ノバク・ジョコビッチ(セルビア)は今シーズン、彼らしくない成績が続いているが、楽観的な態度をなお保とうとしている。元世界ランキング1位のジョコビッチは、右肘の怪我による休養から復帰して以来、苦戦しており、今年プレーした6つの大会ではまだ1度…

ノバク・ジョコビッチ(セルビア)は今シーズン、彼らしくない成績が続いているが、楽観的な態度をなお保とうとしている。

元世界ランキング1位のジョコビッチは、右肘の怪我による休養から復帰して以来、苦戦しており、今年プレーした6つの大会ではまだ1度も準々決勝へ進めていない。

直近では、水曜日の「男子テニスATPワールドツアー マスターズ1000 マドリード」(スペイン・マドリード/5月6日~5月13日/クレーコート)の2回戦でカイル・エドマンド(イギリス)に敗北を喫した。

「今回の試合に負けてもちろんがっかりしている。だが、テニスのレベルが上がっているのを喜ぶことはできる」とした上で「ポジティブな面もあるが、大会の早い段階で負けてしまったのは残念だ」とジョコビッチは語った。

ジョコビッチは数週間前、モンテカルロでも3回戦で敗退し、先立って行われたマイアミとインディアンウェルズではいずれも初戦となった2回戦でトーナメントから姿を消した。現在は世界ランキング12位のジョコビッチは、3試合連続で勝利を収めた最後の大会となった「全豪オープン」でも、ベスト16より先へ、駒を進められなかった。

「これは一つの過程だ。受け入れて、活用しなければならないものだ。全般的に言って、コート上で起きていることや、テニスにまつわる一般的なことすべてに対して、たとえば2ヶ月前に比べると、ずいぶん良い感覚になっている」と、ジョコビッチは話している。

テニスを再び軌道に乗せるために、ジョコビッチは短期間共に仕事をしたアンドレ・アガシ(アメリカ)、ラデク・ステパネク(チェコ)に別れを告げ、再びマリアン・バイダをコーチに、ゲパルド・フィルグリッチをトレーナーに迎えた。

「特に最近10年の自分のテニスをよく知っている人、自分という人間をよく知っている人がいるとすれば、それはこの2人だ。テニスを理想的な形へ持っていくには少し時間がかかると思う。2人は自分のテニスをよく知っているが、それでもこれは一つの過程だから」とジョコビッチはマドリードの1回戦の後に語った。

ジョコビッチはグランドスラムを12度制したが、昨年は2009年以来初めてグランドスラムの決勝に進めなかった。ジョコビッチは、2017年の「全米オープン」を棄権するまで、グランドスラムに51大会連続で出場し、21度決勝に進出していた。

右肘の怪我からの復帰後の戦績は6勝6敗だが、ジョコビッチは自身のスランプを広い視野から眺めようとした。

「長年このスポーツをやってきて、一連の成功を収めてきた。そのことを常に思い出して感謝するようにしている」とジョコビッチは語り、「テニスをすることを僕に強いる者は誰もいない。僕がテニスをしたいんだ。そこから力を引き出している。進み続けるかぎり、このスポーツを愛するかぎり、僕は進み続ける」と続けた。

また世界ランキング1位のラファエル・ナダル(スペイン)は、ジョコビッチは調子を取り戻すと確信している。

「回復して、ふさわしいところに戻るために、彼は一歩ずつ進んでいると思う。トップまで戻ってくるのは間違いないと思う。このスポーツでノバクが成し遂げたことは素晴らしい。これからも、すごいことをたくさん成し遂げるだろう。僕はそう確信している」と、自身も怪我による長い休養から復帰してグランドスラム優勝回数を16回へ引き上げたナダルは語った。

30歳のジョコビッチは、怪我の後で復帰を急ぎすぎたかもしれないと認める。半年間ツアーを離れたが、シーズン前に復帰するためのトレーニングを始めた時、肘の痛みがぶり返した。

「歯を食いしばって、そのまま突っ走って、『全豪オープン』でプレーしたが、まだ準備ができていなかった」とジョコビッチは言う。「それから手術をしなければならなかった。あの手術を乗り越えるには時間がかかる。それまで経験したことのなかったような体への影響があった。手術を受けたのは初めてだったから、まったく知らなかった類いの影響だった」。

なにも後悔していないし、自身の「新たな経験」から学びたいとジョコビッチは言う。

「人生はこういうものだと思う。僕の身に起きるべきことだったんだと思う。僕に学ばせて、僕を強くして、僕が成長できるように、人として、選手として、進化できるように。感謝している。僕に言えるのはそれだけだ。人生にはもっとひどいことが起きることもある」(C)AP(テニスデイリー編集部)

※写真は「男子テニスATPワールドツアー マスターズ1000 マドリード」2回戦のときのジョコビッチ

(Photo by Burak Akbulut/Anadolu Agency/Getty Images)