坂口佳穂インタビュー(2)

 ビーチバレーボールに真摯に向き合っている坂口佳穂(22歳/マイナビ)は、日々成長を遂げている。その”華”のあるプレーぶりも素敵だが、意外な一面を持つオフの姿もまた、とても魅力的だ――。

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――改めまして、大学ご卒業、おめでとうございます。

「ありがとうございます。ほんと~に、ギリギリで卒業できました(笑)」

――この4年間、学業とビーチバレーボールの両立は大変でしたか。

「毎日、学校とビーチを往復する4年間でしたが、(両方とも)途中で投げやりになることがなかったので、よかったなと思っています。ツアー中に試験やレポートが重なると、練習も含めてやることが多くて、手一杯になることもありましたが……(笑)。

 大学はとても楽しくて、友だちと会ったり、先生と話したりして、ある意味それが”息抜き”になっていました。そういう時間があったので、ビーチバレーもがんばれたと思います。

 また、4年間やってきたからこそ、世界大学選手権(7月、ドイツで開催)の代表にも選んでもらえたと思っています。ビーチバレーを始めたときは、同世代の選手にはまったく勝てなくて、卒業するまでには『絶対に勝ちたい』と思っていましたから、(代表に選ばれたのは)素直にうれしいです。同世代の中では、4年間で『誰よりも練習した』という自信があります」

――大学では政治を学んでいたそうですが、卒業論文はどういったテーマでしたか。

「『戦後日本のスポーツ行政』です。スポーツ庁も簡単にできたわけではなく、時代の流れやスポーツの価値観が変わってきた結果、というものです。

 そうしたテーマに取り組んでみて、最終的には『スポーツって、いいな』と改めてその魅力に気づかされました。地域の活性化などを含めて、スポーツからいろいろな可能性が見出されることは、面白いし、素晴らしいことです。将来的には、そういった仕事に関われたらいいんですけど……かなり難しいですよね?」

――ところで、ビーチバレーボールを始めるきっかけは、高校3年生のときに実際に試合を見てから、と伺いました。

「はい。最初は『わぁ~、カッコいい!』『私もあんなふうになりたい!』と思って始めました」

――それから今、プレーヤーとなってビーチバレーボールに対する思いは変わりましたか。

「試合をして、勝っているときは、超ぉ~楽しいです。当時の私が、今プレーしている私を見て、『カッコいい!』と思うかどうかはわかりませんけど……(笑)。

(ビーチバレーボールは)プレーヤーも楽しめるし、見ている人も楽しめる競技ですが、海外に比べると日本ではマイナースポーツなので、ちょっと寂しいです。もっと盛り上げるにはどうしたらいいんだろう?って、いつも考えてしまいますね……。もう社会人になりましたし、ビーチバレーを広めるためにできることが、自分にもたくさんあるのかな、と思っています」

――ビーチバレーボールの選手になっていなかったら、どんな職業についていたと思いますか。

「私、やりたいことがたくさんあるんですよねぇ~。ケーキ屋さんとか、パン屋さんとか(笑)。でも、旅をする仕事、いろいろな国に行ける仕事がいいので、そういう関係の仕事でしょうか」

――海外ツアーもありますから、現在もいろいろな国に行っていると思いますが。

「そうなんですけど……(笑)。ビーチ選手でなくても、いろいろな国の人に出会える仕事をしたいですね。オーストラリアは、人が優しくて、時間の流れもゆっくりしていて、すごくいい国でした。タイのピピ島やサムイ島とか、きれいな島巡りもしたいなぁ~……」

――好きな本、好きなマンガなどはありますか。

「兄弟が男ばかりですから、漫画雑誌はよく読んでいました。パン屋さんの漫画『焼きたて!! ジャぱん』(作者:橋口たかし)が好きでした」

――だから、パン屋さんにもなりたいと。

「ハハハッ(笑)。その影響は確かにあるかもしれません(笑)。でも、漫画より本のほうが好きですね。(小説家の)原田マハさんや三浦しをんさんの作品はよく読んでいます。学生のときに読んでよかったのは、伊坂幸太郎さんの『砂漠』でした」

――試合の前に必ずすること、験担(げんかつ)ぎみたいなものはありますか。

「試合の日の朝は、必ず納豆を食べます。”粘り勝ち”するために(笑)。あと、海外の遠征にはサバの缶詰を持っていきます。遠征先の国の食事がもし合わなかったとき、サバ缶は大事です!(笑)。あと、レトルトパックのご飯も持っていきますが、私、だいたいどこの国の料理も食べちゃうので、実はいらないんですよね……(笑)」




さらなる活躍が期待される坂口佳穂

――尊敬しているアスリート、憧れのアスリートはいますか?

「すでに現役は引退されているのですが、先日、水泳の伊藤華英さんとお話しさせていただく機会を得たんですね。伊藤さんは、とても明るくて前向きな方で、『伊藤さんのような女性になりたい』と思いました。

 あとから聞いた話ですが、伊藤さんはアテネ五輪の出場は逃したものの、次の北京五輪では見事に五輪出場を果たして、その4年間は『1日たりとも後悔した日はない』と言われたそうで、その言葉がすごく胸に響きました。それから、”一日一日の使い方で4年後が変わる”と、私も意識するようになりました」

――最後に、座右の銘を教えてください。

「高校の恩師から『可能性は無限大』という言葉を贈られました。何事も自分次第でどうにでもなる。今の自分にはできないことでも、周りの人より何倍も、何十倍も努力をすれば、可能性は広がるんだよ、と。

 だから、誰よりも練習しようと思って、この4年間やってきました。コーチからも『誰よりも練習すれば、日本一になれる』とずっと言われているので、これからもその言葉を信じてがんばっていきます」