身長187センチ、 体重101キロの体躯に、強さと速さを詰め込んでいる。日本代表のウィリアム・トゥポウは6月9日、大分銀行ドームでイタリア代表と激突する。 トンガのルーツを持ち、ラグビー大国であるニュージーランドのオークランドで生まれ育っ…

 身長187センチ、 体重101キロの体躯に、強さと速さを詰め込んでいる。日本代表のウィリアム・トゥポウは6月9日、大分銀行ドームでイタリア代表と激突する。

 トンガのルーツを持ち、ラグビー大国であるニュージーランドのオークランドで生まれ育った27歳。高校時代はオーストラリアのブリスベンで育ち、13人制のラグビーリーグでハードな衝突を愛してきた。欧州6か国対抗に出場するパワフルなチームにも、力勝負を挑めそうだ。

 特に焦点が当たるのは、立ったままボールをつなぐイタリア代表への防御だ。

 ジョン・プラムツリー ディフェンスコーチは、守備列に十分な人数を揃えて相手との間合いを詰める戦法を提唱。列強国との体格差を瞬発力でカバーすべく、ボールが出た後の極端な飛び出しを命綱とする。

 アウトサイドCTBなど外側のスペースに入る選手には、ライン上の人数調整や飛び出すタイミングの判断が求められる。全体のパフォーマンスにも影響を及ぼしそうな位置で、トゥポウが持ち前の身体能力を発揮するか。

「ディフェンスでは、ラインスピードが大事になる。僕はボールの位置がどこかを確認しながら、(自らの出足で)外側のスペースをシャットダウンしたい」

 隣のインサイドCTBに入るのはラファエレ ティモシー。2人は国内トップリーグのコカ・コーラ、スーパーラグビーのサンウルブズでもチームメイトだ。フィジカリティとスキルを兼備する2人には、防御はもちろんお家芸のち密な攻めでも目立って欲しいところ。背番号13のトゥポウは、試合中の意思伝達が不可欠だと話す。

「お互いに助け合うのが大事だね。ラファエレが僕に、僕がラファエレに声をかける」

 日本開催のワールドカップを翌年に控えるなか、チームは必勝態勢だ。ジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチは「ベストなメンバーでプレーしたかった」。トゥポウには万能性を期待する。怪我人が出た場合は、トゥポウにWTBやFBのカバーを頼むだろう。

 昨年6月に代表デビューしたトゥポウにとって、今度は2キャップ目のゲームとなる。強さと器用さが、スコアボードに影響を与える。(文:向 風見也)