オーストラリアラグビー協会は5月24日、同国代表選手でスーパーラグビーのクイーンズランド・レッズに所属するPRジェームズ・スリッパーが同協会の薬物規定に違反したとして、2か月間の出場停止処分および2万7500ドル(約230万円)の罰金を科したことを発表した。スリッパーはことし2月と5月におこなわれた尿検査で2回ともコカインに陽性反応を示した。同協会の規定により、1度目の陽性反応については非公開となったものの、今月初めにおこなわれた2度目の検査結果も陽性だったことを受け、スリッパーに強制処分が下された。

 同協会のレイリーン・キャッスルCEOは同日におこなった記者会見で、「今日、我々のチームで最も経験のある代表選手のひとりが、コカインに2度も陽性反応を示したことをお知らせすることになり非常に失望している。我々は、ジェームズが非常に大きな個人的な問題を抱えていることを認識しており、この件について、2月から彼とともに改善を試みてきた。ジェームズが、専門スタッフによる治療も含め、十分な支援を受けられるようにしていく」と語った。

 当のスリッパーは、同協会の記者会見後にツイッターを通じて声明を出し、1年ほど鬱に悩まされ、ここ数か月は専門家からの支援を受けていたことを公表。自身の状況を言い訳にしてはならないと前置きした上で、「自分がこれらの問題に対処できていなかったこと、また、適切に取り組んでいくことが必要であると今は理解している。自分が取った行動にはきちんと責任を取り、家族、クイーンズランド州ラグビー協会、オーストラリアラグビー協会、チームメイト、コーチ、そしてすべてのラグビーサポーターたちに素直に謝罪したい」と続けた。

 今季レッズの主将を務めるFLスコット・ヒギンボッサムも25日に応じた会見で、「残念に思う。友だちとして、彼がラグビー以外のところで経験していたことは見たくないようなものだった。とても親しい間柄であるなら、彼がすべてを語ってくれるものと思うが、彼はあまり話したがらず、自分の内に留めてしまうタイプだったとあり、我々もまったく気づかなかった」と説明。
 今季残りの試合への出場は絶望的になったほか、今季終わりにレッズとの契約が切れるスリッパーが事実上の引退に追い込まれる可能性が取り沙汰されていることについては、「彼は第一にフィールド外での問題を解決し、正しい精神状況に戻さなければならない。それが終わって準備ができたら、またプレーできるようになる」と励ましの言葉をかけた。

 スリッパーはオーストラリア代表86キャップを誇り、2011年と2015年のワールドカップにも出場。2014年にオーストラリアラグビー選手協会(RUPA)のエクセレンス・メダル(Medal for Excellence)を受賞し、2015年のアメリカ戦では主将を務めた。所属先のレッズでも2015~17年度と3季にわたって主将としてチームを引っ張り、仲間からの信望も厚かった。2017年はアキレス腱の負傷などで故障続きだったが、戦列に復帰した今シーズンは、自身3度目となる来年のワールドカップ出場を視野に入れ、11試合中9試合でプレー。3月25日のストーマーズ戦でレッズ100キャップを記録したほか、今月12日におこなわれたサンウルブズ戦でも先発出場して後半16分までプレーした。
(文:モナハン裕子)