<世界卓球選手権(団体)2018年4月29日〜5月6日・ハルムスタッド>世界卓球2018 日本男子 予選第3戦の結果男子日本代表の予選第3戦が日本時間5月1日午前2時から行われた。 水谷隼(木下グループ・4月度世界ランク11位)、丹羽孝希(…

<世界卓球選手権(団体)2018年4月29日〜5月6日・ハルムスタッド>

世界卓球2018 日本男子 予選第3戦の結果

男子日本代表の予選第3戦が日本時間5月1日午前2時から行われた。

水谷隼(木下グループ・4月度世界ランク11位)、丹羽孝希(スヴェンソン・同9位)、張本智和(JOCエリートアカデミー・同13位)が起用された。

第1試合:水谷 3-2 ドリンコール




第1試合は、右腰に痛みを抱えている水谷。ベラルーシ戦ではその痛みも感じさせないプレーで圧勝していた。

1ゲーム目は落ち着いて対応し、威力のある両ハンドを持つ相手のタイミングをうまく外し、得点を重ねた。

2ゲーム目はドリンコールが長めのレシーブをし、水谷に緩く打たせてそこをしっかり待ってからカウンターをする展開が多く、ラリーに持ち込まれ打ち負けてしまう。
加えて、長いバックスピンのかかったボールに対するドライブや、腰の不安からかチャンスボールに対するミスが多かった。

3ゲームからメガネを外した水谷は戦術を転換、相手に打たせて、それをカウンターする展開が多くなり、徐々に気迫のあるラリー戦が増えてきた。

しかし序盤水谷が2連続得点をしたところでボールが割れ、そのタイミングでドリンコールがタオルを取り(卓球は双方の合計得点が6の倍数になった時のみタオルを取ることができる)、審判からイエローカード注意をされ、試合が中断。いい流れに水を差される一幕もあった。

中断の後からドリンコールの得点があったが、そこから気合を入れた水谷。右腰の痛みのせいか、動きに精彩を欠いたものの、徐々に水谷の展開に持ち込んでいく。ラリー中も気力を振り絞るように声を出す。ロビング(台から離れて、威力の弱まったボールをひたすら高い軌道で返球し続ける技術)も壁にぶつかるほどの気迫のプレーを見せた。

4ゲームはバックが冴え渡り、台から離れず、相手の繋いで来たボールを確実にカウンター。余裕を与えないプレーでゲームを奪取。

そして迎えた最終ゲーム、水谷はドリンコールに打たれないように、持ち上げるゆっくりとしたボールを減らす。ボールをしっかり頂点でうち、相手に余裕を与えないプレーが続く。

しかしドリンコールも負けじと台から離れたラリー戦で突如前に出て来てカウンターするなど、意地を見せる。
お互いに譲らない中、最初に5点を取ったのは水谷。台上の短いボールをバックハンドで強打し、先手を取った。
7-3とリードする中、相手が水谷のフォアサイド前に落として来たボールに対して、相手の読みを外すゆるいボールを送り、一気に流れを引き寄せた。

1試合目を制した水谷。体に不安を抱えながらも、エースとしての仕事を果たした。

第2試合:張本 0-3 ピッチフォード




2戦目は昨日大逆転で元世界ランク1位を倒した張本。対するピッチフォードは台湾のエース、荘智淵(世界ランク16位)を破り、ノリに乗っている選手。張本は今年のワールドチームカップでピッチフォードに負けており、あまり相性は良くないと思われた。

長身で守備範囲の広く、両ハンドの威力があるピッチフォード。張本の鋭角にえぐるボールをやすやすと取っていく。アンラッキーなエッジボールとネットボールが連続し、いまいち流れに乗れない張本。気持ちの切り替えができず、ミスが続いてしまう。

2ゲーム目も積極的に攻めるが、ピッチフォードのゆるいボールに対してタイミングが合わず、ミスが絶えない。流れを断ち切れない張本は第2ゲームもあっさりと取られてしまう。

3ゲーム目は張本は手足の長いピッチフォードに対して、ミドルを狙って得点しようとするもののカウンターを食らってしまう。その後も悪い流れを断ち切ることができず、ストレート負けを喫した。

