明大の児玉樹が、大学ラグビーデビューを果たす。

 昨季は秋田工業高の主将だった身長192センチ、体重101キロの大型CTBは、5月13日、静岡・草薙総合運動公園球技場で新天地での初陣を飾った。関東大学春季大会・Aグループの流経大戦に後半開始から出て、61-14で勝った。

 今年の高校日本代表として19歳以下(U19)アイルランド代表を敵地で破った大器は、この試合を終えた3日後にはまたも離日。U20日本代表の一員として、フランスでのワールドラグビーU20チャンピオンシップに挑む。

「それ(離脱前最後の実戦という側面)もあるのですが、まずはデビュー戦であるこの試合に強い思いを持って臨みました。あとのことは考えず、この試合でできることをやり切ろうという感じでした」

 後半2分、ハーフ線付近左のラインアウトからの攻めでおとり役を全う。後方の選手に走りやすいコースを与え、追加点を演出した。球をもらえば思い切りよく突進。防御へ挑んだ。

「最初は緊張していましたが、自分の強みを出そうとしました」と語る本人は、雨に降られるなか持ち味を発揮した。

「(大学レベルで)ボールキャリー(ボールを持って走るプレー)ができたのは、自分のなかで収穫でした。コンディションも悪かったので、後ろへ下げるよりもフラット(ゴールラインと並行な角度)でパスをもらった方が前に出られるし、チームにも貢献できる。そこは意識しました」

 田中澄憲新監督がこの時期の流経大戦で児玉を出したのは、春のうちに部内で児玉をプレーさせられる機会が限られていたからだ。「U20で6月までここにいないので」。見られるうちに見たいという起用理由は、期待の表れでもあろう。試合後に一連のプレーを振り返った指揮官は、今後への期待を口にした。

「ボールキャリアとしての迫力は感じました。ただ、まだ1年目。これからじゃないですかね」

 これから田中監督は、国産大型BKの育成というタスクに挑む。こちらの意気込みも心強い。

「彼の強みはボールキャリア。まずはそれを活かしたいと思います。逆に課題はスキル。急にうまくなるわけじゃないですが、彼のスキルが伸びるような練習をしていく。ここで(自軍の計画した練習を)やっていれば、そこも伸びてくると思います」

 大器を待ち受けるのは、実力者との定位置争いだ。明大のCTB陣には、同じU20日本代表で1年目の昨季から出番を得た森勇登、今季の春季大会で2戦連続先発中という4年の渡邉弐貴ら名手が揃う。体格に恵まれた児玉とて簡単に出番を得られるとは限らないが、当の本人は今季の目標を「ただ1試合レギュラーとして出るのではなく、ずっと出続ける」とする。

 もちろんU20日本代表の活動へも意欲的だ。「強い国とやれる機会。思い切りやって、自分の成長につながれば」。5月30日から6月17日まで続くU20チャンピオンシップでは、ニュージーランド、オーストラリア、ウェールズという強豪の世代代表とぶつかる。

 同代表の遠藤哲ヘッドコーチは、今回選出した4人の1年生について「将来性も考えましたが、無理矢理入れたわけでは決してない」と断言する。速さ、低さ、プレーの質といった選考基準をパスしたメンバーの1人に、児玉がいる。国の威信をかけた戦いと古豪復活をかけたシーズン。その両方に視線を向ける。(文:向 風見也)