ブンデスリーガ最終節で、香川真司がようやく復帰を果たした。 負傷したのは2月10日、ハンブルガーSV戦。「4月中にプロテクターを取れれば……」という言葉通り、4月中旬から練習を始め、第32節ブレーメン戦でベンチ…

 ブンデスリーガ最終節で、香川真司がようやく復帰を果たした。

 負傷したのは2月10日、ハンブルガーSV戦。「4月中にプロテクターを取れれば……」という言葉通り、4月中旬から練習を始め、第32節ブレーメン戦でベンチ入りしていた。第31節の時点で、本人も「来週、ブレーメンで」と出場を予告していたというが、結局、出場の機会は訪れなかった。

 5月1日、香川は練習から途中で引き上げた。2日には西野朗日本代表監督がドルトムントの練習場を訪れたが、香川はMRI検査を行なっており、練習している姿を見せることはできなかった。5日の第33節マインツ戦はベンチにも入らず、スタンドから敗戦を見つめた。

 しかし、今週に入ると通常どおりに練習も行なっていたようで、12日のホッフェンハイム戦はベンチ入り。後半30分、アンドレ・シュールレと交代でピッチに立った。



ブンデスリーガ最終節ホッフェンハイム戦で、3カ月ぶりに復帰を果たした香川真司

 最終節を前に、ホッフェンハイム、ドルトムント、レバークーゼンは3~5位に僅差で並んでいた。ホッフェンハイムにリードを許したドルトムントは、得失点差によってはチャンピオンズリーグ本戦にストレートインできる4位以内から転落する可能性があった。ひたすら失点を抑えようとするチームメイトたちのなか、香川は何もすることができずに今季を終えた(結果は3-1でホッフェンハイムの勝利)。

 見せ場はなかったとはいえ、香川は無事に15分間、ピッチに立ったという言い方もできる。

「練習自体はずっとできていた。チーム状況もあったので、簡単にチャンスをくれるほど甘くない。今週はいい練習ができて、ようやく試合に出られたので、とりあえずよかったです。(3カ月の離脱は)長かったですけど、毎日、最善を尽くしてやってきたので。

 うまくいくことも、いかないことももちろんありましたけど、すべてを復帰のためにと掲げてやってきたし、3週間前から練習しているので、いまさら試合に復帰して、(どうこう)というのはないです。さらにここから(調子を)上げていければいいかなと思います」

 その言葉からは、香川が早い段階からブンデスリーガの今季中の復帰というより、日本代表、W杯を意識していたことがうかがえた。だからこそ「いまさら試合に復帰して、というのはない」ということだろう。

 コンディションに関していえば、先週、あらためてMRIを撮るほど状況が悪化したのかどうかは気になるところだ。

「まあ、1日、2日はちょっと痛かった。ブレーメン戦後、ちょっとそこは神経質になっていたので、一応、撮りにいこうと思って。MRIを見てもまったく問題なかったので、そのなかでどうトレーニングしていくか、より明確にできた部分はあった。ぶり返すことだけはしたくなかったから」

 香川は、慎重を期しただけだと強調した。

 シーズンが終わり、W杯モードに入る季節。ただし香川は昨年11月の代表合宿には招集されておらず、3月の欧州遠征も負傷により招集を見送られた。そして指揮官は交代し、代表をめぐる状況は大きく変わっている。だが、香川の目標はあくまでW杯だ。

「そこはブレていないです。別にケガしようがしまいが、僕のそこの目標はしっかり持っているし、そのためにやってきました。今日の試合に出ることも大事ですけど、一番大事なのは(W杯の)初戦であって、キャンプインであって、そこにしっかりといい準備をしたい。監督が代わったので、なによりまた(メンバー争いが)厳しい戦いになるけど、その準備と覚悟を、個人的には常々できているとは確信しています」

 ブラジルW杯からの4年間、香川はマンチェスター・ユナイテッドからドルトムントに戻り、ユルゲン・クロップ監督時代には最下位になる経験もした。トーマス・トゥヘル、ペーター・ボス、ペーター・シュテーガーとめまぐるしく監督が代わり、チームメイトの出入りも激しかった。その一方で2月の負傷直前までの香川は、自ら「キャリアでも一番いいパフォーマンスを出せたんじゃないか」と認めるほど、好調だった。

 この間、一番大事だったのは意志の強さだったと言う。

「本当にタフな4年でしたし、あっという間でした。新しいシーズンごとに新しい監督でしたし、その集大成として、(今季は)すごくいい状態にあるんじゃないかと肌で感じられたので、1年、1年がムダな年はなかった。でも、それを証明するのは、結局はW杯。いくら口でいいことを言っても、結局、僕たちはそこで評価されるから」

 W杯のメンバー選考に漏れることなど、微塵も念頭にないようだ。今は6月19日にだけ照準を合わせている。

「(かつてドルトムントのチームメイトだったポーランドのエース)レバンドフスキじゃなくて、初戦のコロンビア戦ですよね。これからまだ1カ月あるので、しっかりトレーニングして。テストマッチもありますから。十分問題ないと思っています」

 とりあえず復帰は果たしたものの、メンバーに入るのか、W杯で本当に戦えるのかは、まだまだ予断を許さない。香川にとって、勝負の1カ月が始まる。