「何度もあきらめたけど、その度にまたやってみようと思うこと」僕は砂浜を走ることがとても苦手だった。2011年、純粋にビーチの上で90mの直線を走るライフセービング種目の地区予選の一次予選(最もレベルが低いレース)スタートして40mから少しず…

「何度もあきらめたけど、その度にまたやってみようと思うこと」

僕は砂浜を走ることがとても苦手だった。

2011年、純粋にビーチの上で90mの直線を走るライフセービング種目の地区予選の一次予選(最もレベルが低いレース)スタートして40mから少しずつみんなからおいていかれ、そのまま差を広げられてビリだった。自分には砂の上を走る才能がないと諦めた。

しかし、その3年後、2014年ビーチフラッグスで世界2位になったとき、世界一になるためにどうしても走力が必要だと気づいた。

翌年、最後の悪あがきと決め、たくさんの方々の支えがあり、足が世界一早いウサイン・ボルト選手と一緒に練習をさせていただきにジャマイカにいった。

ボルトさんと同じ練習をこなすと決め、何度もお願いしてボルトさんの後ろを走らせてもらった結果、2週間で左足首、その後ふくらはぎ、2ヶ月後には膝下の肌がテーピングでほぼ見えなくなり、限界を感じた。

2016年3月、オーストラリアにて、全豪選手権のための陸上トラックでも最後の練習、僕は「あること」に気がついてはっとした。頭の中で、ボルトさんの後ろ姿が鮮明に甦った。

すぐに陸上トラックでの走りが変わった。でも、結局オーストラリアでは、ビーチでそれを再現することはできなかった。

オーストラリアから帰国した今、それがビーチでも可能なのか、いまだに解らない。でも不可能なのかも解らない。だから、もう一度、90m走ることに挑戦してみようと決めた。

今週末行わせるライフセービング全日本種目別選手権大会で一生懸命走ってみる。

和田賢一