勝てば慶大の完全優勝が決まる。そんな白熱が期待された試合に昨日同様大勢の観客が灼熱の太陽が降り注ぐ神宮に足を運んだ。しかし、試合展開は期待通りとはいかなかった。3回、慶大は本塁打と暴投で3点を失う。5回にも2本の適時打で2点、7回には適時打…

勝てば慶大の完全優勝が決まる。そんな白熱が期待された試合に昨日同様大勢の観客が灼熱の太陽が降り注ぐ神宮に足を運んだ。しかし、試合展開は期待通りとはいかなかった。3回、慶大は本塁打と暴投で3点を失う。5回にも2本の適時打で2点、7回には適時打と2点本塁打で計9点と早大の勢いを止められずに大量失点を許す。一方打線も2日連続先発の小島の前に沈黙。終わってみれば早大の完封リレーが成立し9対0と不甲斐ない結果となった。

初回、早稲田の先発のマウンドに上がったのは昨日の試合で8回136球の完投をした主将の小島だ。幸先よく先制点を取りたい慶大は2番河合大樹(総4・関西学院)の中安打、郡司裕也(環3・仙台育英)の右安打で2死一、三塁のチャンスを作る。しかし、続く正木智也(政1・慶應)はフルカウントから124キロの変化球に手が出ず、見逃し三振。小島を前にして初回から先制することは出来なかった。
2安打と今日も結果を残した河合

その裏、慶大の先発のマウンドに上がったのは菊地恭志郎(政4・慶應志木)。池田、檜村を二ゴロ。福岡からは空三振を奪うなど、上々の立ち上がりを見せる。

2回表、6番内田蓮(総4・三重)が右安打、続く嶋田翔(環2・樹徳)が死球で出塁し無死一、二塁のチャンスを作るも、初回と同様、小島に粘り負けを喫し、この回も無得点に終わる。一方その裏、菊地も先制点は許すまじと、2つの三振を奪う。

3回表、柳町達(商3・慶應)がセンターへ二塁打を放ち、その後2死3塁となり正木が打席に立つ。レフトへ大きな当たりを放ち、球場がざわめいた。しかし、打球はフェンスを越えず、左翼手が捕球。得点には結びつかなかった。

その裏、7番吉澤の打球は直前の正木の打球と同じようにレフトに大きく上がった。だが、ボールが着地したのは慶大の応援席。先制となる今季3号のソロ本塁打を許してしまう。さらに、菊地は振り逃げのランナーを許しすと1死三塁のピンチを背負う。ここでこの回2つ目の暴投をし、2点目を許してしまう。菊地は檜村の打席間にも再び暴投をするなど、2回までと打って変わって不安定に。檜村を空三振に抑えて、お役御免となった。代わってマウンドに上がったのは依然無失点を続けている髙橋佑樹(環3・川越東)。4番加藤をセカンドへの緩い当たりに打ち取るも、結果は内野安打となり2死満塁にピンチを広げてしまう。岸本の打席、1ボールからの2球目。暴投で3点目のホームを踏ませてしまう。1イニングに4暴投という慶大らしくないミスが多発し、先に3点を献上した。

すぐにでも逆転をしたい慶大は2死から瀬戸西純(政2・慶應)の二塁打、代打長谷川晴哉(政4・八代)の四球でチャンスを作るも、続く小原は左飛に倒れる。ここまで毎回得点圏にランナーを進めながら、なかなか得点に結びつかない、王者慶大らしくない攻撃が続く。

次に試合が動いたのは5回裏。前の回からマウンドに上がった田中裕貴(環4・芝)は2死を奪うも、檜村に四球を許すと、福岡の打球はセンターへ。ここで風のいたずらか柳町が目測を誤り適時二塁打となってしまう。岸本にもレフトに適時打を放たれ、差を5点にまで広げられた。

7回表、先頭の小原和樹(環3・盛岡三)が中安打を放ち出塁。続く河合の打席間に二塁へ進むも、河合の打球は投手小島の前に転がり、塁を飛び出していた小原がタッチアウトとなり、チャンスを無駄にしてしまう。4番郡司も2死一塁からライト前に安打を放つも、一塁ランナーの河合が三塁タッチアウトとなり、無得点に終わる。小島はこの回で降板。昨日と合わせて261球を投じながらも今日は慶大にホーム生還を許さなかった。

9回を三者凡退で抑えた石井

その裏、試合を決定づける一打が飛び出す。前の回から登板していた関根智輝(環2・城東)が2死一、二塁の場面から岸本に2点適時打、続く小太刀には自身リーグ戦初となる本塁打が飛び出し、さらに2点を失い、0-9となった。8回まで毎回ヒットでランナーを出した慶大だったが、9回にはついに塁にすら出られず、大敗を喫した。

バント失敗、先制点の献上という課題をこの試合でも解決できなかった。そしてバッテリーエラー、外野のエラー、走塁ミス、ミスショット。ここまでの慶大からは考えられないほどミスが連発し、作り出したチャンスもことごとく潰し残塁は12。まさに「屈辱」(大久保監督)という試合だった。3回戦はこれらの課題にしっかり向き合い、立て直していかなければならない。

それでも信じている。立大戦では相手エースに完璧に抑えられながら、2日後の対戦ではきっちり借りを返した。明大戦では胴上げを阻止されながらも、翌日は死闘を勝ちきる強さを見せた。早大から勝ち点を奪取出来れば、完全優勝が実現し胸を張って三田キャンパスへの優勝パレードへと臨める。王者慶大、今日の大敗の屈辱を見事晴らし、明日こそは若き血を神宮に鳴り響かせる。タダでは転ばない、慶大ナインの意地に今一度期待しようではないか。
(記事:小林歩 写真:尾崎崚登)