国際試合の厳しさを知った前半。可能性を感じられた後半。5月3日、来日中のニュージーランド学生代表(NZU)と京都・西京極総合運動公園球技場で対戦した関西学生代表。前半、7-40と引き離されたものの、後半に立て直し、最終スコアを33-47と…

 国際試合の厳しさを知った前半。可能性を感じられた後半。5月3日、来日中のニュージーランド学生代表(NZU)と京都・西京極総合運動公園球技場で対戦した関西学生代表。前半、7-40と引き離されたものの、後半に立て直し、最終スコアを33-47と詰めた。何より、戦い方の方向性をつかめた80分だった。

 6トライを失った前半。失点の多くはラインアウトから崩されたものだった。「大きい選手に前に立たれて競られたり、後ろで動かれたりでパニックになったところもあった」と小松節夫監督。チームとしての練習は1回。連携の未熟なところを付け込まれた。

 ハーフタイムでは「0-0と思って、最初に点をとりにいこうと言われて、それがよかった」と島根一磨主将(天理大)。
 ラインアウトは確実にとれるところに絞った。確保した後はなるべく手放さず、ボールキャリーの強い選手に託した。スクラムは前半から押せていたから、それだけで相手ゴールにいる時間はぐんと増えた。後半15分、ペナルティから、ジャパンAでも活躍したFLファウルア・マキシ(天理大)が持ちだしてトライ。17分には自陣深くからCTBシオサイア・フィフィタ(天理大)が抜け出し、フォローしたWTB中孝祐(関西学院大)がトライ。スタンドを沸かせた。

 最終的に勝敗が覆ることはなかったが、NZUのブレンドン・ティミンズ ヘッドコーチは「関西学生代表のコーチがハーフタイムにどんなことを言ったのか知りたい」と後半の戦いを称えた。

 島根主将は収獲を語る。
「接点で先に当たられるとプレッシャーを感じますが、自分たちが先に仕掛けると相手は遅れる。デカい相手に対して速いテンポで動かす。関東(のチーム)もデカいので、自分たちの小ささを活かすこと。速いテンポにこだわりたい」
 関西学生代表として戦った一人ひとりが見据えるのは、打倒関東だ。

 この日の観客は5,650人。数日前までは嵐の予報も、朝に雨はあがった。スポンサー集めや集客に尽力した関西協会・坂田好弘会長はほっとした表情を見せた。
「連休初日で、地元の高校生は来ないだろうと言われていたんですが、たくさん来てくれた」
 関西大学リーグの冠スポンサーになっているムロオが、この試合もスポンサードしてくれた。数社あわせた金額は500万円超。これまで国際試合を開催すると持ち出しになることも多かったが、今回は大丈夫だと言う。

 選手は試合後、アフターファンクションでNZUの選手と交流を深めたが、スタンドには各チームの部員が仲間の応援にかけつけ、会場の準備や片づけにも携わった。

 NZUは試合前日の2日には下鴨神社でハカを披露。「打ち合わせの段階で、向こうから“ぜひ、やらせてくれ”と。マオリの文化があるから、日本に対しても理解が深いんです」と坂田会長。
 4年連続で結成されている関西学生代表。今回はセレクションマッチを実施して選抜されたメンバーで戦った。「ステイタスは確実に上がっています」と小松監督。
「NZUとの交流は関東協会がスタートさせたのですが、関西協会もこのつながりを続けていきたい。関西の学生は国際試合をする機会が少ない。これが定着して、関西の高校生が関西の大学に進むようになれば」と坂田会長は期待を込める。
 合言葉は打倒関東。関西の一体感をより高めた一戦だった。(文:森本優子)