株式会社Terrace代表取締役社長/テストラン「倭」共同事業者 杉岡 侑也 ×                         オフィスポプロデューサー/ブレークタイムデザイナー  電通キャタピラーズヘッドコーチ 奥村 誠浩 自分たちは…

株式会社Terrace代表取締役社長/テストラン「倭」共同事業者
杉岡 侑也
×                        
オフィスポプロデューサー/ブレークタイムデザイナー 
電通キャタピラーズヘッドコーチ
奥村 誠浩

自分たちは、仕事に、人生にどれくらい夢中でいられているだろうか?もちろん、仕事であれば自分の思い通りになることの方が難しいし、大変なことも多い。だけど、どうせ人生の多くの時間を費やすなら、好きなことに夢中になって働ける方がいい。そのために大切なのは、本当の自分と出会い、本当に自分がやりたいことを知ること。仕事で多少大変なことがあっても、もしかすると他に夢中になれる瞬間があれば乗り切れることもある。アストーク第5弾は、若者たちが仕事を通じて”夢中”になれる場所を創造するを標榜し若者たちに自分の人生の意義に出逢ってもらうために、様々な意義を持つ人に無償で出会える機会を提供するBEYOND CAFEを運営し、ご自身も夢中になっていまの時代を切り開く株式会社Terrace代表取締役社長の杉岡侑也さんと、オフィスポを立ち上げプロデュースするとともに日本社会人アメリカンフットボールXリーグに所属する電通キャタピラーズのヘッドコーチでもある奥村誠浩が、自分たちの経験を通じて「夢中」になることが生み出すものについて語り合う。

二人にとっての「夢中」の源泉とは・・・

奥村:杉岡さんがbeyond cafeを始められるきっかけになったのは?

杉岡:自分が始めた経緯はものすごいシンプルで、まさに「夢中」っていうものに出会う機会が日本の教育の中と学校の教育の中に欠如しているな、ってすごく感じた機会があったからですね。自分がビジネスとして面白いをいうより、どちらかというと起業家という生き物は社会に必要なもの=不平不安不満を解決するものが社会人の役割として与えられていると思った時に、僕は夢中という機会創造をしようと思ったんです。若者から「夢中」を奪ってしまうものを分析して、それを取り除く、もしくは取り除けないのであればまたもう一度「夢中」を創造する機会を社会につくろう、というメッセージをもってBEYOND CAFEっていうのを始めたんですよね。

奥村:もともとご自身も夢中と出会ったからそういうことを感じたんですか?

杉岡:僕は、「はたらく」というものに対して没頭していて、夢中になっていて、働くというものをものすごくリスペクトしてるんですね。それが人によってはスポーツであり、人によっては藤井四段みたいに将棋だったりするわけで。それが何かっていうのは人によって違うと思うんですけど、僕にとっては「はたらく」という行為そのものに対して没頭していて、夢中になっている状態にあります。これはなぜそれに生まれたかっていうと、そこに小さな成功体験があったからなんです。人って社会とつながってたいという欲望がきっとあると思っていて、それを埋めてくれるものが僕にとっては「はたらく」だったんです。だから「はたらく」というものに対してものすごいリスペクトがあるし、あれのおかげて人生としてステップアップ機会に恵まれたりとか、というのがあります。

奥村:最初の「はたらく」というのはどういう?

杉岡:スイミングインストラクターでした。いちばんはじめは、18歳のとき。すごい楽しかったですね。子供と触れるのが。今でこそワーカーズライフって言われてますけど、僕に取ってのあのアルバイトはワーカーズライフでしたね。子供と触れながら彼らの成長を横で見て、っていうのが楽しくて、仕事として捉えていたかっていうと、ほぼ趣味。奥村さんはいまどういう活動をされているんですか?

奥村:僕は、いまオフィスポという企業に運動プログラムをデリバリーするプロジェクトを進めています。あと同時に、アメフト部のヘッドコーチもやってます(笑)なぜやったかでいうと、自分がアメフトの練習をしていたときに、歳のせいなのか自滅でアキレス腱を切ってしまって・・・運動が好きなのに運動できない時間がしばらくあって、あとはライフステージも変わっていく中で、やっぱり身体動かすことがストレス解消だったな、というのを感じて。だったら当時ヨガも流行っていたので、オフィスで運動する文化をつくれたらな、って思ったんです。

杉岡:最初から受け入れられたものなんですか?

