5月19日に香港でストーマーズから劇的な逆転勝利を飾った後、6月の日本代表戦に選ばれたメンバーの大半が合宿のために離脱したサンウルブズ。 ジェイミー・ジョセフHCも代表チームの準備を進めるためにオーストラリア遠征には帯同せず、5月25日に…

 5月19日に香港でストーマーズから劇的な逆転勝利を飾った後、6月の日本代表戦に選ばれたメンバーの大半が合宿のために離脱したサンウルブズ。
 ジェイミー・ジョセフHCも代表チームの準備を進めるためにオーストラリア遠征には帯同せず、5月25日におこなわれたレベルズ戦では、トニー・ブラウンアシスタントコーチがHC代行を務めた。

「この試合に向けていい準備ができたし、日本代表選手が欠場する前提でやってきたので、今回の遠征チームでも自信を持ってレベルズに立ち向かえる」
 前日練習後のブラウンHC代行はそう語っていた。しかし、大幅なメンバー変更に加え、酷暑の香港での接戦をものにしてからメルボルンに移動して中5日のゲームは、さすがに厳しかったようだ。

 前半2分、右サイドから攻め上がったWTBレメキ ロマノ ラヴァが先制トライを決め、2連勝の勢いを持続しているかに見えたが、サンウルブズの見せ場はここまでだった。
 直後の前半6分、レベルズがWTBマリカ・コロインベテがトライ(ゴール)を決めて同点にすると、あとはレベルズに終始圧倒された。

 この日ゲーム主将を務めたPRクレイグ・ミラーは、「相手の勢いがすごく、我々よりいいプレーをしていた。立て直しも難しく、多くのボールの取りこぼした」と振り返った。相手のフィジカルなプレーに畳み込まれてしまった格好だ。
 最終的には6トライを献上して13―40で大敗。「レベルズは終始、ビッグボールキャリアーを使って勢いをつけ、我々にプレッシャーを与えていた。彼らを止めるのに苦心していた。今週は良い準備をしてきたと思ったが、今夜はレベルズが良すぎたと思う」とブラウンHC代行もレベルズを褒め称えるしかなかった。

 結果からすれば、3月の試合と同様にレベルズに一蹴され、2連勝の後の試合としては寂しい内容だった。しかし、日本代表メンバーに名を連ねるも、故障などで戦列から離れていた選手たちにとっては良い実戦の機会となった。

 今季SR初出場のLO真壁伸弥は、先発出場して後半7分までプレーした。
 真壁は「久しぶりの試合で、やはり全然自分のレベルが足りなかったというか、しっかりとやらないかんなと思いました。全然向こうのモーメンタムに対してしっかりとシャットダウンすることができなかった。自分がチームの勢いを作るポジションにいながらもそれができなかった。非常に悔しい」と反省したが、この試合が日本代表戦へのモチベーションアップにもつながったようだ。
「サンウルブズと日本代表は結構リンクしているので、しっかりとこの自分の役割をやっていきたいと思います。2試合(イタリア、ジョージア)とも経験はあるので、どれだけ強いかっていうのはわかっている。しっかり準備していきたい」

 左膝の負傷から復帰したPR稲垣啓太は、後半21分から途中出場した。
 自身の古巣でもあるレベルズとの戦いとあり、いつも以上の思いで試合に臨んだ。
「個人的にはいい形を残して、成長した姿を見せたかったが、今日は相手の勢いの方がやはり上回った。感じは悪くないですけど、まぁもうちょっと試合したかったかなというのはある」
 稲垣は、次戦の地キャンベラには行かず、メルボルンから一人帰国して代表合宿に加わった。

「もちろん試合は負けてしまいましたし、みんな残念に思っていますけど、僕はプレーできてよかったと思います」
 そう話したのは、左膝の負傷から2か月ぶりに戦列復帰したSO立川理道だ。
 次戦は、自身もかつて(2014年)に所属したこともあるブランビーズが相手とあり、試合への意欲が非常に掻き立てられているようだ。
「僕が行くということで、お世話になった人達も観に来てくれるということを聞いている。その人達にもしっかりとした成長した姿を見せたいと思う。次もしっかりプレーして、この強度の高いレベルでの戦いで試合勘を戻して、代表に合流したいと思います」
 そう抱負を述べていた。

 一方、レベルズ所属で日本代表NO.8のアマナキ・レレィ・マフィは、この試合にフル出場。前半21分にトライをあげ、チームの勝利に貢献した。
 この日は敵将だったブラウンHC代行も「負傷せずに代表チームに合流し、(初戦の)イタリア戦でも同じように日本代表チームにインパクトを与えて欲しい」とマフィに期待を寄せた。マフィ自身も「両チーム(イタリア、ジョージア)ともセットピースがいい。もちろん勝つチャンスもあると思う」と述べ、代表戦を心待ちにしているようだった。

サンウルブズは6月3日(現地時間午後4時5分にキックオフ)、第15節ブランビーズ戦をキャンベラのGIOスタジアムで迎える。(文/モナハン裕子)