今季から、大学ラグビー界の各地域の上位リーグなどでの外国人同時出場枠が2人から3人に拡大。この新規定に基づく選手起用を関東大学春季大会で最初におこなったのは、1980年代からトンガ人留学生を受け入れてきた大東大だった。

 4月28日、神奈川・慶大日吉グラウンド。昨季は加盟する関東大学リーグ戦1部で22年ぶりの優勝を果たしたモスグリーンの集団が、Aグループ初戦を迎える。LOとNO8にタラウ・ファカタヴァ、アマト・ファカタヴァの4年生ツインズを、インサイドCTBには2年生のシオペ・ロロ・タヴォをそれぞれ配す。

 いずれも身長190センチ以上の三銃士は、わずかな隙間を力で、速さで破る。対抗戦A所属で国内最古豪の慶大を、63-12で制した。接点周辺での鋭いランが魅力のSH、南昂伸は言った。

「アマト、タラウがマークされやすいなか、足の速いシオペがいる。外国人が突破することで相手のディフェンスラインが下がり、そのなかで自分が仕掛けていける。一番、楽な形でのアタックができています」
 
 大東大は序盤から8対8で組み合うスクラム、空中戦のラインアウトといった攻防の起点で圧力をかけた。12-7のスコアで迎えた前半28分には、WTBの土橋永卓が自陣ゴール前から約100メートルをゲイン。19-7とリードを広げる。

 ここからはアマトが魅した。

 32分、敵陣22メートル線付近。チームがカウンターを起点とした攻めから反則を誘うと、南の速攻を経てゴール前右タッチライン際へボールが届く。ここで待っていたアマトはタックルされながら悠々とオフロードパスを放ち、ルーキーWTBの朝倉健裕の大学初トライを演出した。24-7。

 続く35分には、キックオフの捕球から駆け上がってオフロードパスをつなぐ。前進を促す。ハーフ線付近右で再度パスをもらうと、タックラーを振り切りながら左隣の朝倉へ折り返す。朝倉はさらに左に立つタラウへ回し、そのタラウは敵陣22メートルエリアでアマトへラストパスを放る。アマトは強烈なハンドオフで追っ手を振り払い、自らフィニッシュした。29-7。

 後半にはロロ・タヴォも2トライを挙げ、結局は3人で5トライの荒稼ぎだ。敗れた慶大もアマトに「ヤバい…」と言わしめるなど、鋭いタックルで試合を引き締めてはいた。

 しかしLOで先発の辻雄康ゲーム主将は、「土橋君に行かれたところと外国人のゲインで差が開き出してからは、思考が止まって、トークも途切れて…」。苦しんだラインアウトを「ローイングの精度や(飛ぶ選手、支える選手などの間での)コミュニケーションの部分で、いつもやっていることができていなかった」としつつ、チームの売りだったはずの献身性の揺らぎを悔やんだ。

「(留学生の増加は)事実なので仕方がない。ディフェンスのセット(ラインの形成)などで、80分を通して少しでも気を抜いてはいけないと思いました」

 2トライ奪取などで試合を終えたアマトは、「ラック、モール(肉弾戦)のところはまだまだ。ボールキャリーでも、もっとゲインラインを切りたかった」と満足していない。将来の日本代表入りも目指しているが、いまは「ファイナルへ」。前年度4強入りした大学選手権で、今度は頂点を争いたいという。

「3人(留学生)のなかで、いいコミュニケーションが取れます」

 試合終了間際には、大東大の我慢が光った。

 昨季も目立ったタックル後の素早い起き上がりで慶大の連続攻撃を耐え、自陣ゴール前でターンオーバー。後半を無失点で切り抜けた。

 勝った青柳勝彦監督は留学生の活躍に喜ぶ一方、「最後は(点を)取られておしまいかな…というところで我慢して終えられた。これはかなりの収穫じゃないですか」と強調した。

「点差が開くと、ああいうところで『ま、いっか』となりがちなんですけど、あそこは踏ん張った。集中力が高かった。選手を褒めたいです」

 レギュレーションの妙に背中を押される大東大に対し、敗れた金沢篤ヘッドコーチは「少しタックルをミスしたら、その綻びを起点にオフロードをつながれたり…という(警戒が必要な)人数が増える」と警戒する。

「(防御の)精度を高めるしかないです。逆に、慶大はこういう(オール国内出身選手という)チームでも勝てると証明したい」

 ボーダレス化が進むこの国の楕円球界にあって、「多国籍軍対純和製」という定番の対立軸がより注目されそうだ。(文:向 風見也)