奥村:そうですね、最初は本当に趣味のような世界で。体を動かすことが好きだとか、ヨガってやってみたい、というような仲間内で試していったんです。そうして誘ってみて実際にやってみると、意外にオフィスがいつもとはちょっとちがう空間でいい!ってなって。そこからこれはいけるかも、ってのめり込んでいった感じですね。

「仕事」から「志事」へ。はたらくを再定義し、好きなことをする。

奥村:杉岡さんはご自身が「はたらく」っていうことと向き合うきっかけがあって、一方で若者が「夢中になる」ことから疎外されてるって話があったんですけど、若者が夢中になれていないっていうエピソードってありますか?

杉岡:あります!もうものすごくシンプルで、23歳のときにはじめて社会人生活を送らせてもらった時に、そこの会社に受けに来てる学生さんの面接をすることがあって。その子が御社に入りたいです!っていうんですけど、実はSNSでは「マジ働きたくない」って言っていたらしんです。僕にとってはすごくびっくりして。言ってたのと本当は違うんじゃん。って。それを分析すると、生まれてからダメダメダメって言われて育って来たとか、就職活動っていう言葉だけが一人歩きしてしまって自分がどう生きたいんだっけ、というところから逆算して働く場所を探すとか、働く仲間を選ぶとかっていうのが日本の就職活動にはないから、、、って思ったんです。

奥村:なるほど。何やりたいっていう明確な目標があまりないんでしょうか、ひょっとすると。就活ってよくもその場をなんとかしなきゃってところもあるじゃないですか。やっぱりどうしてもそういうマインドの人って多いのかな、とか。

今やられていて「夢中」っていうことでいうと、やりたいことを見つけるっていうのは大きなテーマだったりするんですか?

杉岡:これは時代の流れだと思っていて、今までは明確な目標がなくてもよかった、それが是だったこともあったんですけどそうじゃなくなってきて。その一例がyoutuberだったりします。好きなことをしながら収入につながっていくというのが普通になってきている世の中で、本当に好きなことを見つけられていない人たちがむしろマイノリティになってくる社会にシフトしていくと思うんですよ。エンゲル系数はさがって、人は食べるために働くことをしなくてもよくなり、さらにベーシックインカムのおかげで、生きるための「労働」というところから歴史上はじめて解放される時代が来ているって思うんですよね。

奥村:若者はいま選択肢が自分の好きなものを主における時代がきているかもしれないですが、一方ですでに働いている杉岡さんよりも上の世代かもしれないですけど、もう働いちゃったっていう人もいるじゃないですか。

杉岡:僕は「はたらくと「労働」って別だと思っていて、今までの時代においての「はたらく」っていうのは「労働」だったりしたと思うんですけど、いまの時代の「はたらく」っていうのは、「こころざし」に「こと」って書いて「志事」っていうそういう感じなのかな、と。「労働」は今後はロボティクスに代替されますし、ただそれまでにまだ時間がかかるから、今までの「労働」が存在するんでその部分をやるということ。これはいまいろんな人が結構最近言い始めているから、ベンチャー企業の若い人たちのアイデアをサポートする「労働」というのがあると思います。

もう1つは、はたらくっていうものをもう一回再定義してみませんか、っていうのを言いたい。たとえば、カルビーの会長がライザップの取締役になられたりとか、今までの時代を築いて来た会社で労働して来た人たちが、「はたらく」を求めて新しい若い企業にうつってるっていますよね。僕のまわりでも結構起きているというのをものすごい感じているから。もう動いている大人の方々がいるっていますよね。

奥村:彼らは「夢中」みたいなものの場所を新たに見つけているみたいなことなんですかね?

杉岡:そうですよね。めっちゃかっこいいなーって思いました。

誰だって「夢中」になれる可能性はある。なぜなら「夢中」は連鎖するから。「後天的夢中」になればいい。

奥村:そういう意味で自分で夢中を見つけられる人、熱中できることを作れる人もたぶんいると思いますし、いまおっしゃった経営陣の方々ももともと創造的な人じゃないですか。夢中って、どうやってすでにある人はいいけど、どうやってつくるのか、みたいなことって考えるところありますか?

