日本代表として初のゲーム主将を務めることとなった立川理道は、現地時間の6月10日、バンクーバーのBCプレイススタジアム…

 日本代表として初のゲーム主将を務めることとなった立川理道は、現地時間の6月10日、バンクーバーのBCプレイススタジアムで「あまりプレッシャーを感じず、チームをリードしていきたい」と決意。翌日には同会場でカナダ代表とのテストマッチ(国際間の真剣勝負)をおこなう。

 3勝を挙げた昨秋のワールドカップでも全試合に先発し、攻防線上での強さと正確なパス技術で魅せた26歳。「皆の力が発揮できるようにしたい」。今季は国際リーグのスーパーラグビーに日本から初参戦するサンウルブズにも在籍し、2試合、ゲーム主将を務めている。

 登録メンバー23名中13人を占めるサンウルブズのメンバーに、他の海外チームにいた代表常連組や国内のみでプレーしてきた若手がいかに交わるか。4日に集合して以来、そのお題を果たすべく、「練習を途中で止めてでも、わからないことを聞けるような雰囲気を作る」と意識してきた。

 10日、冒頭の公開されたセッションでは、ラインアウトを起点とした攻めの連携や位置取りを確認していた。イングランドのプレミアシップでプレーした30歳の畠山健介が、合間、合間に徹底すべき身体の姿勢に関する掛け声をあげた。立川は「ベテランの人たちがリードしてくれている」ことに感謝していた。

 この日の練習後、初代表で帝京大4年の松田力也が、31歳の田中史朗や29歳の小野晃征ら、ワールドカップ出場者と語らいながら帰路についた。

 スーパーラグビーのレベルズから招集された23歳の松島幸太朗は、「(グラウンド内外を問わず)コミュニケーションを取って来た」。松田がテレビの取材を受けている折は、カメラの後ろから本人に視線を送るなどして緊張をほぐしていた。かねて希望していたFBでの先発が叶い、「ジャージィをもらえることは自分にとって誇り。プライドを持ってやる。ヘタなプレーはしない」と続ける。

 立川と同じくサンウルブズ勢でワールドカップ組の稲垣啓太も、「雰囲気、いいんじゃないですか。最初は戸惑いに近いものはありましたが、経験者が締めるところを締めていて」と話す。お互いの呼吸のすり合わせが不可欠なスクラムやラインアウトを支える、左PRの位置で先発する26歳。今回のチーム力醸成のためのやりとりを、「バラバラだったチームが試合をして起こりそうなことを皆で順に挙げていって、そうならないように…と意見を言ってきたりもした」と述懐した。短い準備期間で臨むアウェーゲームを、無形の力を含めた個々の資質で乗り越えたい。(文:向 風見也)