打倒中国を掲げ、47年ぶりの金メダル奪還を狙った日本女子代表チームの戦いが終わった。「世界卓球2018スウェーデン(団体戦)」<4月29~5月6日/ハルムスタッド>の女子決勝、中国と対戦した日本は1勝3敗で敗退。世界王座に君臨する中国は世界卓球団体戦4大会連続、通算21回目の金メダルを守り、日本は3大会連続の銀メダルにとどまった。日本の悲願成就はかなわなかったものの、1番手の伊藤美誠(スターツSC)が日本戦負けなしの劉詩ブンに大逆転勝利で"土をつけた"意味は大きかった。
満を辞して臨んだこの中国戦で日本のオーダーにはサプライズがあった。伊藤の1番手起用は予想された通りだったが、2番手に平野美宇(日本生命)、3番手に石川佳純(全農)というのは、準決勝までの石川2番手、平野3番手という流れを踏まえるとやや意外なものだった。ちなみに3試合して決着がつかなかった場合、4番手に平野、5番手に伊藤が再び登場する。特に4番手の平野にはチームの勝敗が大きくのしかかってくることになる。つまり平野は中国戦でエースポジションを任されたのだ。
日本女子代表チームの馬場美香監督は中国との大一番に平野をエース起用した理由をこう語る。
「決勝で中国と対戦したら、こういうオーダーを組みたいというのを大会前から何通りも考えていた。その上で選手のコンディションを見ながら、準決勝が終わった時点で選択し実行した」
「平野は一時期、(中国をはじめとした諸外国の選手に)対策をされ、気持ち的にも技術的にも試合でなかなか思い切ったプレーができないところがあったが、ここ何試合かで持ち返してきていた。今大会も1試合目はどうなるか、特に初めての世界卓球団体戦だったので、そういう思いもあったが、集中力を切らすことなくいいプレーができていた」
今大会、決勝まで勝ち進めるか否かは、この平野の調子にかかっていたと言っていい。2017年シーズンは前半の快進撃から一転、後半は不振にあえいだが、そもそもの実力と中国のトップ選手である丁寧、朱雨玲、陳夢をアジア選手権で破った実績、そして一旦決まり始めると止まらない超高速両ハンドドライブの爆発力は世界卓球団体戦でも再び中国を倒す可能性を秘めていた。実際、4月上旬のアジアカップ決勝トーナメント準々決勝では負けはしたものの朱雨玲を追い詰め、1年前の勢いを取り戻しつつあることを感じさせた。そんな平野の覚醒に指揮官は懸けたのだ。
結果的に平野は2番手で丁寧、4番手で劉詩ブンと対戦し、いずれもストレート負けを喫したが、2試合ともゲームオールで競り負けるあと一歩のところだった。平野は言う。「特に丁寧との試合はデュースで2回落としてしまった。やはり競った場面でポイントを取らないと厳しい。中国選手は作戦もすごく細かいので、そういうところで自分も負けないようにしていかないと中国に勝つことはない」
意外なことにこれが世界卓球団体戦初出場だった平野。成長著しい18歳はスウェーデンの地でまた復調のきっかけを掴んだようだ。
(文=高樹ミナ)