南アフリカの最高裁は、ダブルスでグランドスラムのすべてで優勝している元トッププレーヤーのボブ・ヒューイット(南アフリカ)の上訴を退け、数十年前に指導した若い女性たちに対する強姦、婦女暴行を行ったかどで6年の懲役を課す判決を下した。&nb…

 南アフリカの最高裁は、ダブルスでグランドスラムのすべてで優勝している元トッププレーヤーのボブ・ヒューイット(南アフリカ)の上訴を退け、数十年前に指導した若い女性たちに対する強姦、婦女暴行を行ったかどで6年の懲役を課す判決を下した。  最高裁の3人の判事からなる陪審団は書類に記された判決書の中で、裁判の終わりにヒューイットに課せられた懲役は適切なものであり、犯した犯罪に相応しいものだ、と言った。  76歳のヒューイットは、昨年有罪判決が下されていた。

 最高裁の裁判官たちは、彼が「下劣な行為について、何の自責の念も見せていない」と言っている。  ヒューイットは1980年代と90年代に2人の少女を強姦し、3人目の少女に性的暴行を加えたかどで有罪とされた。被害者は暴行が行われた当初、まだ未成年だった。今や成熟した女性となった彼女たちは、正義がなされるのを目にするのに20年以上も待たなければならなかった。  「ヒューイットは原告たちの無垢さと若さにつけ込み、彼女たちに彼の不道徳な欲望への服従を強いた。彼は彼女たちに対し、責任と権威を持つ自分の立場を悪用した」と判事は書いている。  オーストラリア生まれのヒューイットは男子ダブルスとミックスダブルスで「15」のグランドスラム・タイトルを獲り、ときにはビリー ジーン・キングやアーサー・アッシュ(ともにアメリカ)のような偉人たちとプレーしていた。彼はまた、南アフリカの市民権を取得し、移住したあとの1974年、同国代表としてデビスカップ優勝を遂げている。  有罪判決後、ヒューイットは南アフリカ南部にある自分の農場に自宅監禁という形で留められていた。検察官側のスポークスマンであるルブヨ・ムファクは、ヒューイットは牢獄への出頭前に48時間のみを擁している、と言った。

 「ヒューイットの上訴は認められず、6年間を監獄内で過ごすことになる」。

 『アイウィットネス・ニュース』は、虐待を受ける婦女子の保護団体の一員であるミタンダ・フリードマンの、「これは、虐待や暴行を受けてきた世界中の子供たち、そのような過去を持ち、いま大人として名乗り出て行動を起こした者たちにとっての、とてつもなく大きな勝利である」という言葉を引用した。  彼の年齢と思わしくない健康状態を理由に、ヒューイットの弁護士は自宅監禁という形がより適切な判決であると主張していた。ヒューイットはまた、レイプ(強姦)は乱暴なものではなく、被害者が苦情、苦痛を訴えた場合には暴行をやめていた、と主張していた。  アメリカに本拠地を置く国際テニスの殿堂は、今年、ヒューイットをメンバーから追放していた。

 現在アメリカでも、少なくとももうひとりの女性が何年も前にヒューイットが自分のコーチだった際に婦女暴行を受けたとし、彼を糾弾している。(C)AP