日本代表の西野朗監督が岡崎慎司と面談するため、レスターを訪れた。 4月27日に日本を発った西野監督は、5月4日までに吉田麻也(サウサンプトン)、柴崎岳(ヘタフェ)、井手口陽介(クルトゥラル・レオネサ)、乾貴士(エイバル)、長谷部誠(フ…

 日本代表の西野朗監督が岡崎慎司と面談するため、レスターを訪れた。

 4月27日に日本を発った西野監督は、5月4日までに吉田麻也(サウサンプトン)、柴崎岳(ヘタフェ)、井手口陽介(クルトゥラル・レオネサ)、乾貴士(エイバル)、長谷部誠(フランクフルト)、香川真司(ドルトムント)、浅野拓磨(シュツットガルト)、酒井宏樹(マルセイユ)と面談してきた。



ウェストハム戦を欠場した岡崎慎司は試合前に西野監督と面談した

 その目的を大きく分けていえば、(1)「ヴァイッド・ハリルホジッチ監督解任に伴う事情説明」と、(2)「選手のコンディション確認」の2点となる。

(1)については、「海外組はいろいろ心配しているところもある。しっかり整理したうえで前に入っていかないといけない」(西野監督)とし、解任の経緯を選手たちに直接説明することで理解を求めたようだ。

 また(2)については、「顔を突き合わせて状態を見たり聞いたりした感じを自分のなかで持ちたい」(西野監督)とし、試合に出られていない選手やケガ人など、それぞれ状況が異なる選手たちのコンディションの把握に努めた。さらには、「話すことも大事。自分が期待したい部分を伝えたいと思う」と、ひとりひとりに言葉をかける狙いもあった。

 5月4日にフランスのマルセイユで酒井宏樹との面談を終えた西野監督は、こうして英国のレスターにやって来た。この日はレスター・シティvs.ウェストハム・ユナイテッドの試合が行なわれたが、岡崎は左足首のケガで欠場。ふたりは試合前にレスターの本拠地キング・パワー・スタジアムで会い、西野監督は解任の経緯を説明したうえで足首の状態を確認したという。

 振り返れば、岡崎の最後の代表招集は昨年9月のW杯アジア最終予選・サウジアラビア戦。それ以降は「背が足りない」「タイプが違う」と、さまざまな理由をつけてハリルホジッチ前監督は岡崎を招集してこなかった。実に7ヵ月もの間、日本代表から遠ざかっている。

 ただ、代表を外れていた期間も、岡崎はプレミアリーグの高いレベルで戦ってきた。レスターでの役割はセカンドストライカー。献身的に守備を行ないながらゴールを積極的に狙う仕事を、イングランドで精力的にこなしている。

 こうした周囲をサポートしながら攻守両面でチームに「スイッチ」を入れる動きを、西野監督は評価しているという。試合後、記者団の前で語り始めた。

「こういうハイレベルなステージでやっている。得点だけではない仕事が岡崎の特徴であり、ストロングでもある。それは、みんなが評価しているところ。そのうえで得点が獲れれば(さらによい)。ただ、プレミアでそういうしっかりしたところも出している。プレミアでも得点が獲れていないことはない。

 チームや他の選手のためにとか、サポートプレーというのが岡崎の特長。そういう貢献度っていうのは自分もすごく(評価している)。そこが代表でも足りないところというか、そういうスピリットが必要なので。

(評価しているのは)僕だけじゃない。サッカーで一番のベースというか、そういうスピリットがまず、いろんなプレーを生むことでもあるので。それをやり続けている岡崎がいる。それも、こういうレベルのなかでやっているんでね。『ちゃんと見ているよ』ってことです」

 長く代表から遠ざかっている岡崎にとっても、西野監督の訪問はモチベーションにつながったようだ。岡崎は語る。

「試合前に軽く挨拶して、話して。みんなに言っているとは思うんですが、『(解任に関して)どういう経緯で』と話をしてもらった。来てくれた時点で、それなりにひとつの駒として考えてくれてると思う。

 まあ、選ばれるか選ばれないかは別として、そういうふうに見てもらえていることが自分のモチベーションになる。日本代表に入っていないことが続いているけど、それでもプレミアリーグでやってきたことが代表の力になるはずだと思っているので」

 懸念はやはり、痛めている左足首の回復具合だ。4月14日のバーンリー戦後、チーム練習中に左足首を負傷。3試合連続で欠場し、プレミアリーグの残り2試合の出場も微妙な状況にある。

 岡崎は「やれる自信があるところまでいっていない。毎回、靴を履いて、動いてみて、『やめよう』となる。けっこう、厄介な場所。やれるなら、来週なのかな」と語り、足首と相談しながら復帰時期を決めたいと説明する。

 西野監督は「ハイリスクを負って試合までもっていくのは、その後にも影響すること。香川もそうだし、ケガを抱えているメンバーは、少し焦りではないでしょうけど、やっぱり可能性を最大限に求めたいのは、岡崎にも感じました」と気遣った。

 岡崎としては、足首の様子を見ながら5月13日に終了する今シーズン中の復帰を目指すことになる。ただ、「リーグの残り2試合に出られなくても(5月30日に行なわれる壮行試合の)ガーナ戦で試すことはできるのでは?」との記者団の質問に対し、西野監督は「可能性は求めたい」と返答。もう少し広い期間のなかでコンディションを見極めたい意向を示した。

 もちろん、視察を受けた選手が招集を確約されているわけではない。岡崎も「(視察に来たからといって西野監督は)『選ぶから』みたいなことを言わない人」と気を引き締める。しかし、気持ちが高ぶってきたのは確かなようだ。

「今は早く復帰して、ひとつでも試合に出ること。気持ちとしては、代表に呼ばれれば、俺にできることはあると思う。(プレミアリーグで)あと2試合やり切る。その後は、W杯に行けるか行けないかは俺が決めるわけではないので。行けるのなら自分の最大限、今季にやれたことで代表の力になれたらいい」

 レスターの次戦は、5月9日に行なわれるアーセナル戦。焦る気持ちを抑えながら、ここからラストスパートをかけられるか。