杉岡:ありますねー。これは若い世代にもまったく同じこと言ってるんですけど、これは40代であろうが60代であろうが一緒だと思ってる原理原則が1つあって、僕はすべては「自己肯定感」から始まると思ってるんです。自分はできると思ってる人には、何歳になろうがチャンスは降ってくるし、そうじゃない人はいつまでたっても蓋が閉まってるから、20代だろうが60代だろうが情報をキャッチすることができないんで、まずは自分はできるって思うことがすごく大事だと思ってます。そうなるといろんな情報が入ってくるんで、俺もまだいろんなことに挑戦していろんな刺激をもらって新しい自分の喜びを探すんだって思えば、絶対にいろんな機会が降ってくると思うんですね。

奥村:たしかに!けど、それって、できる人とできない人がいそうな質っていうか、そういうのあると思うんですけどいかがですか?

杉岡:それでいうと、大前研一さんがよく言っている人が変わるには3つの要素があって、①時間を変える②場所を変える③付き合いを変える、そういう軸が無理やり錆びたネジをまわすというか、そういうのになるんじゃないかな、と思います。

奥村:僕わりと思うんですけど、今の3つでいうと付き合う人に近いのかもしれないんですけど、夢中の人を見ると夢中になるっていう磁力がちょっとだけあるかもな、って思っているんです。それこそアメフトって個人スポーツじゃなくてチームスポーツじゃないですか。だから誰かが一生懸命夢中になってると、夢中につられて夢中になるっていう連鎖ってすごいあるんだろうと思っていて。同じ勝つという目標に向かって、それぞれのプレーヤーが勝ち向かって突き進む。でもやっぱり温度差はあるんですよね。でも、本当に夢中な人にはめちゃくちゃ影響される。夢中が大きい人がいればいるほどチームは強くなるんです。

杉岡:絶対あると思いますねー。結局はまず付き合う人なんじゃないかな、って思いますね。

奥村:勝手に「後天的夢中」って呼んでみたんですけど(笑)いわゆるベンチャーの社長さんとかって「先天的夢中」に近い方で、才能として、生き物としてそうんだんだけど、多くの人は誰かの夢中に影響されるようなこういう「後天的夢中」っていうのがあるのかな、と。夢中って、決して自分の中、個人の中だけじゃなくて、つながっていけばいくほど強くなるんだろうなって。

たとえば杉岡さんは「後天的夢中」とかであの人変わったなぁ、というのをご覧になられたことってあります?

杉岡:めちゃめちゃありますね。これ僕よく例にしますが、人が変わる瞬間、まさに後天的夢中になる瞬間っていうのは、花粉症だと全く同じだと思っていて、一生花粉吸っても全然変わらない人もいれば、60になると急に発病する人もいるし、小学生でもレーザー治療行く子もいるじゃないですか。これってキャパは人によって全然違うはずだから、花粉の絶対量は数値化できることはないと思うんですよ。僕が去年はまった言葉で、「人の可能性は無限大だ」っていうことばがすごくフィットしたんですけど、何歳だって変われるって僕は思っています。

奥村:僕の場合は、それこそオフィスポ自体がそれに近いかもしれなくて、アストークの対談やっててもそうなんですけど、割とマイナー競技の方が多いんですよ。なんでやってるんですか?って聞くとちっちゃいころに夢中になってっていう人が異常に多くて、今もそれが好きが高じてチャンピオンになったりビジネスにしてる。さらにその人たちが教えるってステージに入った時に、それにつられて自分でもできるかも、っていう現象が起こってるのってすごい面白いですよね。

「他己肯定」によって「自己肯定」が生まれ「夢中」になれる。

奥村:一人で夢中になって一人でセルフブランディングしてそれが花開くことってあると思うんですけど、環境しかり、誰かと接した時にその人が花開かせてくれたっていうのが結構あるかと思うんですけど、その周辺環境の大切さってあると思いますか?

杉岡:それが自己固定につながると思うんですよ。自己肯定ってほぼ他己肯定から始まると思っていて、誰かがいいね、っていうものが結局時自分の肯定につながって行くと思うんですよ。まわりの人たちがいいねぇって言い始めるとそれが結果自己肯定につながり、自分の夢中を見つけるっていうサイクルにつながるっていう。

奥村:今っぽいなぁ、と改めて聴いてて思って。自己肯定は他己肯定でいいね、っていうのが、すごく承認欲求の部分なんですかね。SNSの「いいね!」ってまさに他己評価っていうか他己肯定があって、もしかするとそれでこれいけるかもしれない、インスタグラマーとかもそうなんでしょうけど、そっから一気に自分が好きなことをやっていけるっていうのは、いまの時代感ってまさにこういうことですよね。