第3試合:丹羽 0-3 ウォーカー




3戦目は丹羽が登場。相手のウォーカーは2016年の世界卓球で日本の大島を倒し、日本に迫ったメンバーのうちの一人である。

1ゲーム目は丹羽のカウンターが炸裂し、8-8まで追いつくも、ウォーカーがバックハンドのストレート攻撃を徹底し、コンパクトながら威力があり、先手を打たれてしまう。

2ゲーム目は丹羽も相手のミドルからバックを狙って積極的に攻めていくも、相手のブロック・カウンターに阻まれ、流れを握られてしまう。丹羽はバック側へのロングサーブから、台から離れた大きなラリー戦に持っていくが、このゲームでもバック対バックの展開で打ち勝てずデュースを落とす。

3ゲーム目、対策されていたチキータを減らし、短く台上で止めるストップを多用しようとするが、相手に狙い撃たれてしまい、1-3となり日本ベンチがたまらずタイムアウト。だが流れはウォーカーが握っていた。バックサイドに来たボールを大振りなバックハンドドライブで振り抜き、タイムアウト後の大事な1点を取った。その後も大きなラリーに持ち込まれ、不運にもネットインがあり、さらに流れが悪くなる。そのまま相手に逃げ切られ、丹羽もストレートで敗北を期した。

第4試合:水谷 2-3 ピッチフォード




追い詰められた日本、頼みの綱の水谷が登場。
序盤からカウンターが炸裂し、1-6とリードされる。
下から持ち上げるショットはすべて相手が狙って撃ち抜かれる

2ゲーム目は水谷がフォアハンドのラリーで得点を重ねる。台からやや下がり、ピッチフォードの威力のある両ハンドに対応、リードを奪う。だがアンラッキーなネットインがあり、7-7に追いつかれる。9-9からのレシーブでのネットイン、そして最後は下がった状態で相手の強烈なショットを回り込んでフォアハンドでカウンターし、最後にエースらしく引き締めてゲームを奪った。

3ゲーム目開始から水谷は声を張り上げ、気迫を見せる。水谷はフォアサイド前に短くストップするも、ピッチフォードがうまく対応し、水谷の空いたフォアサイドに流し、得点を重ねる。ピッチフォードに10-7でゲームポイントを握るも、水谷が連続得点し、相手が即座にタイムアウト。流れをモノにできるかと思われたが、その後ピッチフォードがフォアサイドに来たサーブを回り込んでバック強打、水谷も追いつこうとしたものの、わずかに届かずゲームを取られてしまう。

4ゲーム目は戦術を転換。相手のフォアサイド前を徹底して狙い崩していく方向に。
相手のチキータミスが多くなり、ストップのみに的が絞れ、水谷に優位な展開に。ストップを打とうと緩くトップスピンがかかったボールを徹底して狙い、得点を重ね、余裕を持ってゲームを取った。

最終ゲームもフォアサイド前を徹底し、体勢を崩すも、相手がラリーで勝り、水谷にとって辛い展開に。台から離れたラリーでピッチフォードの長い手足から放たれたバックハンドドライブが火を吹く。ただ、水谷も徐々にバックハンドに対応し、得意のフォアハンドで応酬し、4-4に追いつく。

その後も相手のチキータを封じるために徹底してフォア前を狙うも、わずかにボールが浮いてしまい、リードを許してしまう。

6-8でフォア前手前のボールを攻撃ミスすると、やや消極的になってしまった水谷。8-9で水谷が差を縮めると日本がタイムアウトを取るも、持ち上げるようなゆっくりとしたボールを相手に狙われ、張本にバトンを託すことはできなかった。

世界卓球2018男子グループC第3戦:日本 1-3 イングランド

水谷 3-2 ドリンコール
11-7/5-11/3-11/11-5/11-4

張本 0-3 ピッチフォード
5-11/5-11/3-11

丹羽 0-3 ウォーカー
9-11/10-12/8-11

水谷 2-3 ピッチフォード
4-11/11-9/9-11/11-6/8-11

文:ラリーズ編集部
写真:新華社/アフロ