マスターズ5位で期待が膨らんだ初メジャー制覇メジャー初戦のマスターズで5位に入った松山英樹。2014年6月以来の米ツアー2勝目に手が届きそうで届かない中でも、上々のシーズンを送っていたのは間違いない。 16年の年明けから優勝を逃す惜しい試合…

マスターズ5位で期待が膨らんだ初メジャー制覇

メジャー初戦のマスターズで5位に入った松山英樹。2014年6月以来の米ツアー2勝目に手が届きそうで届かない中でも、上々のシーズンを送っていたのは間違いない。

16年の年明けから優勝を逃す惜しい試合が続いた。全米オープンを迎えるまでトップテン入りが実に6回。米ツアー2勝目をメジャーで果たすのではないか。ゴルフファンの期待は最高潮に膨らんだ。そんな中で臨んだ本大会。松山は、大会前に静かに口を開いた。
「去年よりは自分への期待感は高いと思います」

舞台は、これが全米オープンのコースかと見まがうほどの異色コース、米国ワシントン州にあるチェンバーズベイ。オープン間もないコースは、世界最高峰の戦い、全米オープンに新たな試練を与えることになった。
「18ホールありますが、その倍くらいやっているような印象になります。1番や18番もそうですが、ティグラウンドの位置が前になったり、後ろになったりするので。パー3でもティグラウンドを前に出したりするところはあると思います。そうなると印象が全然違います。36ホールくらいやっている感覚になりますね」
天候やコースコンディションによって使用ティグラウンドを変更するため、各ホールの表情が変わる。豊かなアンジュレーションとリンクスを思わせる荒涼とした風景。そんなところにも松山は警戒感を募らせた。

初日は静かに、慎重にホールを重ねた。前半を2バーディでまとめたが、後半はダブルボギーをたたくなど、結局イーブンパーのラウンド。フェアウェイを外したのがダブルボギーを喫した7番のみ。ティショットの安定感は抜群で、26位タイとまずまずのスタートを切った。
「フェアウェイをしっかり捉ええいるし、このショットならまだまだ伸ばしていける感じはあります。とにかくオーバーパーは打ちたくない。ミスを少なくしてプレーすることを心掛ければ、チャンスはあると思います」
自信をのぞかせた。

2日目は一転、スコアを落とす展開となった。一つスコアを落とし、通算1オーバー、21位タイ。とはいえ、難コース上でのスコアとしてはまだまだ上位を狙える位置につけた。
「スタートから苦しい流れでしたが、どうにか1オーバーで耐えました。2番でも長いパットが入りましたし、全体的には良かったと思います。ただ、途中、3パットもしましたし、短いパットを外したりもしているので、そこはもったいなかったかなと。明日は上位との差をしっかり詰めていきたい」

首位と6打差で迎えた決勝ラウンドの3日目。出だしをバーディ発進としたが、その後はスコアを伸ばせぬ展開。上がってみればスコアを二つ落とす結果で通算3オーバー。それでも順位は19位に上がった。
「今日はスタートも良かったですし、最後もバーディで締めくくれたのがよかった。明日につながればいいですね。この状況にきて上を目指さない人はいない」
首位と7打差ながら、何が起こるか分からないコース。望みをつないで最終日を迎えた。
3日目同様バーディスタートで幸先のいい出だしだったが、バーディ、ボギーを繰り返し迎えた6番。パーオンしながらも4パットでダブルボギー。後半は1アンダーにまとめ、一矢報いたが、優勝争いに加われずに通算3オーバー、18位タイでホールアウトした。
「悔しいです」
搾り出した声が無念さを物語った。
「パッティングですごく差を感じました。上位に来る選手、狙えるところでしっかりフィニッシュする選手と下位で終わる選手の差を感じました」

優勝したジョーダン・スピースとの差は8打。同組で回ったアダム・スコットとショットの差は感じなかった。今年はこの差を埋めて、初のメジャー制覇に突き進む。