杉岡:まさにエンゲル系数の話じゃないけすけど、今の時代、マズローでいうところの下の3つの欲求を軸に動いている日本人って数えるほどしかいないと思っていて、たぶんみんな自己実現の手前の承認欲求のところで人は行動している。それを満たした人から自己実現に走り、これを見た人たちが超越欲求で、美への欲求、人に教えたい欲求、社会に貢献したい、っていう3つの欲求に目覚めるっていうような。ほとんどいまの人たちが承認欲求を軸に動いている社会になったんだなぁ、と思います。

「夢中」が「夢中」を呼ぶ。そういう連鎖を作ることが大切。

奥村:夢中を通じて得られるものってなんだと思いますか?

杉岡:社会の仕組み自体が変わって来てるので、割と早めに夢中に出会えたことで社会の仕組みにうまく使えたというのが僕の成功体験としてあると思っています。具体的な話をすると、僕のウィルが明確にあると、それに憧れるとか、そうそうそれ、みたいな言語化できなかった人が、僕のおかげで言語化できた人たちは少なくともフォロワーになってくれるから、彼も僕のことばを借りて話すようになってコミュニティになっていく。

奥村:さっきの話で連鎖みたいな話しましたけど、自分が夢中になると絶対に誰か助けてくれたりとか、そこで夢中を応援してくれたりとか、それによって仲間ができて。僕は自分が夢中になるっていう目線じゃなくて、その夢中っていう空間でありベクトルをみんなで共有してる状態って、一番強い夢中なんだろうな、って思うんですよね。

杉岡:まさにそういう感じですね。あとこれはいままさに体感してるんですけど、アップデートされるなっていうのを感じていて、ひとつのことをつきつめていけばいくほど機会もまた集まりやすいというか、人と出会う機会とか、挑戦する機会とかいろんな機会あるんですけど、その機会を手にしていけば、また新しい次の夢中になれるものに出会える、洗練されることもあれば、違場所で見つけることもあれば、そういう機会にもすごく恵まれ始めて来たから、それもありますね。

奥村:これってちっちゃものでもいいんですよね。どうしても僕らも仕事してたりとかすると、サラリーマンってストレスかかえたりとか、隣のやつはすごい元気なんだけどなんかやる気おこんねやーって言ってる人たちがいて、でもなんかそういう人たちがどうやったらポジティブになるのかなと思った時に、本当にちっちゃなことからきっかけつくれることの、きっかけがこの夢中なんでしょうね。たぶんね。

杉岡:さらにいうと、収入にもつながって言ってる、というのも言えるじゃないですかね。多分基本そうなんじゃないですかね、経営者って。新しい世代のは。僕の場合はそれが収入につながってます。

奥村:大事ですよね。だから評価されているってことも自分で認識できちゃうっていう。

最後に、読者の方へのメッセージを二人からいただいた。

杉岡:歳をとれば、自分も感じるんだけど、自分に素直になるって難しくなってくると思うんですよ。それはゼロ歳から生まれたとことから就活するまでにノー、ノー言われて殻を被ってしまうっていうのと同じ原理なんですけど、きっと社会のプレッシャーとか家庭のプレッシャーとかでやりたくないことの連続の中で、いつか忘れてしまうみたいな。それっていつでも外せるから。リフレッシュ機会がもしあるのであれば、この記事を見たタイミングじゃなくてもいいからリフレッシュをするをタイミングでそういや俺一体何やりたいんだっけ、っていう一つ対話する機会をつくれれば、そこからいつでも人生って変わるって僕は思ってるんです。

奥村:何かをやりたい、そう思った時、まずは行動してみることが大切だと思います。そしてそれをオープンにすること。いろんな人に話すことで、結果的に自分が行動を起こさなければならくなる。そうしているうちに仲間が増えて大きくなっていく。そういった、自分が好きなことを雪だるまのように大きくしていくことが、やりがいや成長を感じるんだと思います。人の夢中に触れて、そして自分の夢中を人に触れてもらって、そうすればよりより連鎖をつくっていけると思います。

撮影協力:
レストラン「倭」WA
住所:東京都港区西麻布4-10-1 ラポート西麻布B1F
営業時間:18:00〜23:00(L.O 22:30)
https://mil-inc.com/restaurants/wa