ラグビー日本代表は6月、欧州のイタリア代表とジョージア代表を迎え、国内でテストマッチ3連戦(9日・大分、16日・神戸=イタリア、23日・豊田=ジョージア)を行なう。来年のラグビーワールドカップ(RWC)まで1年半を切った。この3試合で初の「8強入り」を狙う日本代表の強化方針の進み具合と”現在地”を確認することになる。



メンバー発表するジェイミー・ジョセフヘッドコ―チ

 このほど、同シリーズに臨むメンバー33人が発表された。主将のフランカー、リーチ マイケルほか、フッカー堀江翔太、フルバック松島幸太朗ら30人が「スーパーラグビー」に参戦中のサンウルブズのメンバーである。サンウルブズは9連敗の後、2連勝(現在は通算2勝10敗)と上昇気流に乗っており、代表もテストマッチ3戦3勝を目指す。

【日本代表メンバー】
PR  浅原拓真(東芝)
   石原慎太郎(サントリー)
   稲垣啓太(パナソニック)
   具 智元(ホンダ)
   須藤元樹(サントリー)
HO  坂手淳史(パナソニック)
   庭井祐輔(キヤノン)
   堀江翔太(パナソニック)
LO  アニセ サムエラ(キヤノン)
   ヴィンピー・ファンデルヴァルト(NTTドコモ)
   ヘル ウヴェ(ヤマハ)
   真壁伸弥(サントリー)
FL  徳永祥尭(東芝)
   西川征克(サントリー)
   アマナキ・レレイ・マフィ(NTTコミュニケーションズ)
  ◎リーチ マイケル(東芝)
No.8 布巻峻介(パナソニック)
   姫野和樹(トヨタ自動車)
SH  内田啓介(パナソニック)
   田中史朗(パナソニック)
   流 大(サントリー)
SO  田村 優(キヤノン)
   松田力也(パナソニック)
WTB シオネ・テアウパ(クボタ)
   福岡堅樹(パナソニック)
   山田章仁(パナソニック)
   レメキ ロマノ ラヴァ(ホンダ)
CTB 立川理道(クボタ)
   ウィリアム・トゥポウ(コカ・コーラ)
   中村亮土(サントリー)
   ラファエレ ティモシー(コカ・コーラ)
FB  野口竜司(パナソニック)
   松島幸太朗(サントリー)
※◎はキャプテン 

 世界ランキングをみると、日本の11位に対し、イタリアが14位、ジョージアは12位と僅かながら、対戦相手は下にランクされている。ホームでの戦いでもあり、日本は勝たなければならない。ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ(HC)は、サンウルブズでの戦いを通し、「選手たちには自信が生まれてきた」と言い切る。

「相手はタフなチームで、我々にとっては大きなチャレンジになる。日本代表の戦術や戦略、選手それぞれの役割すべてを計画通りに成し遂げることが勝利につながる」

 イタリア代表は2016年から指揮をとるアイルランド出身のコナー・オシェイ監督のもと、初めて南アフリカ代表を破るなど、成長を遂げている。ジョージア代表と同じで、伝統的にスクラムが滅法強い。日本としても、セットプレー(ラインアウト&スクラム)、とくにスクラムが安定しなければ、自分たちのやりたいことができなくなる。

 振り返れば、前回RWCの1年半前の2014年6月、エディー・ジョーンズHC率いる日本代表がイタリア代表を初めて破って、テストマッチ10連勝を遂げた。その原動力は攻守の基盤のスクラムの進化にあった。

 ジョセフHCも「イタリアもジョージアもセットピース型のチームと分析している」と説明した。

「とくにスクラムは、我々のチームの中で、非常に重要で、かつ必要不可欠な部分になります。(今回のテストマッチで)世界のトップクラスのスクラム、あるいはフロントローとの対決を思い切り、体験してほしい」

 日本代表のフロントロー陣はプロップ5人、フッカー3人の計8人が選考された。

 前回のRWC出場のプロップ稲垣啓太、フッカー堀江翔太の力は安定している。スクラムでの”引き出し”も増えた、つまり対応力が高まった。

 左プロップの浅原拓真は30歳、サンウルブズ3年目でいろんなタイプのプロップと対峙してきた。同じ左プロップの石原慎太郎は27歳、フィールドプレーの良さには定評がある。

 右プロップのホープ、23歳の具智元(グ・ジウォン)は183cm、122kgと世界規格で、コア(体幹)、背筋力も強い。スクラムでの相手の揺さぶりに対抗できれば、もっと強くなる。同じく右プロップの須藤元樹も24歳と若い。173cm、110kgのプロップ然とした四角い体躯。顔つきもいい。サンウルブズでは出場していないが、サントリーでは先輩の畠山健介を押しのけ、レギュラーを張っている。イチ押しの成長株である。

 フッカーの24歳の坂手淳史は堀江の後継者としてメキメキ力をつけてきた。バックス出身。器用なタイプでよく走る。相手の死角から入る猛タックルも持ち味である。フッカー庭井祐輔は職人肌でスクラムワークに長(た)ける。ラインアウトのスローイングもうまい。

 日本のスクラムといえば、長谷川慎スクラムコーチのキメ細かい指導による、「8人一体」の結束重視であろう。イタリア、ジョージアは個々がパワフルで、前後、上下、左右に揺さぶってくる。これに対し、日本は足の位置の運びや肩、腕の位置、低い姿勢、ヒット、プッシュのタイミングなど、FW8人の細かい連係で対抗したいところだ。

 もちろん、フロントロー陣以外にも注目すべき選手はたくさんいる。大躍進の23歳、ナンバー8の姫野和樹、迫力を増したロック真壁伸弥、スーパーラグビーのレベルズで活躍のアマナキ・レレイ・マフィ、”ジャッカルの鬼”の布巻峻介……。

 初選出の31歳、フランカーの西川征克も忘れてはならない。ワークレートが高く、タックルは激しくしつこい、アタックもセンスに満ちている。次代の代表を目指すナショナル・デベロップメント・スコッド(NDS)のニュージーランド遠征で大活躍した。

 バックスは、ポジションとしては、スタンドオフ(SO)に注目したい。サンウルブズでキッカーを務めるヘイデン・パーカーはいない。田村優は現在48キャップ、このシリーズ中に50キャップの節目を迎えそうだ。キック、ランを絡め、どう相手ディフェンスを崩しながら攻め切るのか。

 またNDSのニュージーランド遠征で活躍した24歳のSO松田力也のほか、26歳のセンター中村亮土(りょうと)、チーム最年少の22歳、フルバック野口竜司も加わった。

 日本代表は5月27日、テストマッチに備え、宮崎で合宿に入った。ジョセフHCはテーマとして、アンストラクチャー(陣形が整っていない状況)ゲームの再確認ほか、セットピースでのディフェンス、スキルのブラッシュアップなどを挙げていた。

 日本代表は今後、テストマッチを重ねる中で、来年のRWCメンバーを固めていく。チームの強化と同時に、選手個々のアピール、およびサバイバルレースが激化していくことになる。 

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