納得いかないのは、後半に先手をとられたことぐらいか。
 12トライを奪い80-12。
 6月3日におこなわれた関東大学春季大会(Aグループ)で、紫紺のジャージーが大東大を圧倒した。
 明大は、この日の勝利で今季の春季大会で4戦全勝。優勝を決めた。
 同大会が公式戦として始まって以来、過去6年は帝京大がすべて全勝優勝を果たしてきた。その歴史を変えた。

 故・北島忠治氏(元監督)を偲んで毎年開催される『北島祭』がおこなわれたこの日。八幡山には同イベントに招かれたラグビースクールの子どもたちや、明治ラグビーを愛するファンが大勢いた。
 その前で披露されたトライショー。口火を切ったのはCTB渡邉弐貴(そうき)だ。前半5分、全員で前に出続けて相手の反則を何度か誘い、最後に背番号12がインゴールに入った。
 明大は直後の大東大の攻撃を粘り強いディフェンスでしのいだ後、いっきに勢いを増した。15分にキックパスを受けたWTB山村知也がトライを奪うと、前半だけで7トライ(47-0)。後半も最後まで攻め続ける大勝だった。

 この日のテーマは、アタックもディフェンスもゲインラインバトルで勝つこと。田中澄憲監督は、前週の招待試合で天理大に17-24と敗れて出た修正点にフォーカスを当てて、この試合の準備を進めた。
「前に出てくるディフェンスの圧力を受けてうしろでプレーするのではなく、攻守とも前に出てゲインラインでのバトルに勝つ。シンプルにいこう、と」
 そこをやり切れたからこその大量得点だった。

 大東大は留学生を欠いていたが、勝者は自分たちのやるべきことに集中し続けた。
「メンバー表を見て、留学生たちがいなくてラッキーと思うのではなく、自分たちにフォーカスして、こだわる部分をやり切れるかが重要でした。それはやれていたと思います」
 指揮官は、学生たちの意識が高くなっていることを感じている。
 しかし、目指しているものは、もっと高いところにある。「ここからが大事。スキル、理解力は上がっているが、本当の勝負になると、理屈じゃないところが重要になる。4年生の力、さらなる結束を期待します」と気を引き締めた。

 SH福田健太主将も、春タイトルの獲得に「自分たちがやって来たことは間違いじゃなかった。それをチームで確認できた」と笑顔を見せる一方で、今季のチームスローガンである『Exceed』(超える)を実現するには、まだまだ足りないと言った。
 昨年のチームを超える。
 すなわち、大学の頂点に立つには、頂上決戦までの過程でも先輩たちを超える必要があるのだ。

 キャプテンは、「負けた天理戦では、相手のディフェンスに対してボールを下げてしまったので、そこを改善しました。ディフェンスでもセカンドマンを意識して、きょうは評価できる内容だったと思います」と言いつつも、「後半にミスが出てシャットアウトできなかったのは反省」と厳しい視線を自分たちに向けた。
 そして続けた。
「(ミーティングなどで)以前はリーダーグループの選手たちが中心になって話していましたが、だいぶ、いろんな人からも発言が出るようになってきました。でも、もっともっと一人ひとりが主体性を持ってやっていかないといけない」
 春の充実をもっと高めて日本一へ。夏と秋の日常をさらに濃くする覚悟はできている。