キャプテンを任せる。 世界との戦いへ旅立つ前日に告げられた。「驚きました。でも、リーダーになれる選手がたくさんいる中で選んでもらって嬉しかった」 5月30日のU20ニュージーランド戦から始まる『ワールドラグビーU20チャンピオンシップ』。…

 キャプテンを任せる。
 世界との戦いへ旅立つ前日に告げられた。
「驚きました。でも、リーダーになれる選手がたくさんいる中で選んでもらって嬉しかった」

 5月30日のU20ニュージーランド戦から始まる『ワールドラグビーU20チャンピオンシップ』。同大会に挑むU20日本代表の主将をFL岡山仙治(おかやま・ひさのぶ/天理大3年)が務めることになった。
 チームは5月16日にアイルランドに向かい、同地でトレーニングと練習試合(対U20アイルランド代表)をおこない、決戦の地であるフランスへ。ニュージーランド、オーストラリア、ウエールズとプールマッチ(A組)を戦う。

 遠藤哲ヘッドコーチ(以下、HC)に呼ばれ、キャプテンの指名を受けたのは、夕方に遠征前会見がおこなわれる5月15日、全体ミーティングの前だった。
 指名直後、主将は仲間の前で話した。
「話すことが苦手で、慣れないこともあるけど助けてほしいと言いました。そのかわり、プレーで見せていくから、と」
 HCは、チームが目指す、素早く、低く、緻密なラグビーを体現してくれる一番の選手だから、と言った。
「体と姿勢で引っ張ってくれる。簡単なチャレンジではないので、困難な中でも、立って、前を向いて進んでくれると思う」
 信頼は大きい。

 168センチちょっとの身長で89キロ。小さな体躯も、自分のスタイルを持っているから大男相手に戦える。
 自身の性格を負けず嫌いと分析する。「それがあるから戦えている」と言う。
「FWとしては小さいので、アタックもデイフェンスも、運動量と低さで勝負しています。タックルも攻撃も低くプレーし、スピードをゆるめず(当たり)、コンタクト後も足をかく。(小さな人間として自分が)これまでやってきたことを大会で継続してやっていきたい」
 同世代の世界の列強と戦えることが楽しみだ。自分の力がどこまで通用するかチャレンジし、チームを勝利に導く。

 大阪・大池中でラグビーを始めた。石見智翠館高校に進学し、3年時は主将。天理大へ進み、そこで尊敬する人物と出会った。
 同じポジション。1学年上で、今季の天理大を主将として牽引する島根一磨(かずま)だ。
 175センチと同じように小柄な先輩のことを、「理想というか、どこまでも走り、デイフェンスして、タックルして、アタックにまた走る。80分同じことを続け、きつくても動き続ける」と評したことがある。
 その人は、キャプテンとしても目標とする存在だ。
「島根さんも言葉が上手なわけではないのですが、それでも発言するし、考えていることをなんとか伝えようとする。体を張り、プレーで引っ張るところも見習いたいですね」

 チームは、6回に渡る強化キャンプとジュニア・ジャパンによるパシフィックチャレンジへの参加を経て、結束とチームとしての成熟を高めてきた。
 キャプテンは、「最初の頃は探り合いのような感じもありましたが、時間が経つにつれ、たくさんの発言や、リーダーシップを発揮する人たちが出てきた。チームとしての成長を感じています」と手応えを得ている。
 大会開幕までにチームを完成させて、ラグビー王国の若者たちに挑む。トップ8、来年の大会参加資格(12チーム中11位以内)を手に帰国する決意は固い。