、そのあとは気持ちを切り替え、トリプルアクセル+1回転ループ+3回転サルコウをきれいに決めると、コリオシークエンスで観客を魅了。試合では3回転ルッツだった最後のジャンプは、イナバウワーのあとにターンを入れてから跳ぶトリプルアクセルにして、ジャンプを降りてからすぐにイーグルを入れ、最後はチェンジフットコンビネーションスピンで締めた。
5月末の幕張でのアイスショーでは「3回転もまだリハビリとして練習しているので、本当に難しい入り方とか難しい降り方などにはまだ着手できていない」と話していたが、長野での演技を見ると、さらに状態が上がっていることがうかがわれる。
トリプルアクセルと3回転トーループで始まった今年の羽生のアイスショーだが、回を重ねるにしたがって、着実に跳べるジャンプの種類を増やしている。新シーズンへ向けての準備は、着々と進んでいるようだ。