澄んだ瞳に堂々たる体躯。慶大ラグビー部の辻雄康(つじ・たかやす)が躍動した。

 5月6日、東京・秩父宮ラグビー場。関東学生代表の一員として来日中のニュージーランド学生代表(NZU)と激突する。身長190センチ、体重109キロの背番号4は、キックオフ早々に中央突破を決めたのを皮切りに豪快なランを連発する。守っても鋭い出足でのタックルを決め続けた。

 チームを率いた帝京大の岩出雅之監督は、印象に残った選手を聞かれて「ボールをもらう時の瞬発力、コンタクト…辻君がよかったですね」。試合は17-34で敗れたが、辻は観る者に十分なインパクトを与えた。

 強い突進を重ねられた背景を聞かれ、こう即答する。
 
「自分の強みはそこだという気持ちを持って、思い切りいこうとしていました。目立ちたいという気持ちもありましたし」

 巨躯と運動量を兼備した資質は、かつて日本代表を率いていた頃のエディー・ジョーンズ現イングランド代表ヘッドコーチからも高く評価されていた。来年からはトップリーグのクラブでもプレーしそうな4年生は、この試合をステップアップの場としても捉えていた。

「(試合を主催した)関東協会の方からも、次のレベルに行くためにも個人で結果を出して欲しいと言われていました。自分らしいプレーをしてやろうと、試合前から決めていました」

 慶応幼稚舎、慶応普通部、慶応高と系列校を経て現在は大学ラストイヤーを過ごす。1899年創部と日本最古豪の慶大にあって、辻は黒黄ジャージィの申し子のような存在でもある。
 
 1999年度以来4度目の大学日本一に向けても、「結果を残さなければ、自分のラグビー人生は無駄になってしまう。死んでも勝つという気持ちで早く(防御網を)セットをする、何とかしようと思う…。これを全員がそうしないと」。淡々とした口調に熱いフレーズを交え、明日を見る。(文/向 風見也)